街のコト

東京の戦後史をなぞる横丁(東京都/上野アメ横)

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(ライター:村上 健)

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「サッカリン」を知る読者はどのくらいいるでしょう? アイドルの愛称ではありません。戦後間もなく、砂糖が入手困難だったために代用品として使われた甘味料で、サッカリンを使ったアメ菓子が幅を利かせた時代がありました。今回の「アメ横」は、そんな菓子を売るバラック店舗の闇市マーケットが、旧国鉄の「上野」駅~「御徒町」駅間のガード下に生まれたことが名前の由来だとか。
その後、朝鮮動乱のころに米軍の放出品を売る店ができ、水産加工品、雑貨の店も加わり、現在のような商店街へと発展してきました。
アメ横が最もにぎわうのは年末。毎年、正月のおせち料理の材料などを探す人たちの数は、1日約50万人にも上ります。押し合いへし合いしながら新巻鮭やカズノコの値切り交渉が繰り広げられる光景を眺めていると、対面販売が主流だった時代が懐かしく思い出されます。

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台の上から呼び込む店員。ちょっと殺気立ってます

まちは時代の写し鏡。ひっそりした横丁もいいけれど、戦後史をなぞりながら生き残るアメ横は、アジア的カオスとエネルギーが身上です。

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村上 健 Ken Murakami
編集者の仕事の傍ら、各地の風景を描く。著書に『昭和に出合える鉄道スケッチ散歩』『怪しい駅 懐かしい駅』がある。

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月刊不動産流通2015年12月号掲載

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