街のコト

400年前の気配を残すまち(大分県/臼杵市・二王座歴史の道)

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(ライター:村上 健)

前夜来の雨で、武家屋敷のしっくいと板壁をにぶく映す石畳の坂道を歩いていると、背後に人の気配。さては刺客か……。てなことはないけれど、そんな妄想すら巡らしたくなるほどひっそりとして古風な一画です。

ここは豊後水道を挟んで四国と向き合う九州の小さな城下町、臼杵。貴重な江戸初期のまちなみがそっくり残され、国交省の「都市景観100選」にも選ばれた「二王座歴史の道」です。

人口減少が加速するなか、多くの自治体はまちおこしを狙い、ゆるキャラやB級グルメの開発に熱心ですが、聞けば臼杵市が目指すのは「まちのこし」。何世紀にもわたって地域が育んできた景観や文化などの財産をテコに、活性化を目指しているのだとか。まちの経済をそれがどれほど支えているかはともかく、少なくとも内外からの旅行客でイモの子を洗うような混雑ぶりの有名観光都市より、ずっと魅力的です。

創業400余年、風情あるみそ・しょうゆの店「カニ醤油」

ついでに言えば、二王座周辺には名産のフグを出す料亭もあります。また行きたいなあ、臼杵。

村上 健 Ken Murakami
編集者の仕事の傍ら、各地の風景を描く。著書に『昭和に出合える鉄道スケッチ散歩』『怪しい駅 懐かしい駅』 がある。

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月刊不動産流通2018年4月号掲載

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