まだ見ぬ「麺料理」を求めて日本全国を巡る「ご当地ヌードル探訪」。今回は、うどん発祥の地・福岡博多から「ごぼう天うどん」を紹介します!
“うどん県”を差し置いて“うどん発祥の地”を名乗る博多。
博多のうどんの歴史は長く、1241年に聖一国師という僧が中国から製粉技術を持ち帰ったことから始まるのだとか。
聖一国師が開いた承天寺には、「饂飩発祥の地」のほかにそのときに一緒に持ち帰った饅頭や羊羹の発祥の地の碑があり、正当性を主張しています。
博多うどんは、もともと博多の商人たちが手早く食事をするために考えられたファストフードとして発展。
うどんというと讃岐うどんのようなコシがある固いものを想像しますが、博多うどんはコシ感ゼロ。伸びているわけではないのですが、すぐに噛みきれて消化がいいようにもっちりふわふわで柔らかいところが最大の特長です。
トッピングとして人気なのがごぼうの天ぷら(ごぼう天)。
地元で愛されているので、博多のうどんの歴史と同じぐらい古いのかと思いきや、意外にも明治以降の発祥で新しい具材のようです(残念ながら発祥のお店は現存せず)。
■五郎さんが食べていたあのお店の「ごぼう天うどん」
今回、紹介するのはthe庶民の味「みやけうどん」の「ごぼう天うどん」。
このお店、TVドラマ「孤独のグルメ」で井之頭五郎が訪れたお店なのです!
ドラマでは「まる天うどん」でしたが、「ごぼう天うどん」も人気メニュー。
ドラマに出るほどの有名店なのでどんな歴史があるのかと聞いてみたところ、
三宅さん「うちはそんなに歴史は古くないんですよ。昭和29年創業で今年で61年になります。博多のうどん店では歴史が浅いほうですね。創業以来の伝統の出汁で、体にやさしい味を提供していますよ」
と謙遜していましたが、さすがはうどん発祥の地。61年程度では“浅いほう”に分類されるようです。
早い・うまいがモットーの博多うどんなので、注文すると「すぐにできますよ」と大将。
その言葉の通り、大将と雑談をしているうちにお目当てのごぼう天うどんが登場。
みやけうどんの「ごぼう天」は丸いかき揚げタイプ。
ちなみに、ごぼうをバラバラに揚げたタイプや鳥の巣のようなかき揚げにしたタイプなど、お店によって違うんだそう。
出来合いの天ぷらだから…と思って口に入れると……。衣が出汁を吸ったふわふわの食感に衝撃を受けます。
シャキシャキのごぼうと溶けた衣に麺を絡めて食べると実に美味しい!
うどんを飲み込むときに喉につかえる感じもなく、透き通ったしょう油味の出汁もすっと体の中に入って、博多うどんは「体に優しい味」なんだと再認識しました。
もちもちにゅるっとした食感が特長の博多うどんですが、太麺を使うみやけうどんでは、その特長がさらに強調されます。
三宅さん「麺は幅広の特注麺です。博多の人は待つのが苦手なので(笑)、早く出せるように工場で一度茹でた麺をお店では温めるだけ。トッピングも店内調理ではないので、注文を受けたらすぐに出せるところもうちの魅力でしょうかね」
■ワンコインでお腹いっぱい幸せになれる味
三宅さん「うちのうどんは特別な素材を使っているわけではないので、すごくシンプルで、家庭の味に近い味なんです。最近はこだわった味のうどん屋もありますが、うちのうどんは毎日食べても飽きないと言ってもらっています」
家で作るうどんと同じような味というのは価格にも現れていてうどんは一杯320円。トッピングは80円なのでごぼう天やまる天を乗せてもワンコインでお釣りがくる嬉しい価格も魅力のひとつ。
もっちり太麺で量も多いので、一杯でも十分お腹いっぱいになります。
ちなみに、常連さん曰く、「1個50円のおいなりさんもおいしい」そうです。
「孤独のグルメ」に登場以来メディア露出が増えたとのことなので、行列店になっているのかと思いきや…。
三宅さん「博多駅や街の中心地の天神から離れとるけん、細々としとりますよ(笑)」
とのこと。
井之頭五郎も認めた“普通のうどん”を食べるなら、ぜひ、みやけうどんへ。
- 店舗情報
●みやけうどん
住所:福岡市博多区上呉服町10-24
電話:092-291-3453
営業時間:11:00~18:00(土曜~17:00)定休日:日祝日
※記事中の情報・価格は取材当時のものです。