暮らしのコト

麺は口ほどにものを言う~ご当地ヌードル探訪~

真っ赤な麺は予想を裏切る味! 新潟県妙高市赤倉温泉の「レッド焼きそば」

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日本各地に根付いた「麺料理」を求めて、全国を巡る「ご当地ヌードル探訪」。今回は新潟県妙高市の赤倉温泉にやってきました。ここは標高700メートルを超える高原の温泉。地域一帯は妙高戸隠連山国立公園に指定されています。

野趣あふれる露天風呂が楽しめる「滝の湯」。硫黄のにおいが漂います。

野趣あふれる露天風呂が楽しめる「滝の湯」。硫黄のにおいが漂います。

岡倉天心最期の地としても知られ、天心ゆかりの法隆寺夢殿を模した六角堂が建てられています。

岡倉天心最期の地としても知られ、天心ゆかりの法隆寺夢殿を模した六角堂が建てられています。

江戸時代から続き、今年で開湯200周年を迎える赤倉温泉にご当地グルメが誕生したのは2011年。その名も「レッド焼きそば」です。赤倉温泉の「赤」にちなんだ焼きそばで、その強烈な見た目が訪れた観光客を驚かせています。発祥の店「みよしや」で、確かめてきました!

■激辛かと思いきや!

今から50年ほど前に、赤倉温泉で食堂として開店したみよしや。みやげ店や食堂が軒を連ねる温泉街のメインストリート、赤倉中央通りの一番端に位置します。

みよしや。 レンガや煙突などロッジ風のデザインです。

みよしや。 レンガや煙突などロッジ風のデザインです。

店内も高原リゾートの雰囲気を漂わせるシックな内装。

店内も高原リゾートの雰囲気を漂わせるシックな内装。

案内してくれたのは、三代目の田子進也さん。入り口にある券売機を見ると、カレーライス、オムライス、味噌ラーメン、カツ重など食堂らしい充実したメニューが並んでいます。そのなかで本日注文するのはもちろん、レッド焼きそばです!

レッド焼きそば。「ハーフ」サイズもあります。

レッド焼きそば。「ハーフ」サイズもあります。

レッド焼きそばという名にふさわしい見事な赤色! 麺が赤く、具材の玉ねぎもやしも赤く、元から色付きの赤ウインナはさらに赤く染まっています。ナポリタンやミートソースのようなオレンジがかった赤とは明らかに違います。どう見ても激辛料理の色合いですね。

持ち上げてみても、やっぱり赤い!

持ち上げてみても、やっぱり赤い!

麺はつけ麺のような太さの極太麺。思い切ってほおばると、予想外の味にびっくり! こんなに赤いのに、全然辛くないのです。てっきり唐辛子を使っていると思いましたが、あのピリッとした刺激は、いつまでたってもやってきません。

田子さん「この赤は高原野菜のトマトとパプリカで作ったソースの色なんです。普通の麺は黄色いものなので、赤いソースをからませるとナポリタンのようなオレンジ色になってしまいます。でもレッド焼きそばに使うのは、米粉をブレンドした白っぽい麺。そこにソースの色がのるから、真っ赤に染まってくれるんです」

極太の米粉麺はつるりと食べやすく、もっちりとした食感です。からむソースは塩味とこしょうが効いたちょっぴりスパイシーな味わい。じっくり味わうとトマトとパプリカのさわやかな風味が鼻から抜けていきました!

温泉卵に箸を入れて、とろとろの黄身をからめながら。

温泉卵に箸を入れて、とろとろの黄身をからめながら。

そして赤い麺の上には存在感のあるトッピングが2つ。温泉卵大葉です。温泉卵は温泉地らしいトッピングですね。

田子さん「大葉は妙高市産を使っています。実は妙高市には“リケンの青じそドレッシング”の工場があって、この大葉はドレッシングの原材料にもなっているものなんです。農家から直接仕入れたものなんですが、やはり質はいいですね」

温泉卵は塩味のあるソースをまろやかに。香り高い大葉はさっぱりとした風味をプラスしてくれます。うれしい2つのアクセントで食欲増進! すいすい平らげてしまいました。

■上越地方の3色焼きそば

新潟県の上越地方には、黒・白・赤と色をテーマにした3つのご当地焼きそばが存在します。赤はレッド焼きそば。そして黒は糸魚川市の「糸魚川ブラック焼きそば」、白は上越市の「謙信公 義の塩ホワイト焼きそば」で、上越の三大焼きそばと並び称されています。このなかでレッド焼きそばは一番新しいご当地グルメです。

田子さん「糸魚川市がブラック焼きそば、上越市がホワイト焼きそばを始めたときに、妙高市もやってみようという話になったんです。脈絡なくうちだけラーメンにしてもしょうがないから、焼きそばにして三市巡ってもらえるようなかたちにできたらいいなと。それで、ブラック焼きそばの団体さんに相談したら、みんなでやろうと言ってくれたんです」

そして、田子さんも所属する赤倉温泉観光協会や旅館組合、婦人会、青年団などが集まって開発がスタートしました。もちろん、普通のソース焼きそばを作っても面白くはありません。最初に悩んだのは、黒と白に続いてどんな色にするか

田子さん「最初はに近い色にしようという意見がありました。妙高高原の高原のイメージでしたが、最終的には赤倉温泉の『赤』に決まりました」

みよしやの一角でマスコットキャラクターを発見! レッド焼きそばとともに誕生した「レッド君」です。

みよしやの一角でマスコットキャラクターを発見! レッド焼きそばとともに誕生した「レッド君」です。

テーマカラーは赤。その色からは、どうしても辛い味付けが連想されがちですよね。

田子さん「でも、もし赤いのに辛くなかったら不思議に思いませんか? 赤くて辛いのは当たり前なので、それだけはやめようと思ったんです」

そうした着想から生まれたレッド焼きそばは、現在赤倉温泉を中心とした地域の5店舗で提供中。製麺所が作る米粉麺やソースのレシピを各店舗が共有し、ベースは同じ味を保ちながらも、トッピングなどで独自の工夫を凝らしています。逆に激辛にアレンジしている店舗もありますが、ほとんどは見た目と相反する味わいです。

三代目の田子進也さん。

三代目の田子進也さん。

そんな「不思議な」レッド焼きそばの味は「お客さんに感じていただきたい」と田子さんは言います。

田子さん「お客さんには、よく何味かと聞かれます。でも、あえて言わないようにしているんですよ。実際に食べてみていただいて、こんな味なんだ、あんな味なんだと感じてもらうのが、一番いいのかなと思っています」

妙高山でアクティビティーを楽しむ人の滞在先でもある赤倉温泉。高山植物が栄華を誇る夏のトレッキングや、上質なパウダースノーで海外からも人気がある冬のスキーなど、本格的なレジャーシーズンはまだこれから。ますますにぎわう赤倉温泉へ行って、あなたの舌でレッド焼きそばを味わってみてください!

  • 店舗情報
    ● みよしや
    住所:新潟県妙高市赤倉476
    電話:0255-87-2068
    営業時間: 12:00〜14:00(LO13:30)、19:00〜21:00(LO20:30)、不定休
    http://www.akakura.gr.jp/gourmet/

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

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