日本各地で愛される「麺料理」を求めて全国を巡る「ご当地ヌードル探訪」。今回は日本海側では唯一の政令指定都市、新潟市へ。米どころとして有名なこの地で、老若男女問わず親しまれている「イタリアン」。イタリアのヌードルといえばパスタですが、それと新潟市にどんな関係があるのでしょうか? at home VOXはその謎を探るべく、新潟県内に全24店舗を展開するイタリアンの元祖「みかづき」万代店を訪れました。
イタリアンは、もやし入りの焼きそばにトマトソースをかけた、ハイブリッド(?)な麺料理。そもそもなぜ、新潟でイタリアンなの!? 誕生秘話を広報・小林さんにお聞きしました。
小林さん「昭和34年、社長(現会長)が当時東京で人気だった『焼きそば』にヒントを得たことがきっかけ。そのままではつまらないので、青のりの代わりにミートソース、はしの代わりにフォークを添えることにしたんです。スパゲティのようなので、なんとなく「イタリアン」という名前が浮かびました」
当時、ラーメン1杯70円、イタリアンは1杯80円で販売していたそうなので、ちょっとしたごちそうメニューだったようです。
小学校のお祭りフードとして定着
その後、小学校のバザーへ出店したことをきっかけに、多くの学校から依頼が殺到。新潟市で広く人気を得ることになりました。
小林さん「新潟の人にとってイタリアン=バザーで食べるもの、というイメージが強いですね。バザーは文化祭の時の豪華な給食のようなもの。体育館で飲食・食品業者から仕入れた色々な食べ物を、父兄が販売するんです。助六寿司や団子に並んでイタリアンも定番となっています」
現在でも市内のほとんどの小学校や大学、約170校ほどに納品しているというから驚きです。子どもの頃の楽しい思い出と結びついた、なつかしい味わいなんですね。
ジャンクなイメージとは裏腹な、やさしい味わい
さっそく食べてみると、見た目と違いそのまろやかさにびっくり! ケチャップ味かと思ったソースは、とがったところのないトマト味。ほのかな甘みも心地よく、もう一口、もう一口と食べ進めたくなってしまいます。

小林さん「トマトと同量の炒め玉ねぎを使い、甘さを出しています。毎日のように気軽に食べてもらえるよう、薄めの味つけにしているんですよ」
歯ごたえがしっかりとした太めの角麺も、いわゆる焼きそば用の蒸し麺とは似て非なるもの。発売当初、現会長自ら試作を重ねただけある、納得のおいしさです。麺にからむソースもオリジナルというから、そのこだわりぶりには脱帽!

小林さん「ソースにもトマトをたっぷりと使い、一般的なウスターソースよりもあっさりと仕上げています。麺だけ、ソースだけで食べるとちょっと物足りないんですが、合わさるとちょうどいいんですよ」
確かに、ソースの甘みと麺の抑えめのスパイシーさが、絶妙のバランス。これで330円だなんて、新潟の良心と言っても過言ではありません。
食べる人を飽きさせない、豊富なラインナップ
イタリアンと同じ麺に、各種のソースをかけたメニューの豊富さも、みかづきの特徴。発売初期からあるホワイトイタリアンや、カレーイタリアン、トマトツナがレギュラー。加えて季節メニューも食べる人々を楽しませます。
小林さん「季節メニューは、春夏秋冬の各シーズンで3メニューずつ、年間12品出しています。これまでに、麻婆やエビチリ、牛丼、トマトシチュー、越後味噌なんかもありましたね」
50年もの長い間、老若男女に愛されるワケ
昭和35年に生まれたイタリアンは、今年でなんと54歳。変わらぬ人気の秘訣はどこにあるのでしょう。

小林さん「味はずっと同じではないんです。私が入社した昭和52年と比べると、麺はやわらかくやや細めになり、おいしくなっています。ソースも以前はもう少し味が濃かったのですが、今の社長になってから薄味になっています」
発売から進化をし続け時代に応じた姿勢こそ、長く愛され続ける理由なのでしょう。
小林さん「実はみかづきの客層は、10代〜70代まで年代差がなく、ほぼ均等なんです。上は、イタリアン誕生当時16〜18歳だったお客様から、下はお孫さんの世代まで広く食べていただいています。割引のクーポンを配っているのですが、土曜の昼にはそのクーポンをにぎっておつかいに来る小学生がたくさんいるんですよ」
今までも、これからも愛され続ける新潟市民のソウルフード。新潟のグルメを味わいたいなら、まずイタリアンを食べることをおすすめします!
- 店舗情報
●みかづき万代店
住所:新潟県新潟市中央区万代1丁目6-1 万代シティ バスセンター2階
電話:025-241-5928
営業時間:10:00~20:00 定休日なし
http://mikazuki-go.com/
※記事中の情報・価格は取材当時のものです。