今週末の北陸新幹線開通を祝して、先日のアンケート記事「新幹線通勤に憧れるのは30代女性! では、毎月の定期券代は……?」に続いて、新幹線の話題をもう1本お届けします。
at home VOXのアンケートで「北陸新幹線に乗ってみたい」人は55.6%と過半数を越えていることからもわかるように、人々の心をつかむ新幹線。容易に通勤などでは使えない(!)、非日常感・特別感があるからでしょうか?
新幹線をこよなく愛する鉄道ファンも多く、見る・乗る・撮るなど、さまざまな楽しみ方があります。デイープな人になると、時刻表を読んで楽しむ人もいるそうです。
「そこまでディープな世界はちょっと……」という人がほとんどだと思いますが、開業を間近に控えて盛り上がりを見せている北陸新幹線を駅で見かけたり、これから乗る予定のある人は、記念にパシャリと写真を一枚、撮ってみたくなるのでは?
そこで今回は、鉄道の中でも新幹線が特に好きという埼玉県在住の自称「撮り鉄」のSさんに、新幹線の撮影テクニックを教えてもらいました!
■今すぐ使える「撮り鉄」テクニック
「撮り鉄」とは、鉄道を写真に撮ることを楽しむ鉄道ファンのこと。そこで、Sさんによる駅のホームで新幹線を撮るときのワンポイントアドバイスをお届け! インスタント「撮り鉄」になってみましょう。
●停まっている新幹線を撮る
Sさん「奥行きのある構図で撮るとカッコイイですよ。先頭車両の正面からホームの反対側まで見通せる角度で撮れば、先頭車両の表情と、車両の長さの両方を一枚の写真に収められます」
●走っている新幹線を「正面から」撮る
Sさん「ホームの端から、接近してくる新幹線を望遠で狙ってみましょう。望遠レンズには遠近感を圧縮する効果があり、前後に長い車両がコンパクトに写るので、車両全体をフレーム内に収めることができます」
●走っている新幹線を「横から」撮る
最後はちょっとレベルの高いテクニック。
Sさん「スピード感を表現できる『流し撮り』にチャレンジしてみましょう。シャッターを切りながら(連写できるとなおよし)走っている新幹線をカメラで追いかけます。ピントが合っているところはシャープに、それ以外のところはブレて写るので、スピード感のある写真になります」
●撮影時はマナーとルールを厳守!
駅は公共の場なので列車の運行はもちろんのこと、乗客や駅員さんの邪魔にならないように配慮しましょう。ほかにも撮っている人がいる場合は、譲り合いの精神が大切です。なお、駅では三脚とストロボの使用はNGです。
Sさん「三脚は場所を占有し、通行人の邪魔になるため事故やトラブルにつながる危険性があります。そしてストロボは、運転手や車掌、駅員の方々の業務の支障になるため絶対禁止です!」
■カラフルなJR東日本の新幹線たち
北陸新幹線をきっかけに、他の新幹線も興味が出てきたという人も多いかもしれませんね。そこで、Sさんに魅力的な新幹線を紹介してもらいましょう。
Sさん「新幹線といえば、白い車体に青いラインの車両をイメージする人は多いと思います。これは初代の0系から続く、JR東海が運行する東海道新幹線のカラーリングです。それに対してJR東日本の新幹線、とくに新しい車両は大胆な色使いが特徴で、すごくインパクトがあるんですよ。実際に見てみると、その鮮やかなカラーリングに魅了されてしまい、カメラを向けずにはいられません!」
Sさん「ちなみに、僕がいつも新幹線を見に行くのはJR大宮駅。大宮駅はJR東日本の新幹線がすべて通過するので、いろいろな車両が見られるオススメスポットなんですよ。東京駅に比べて人が少ないのも理由のひとつですね。とはいえ、見に行くときはやっぱり乗客や駅員の方々の邪魔にならないように気をつけてください」
■東北新幹線は2つの車両が連結して走る!
Sさんいわく、「東北新幹線の連結車両がいちばんテンションが上がる」とのこと。その理由は、東北新幹線は異なる車両同士がつながって走る編成があるからだそうです。
Sさん「東北新幹線は、福島駅で山形新幹線と、盛岡駅で秋田新幹線と分岐します。連結しているのはこの3つの路線です。東京〜大宮間は上越新幹線、北陸(長野)新幹線も走っているので、これらすべての路線がバラバラに走ったらかなりの過密ダイヤになります。そこで、東北新幹線と秋田・山形新幹線をまとめて運行することで、ダイヤの過密を緩和していると言われています」
■出会えたら超ラッキー! 新幹線のお医者さん「East i」
黄色い新幹線を見たことがある人はいますか? Sさんいわく、それは非常にラッキーなことだそうです。
Sさん「黄色い新幹線は通称「ドクターイエロー」と呼ばれています。正確には「新幹線電気軌道総合試験車」といい、新幹線の高速運転を支える様々な設備の状況を走りながら測定する、言わば「新幹線のお医者さん」です」
そのドクターイエローは、日本各地を走っているのでしょうか?
Sさん「ドクターイエローは、東海道新幹線のエリアを走っています。JR東日本のエリアでその役割を果たしているのが、「East i(イーストアイ)」という車両です。ドクターイエローやEast iを見かけることがラッキーだという理由は、これらは業務用の車両なのでダイヤが公開されておらず、いつどこで走っているかわからないからです。もし出会えたら必ず写真を撮っておきましょう! 新幹線ファンに自慢できますよ」
■来年は新幹線が北海道上陸、そしてリニアも!
北陸新幹線が開業したら、もう新しい新幹線は生まれないのでしょうか?
Sさん「ちょうど1年後の2016年3月(2015年度末)には、「北海道新幹線」の開業が予定されています。来年の今頃には、新幹線が青函トンネルを走っているはずですよ。まずは新青森駅から新函館北斗駅までの区間が開業され、札幌までは2030年度に開業予定となっています」
いよいよ北海道まで新幹線が到達するのですね。
Sさん「さらに現在、東京〜新大阪間をつなぐリニア新幹線の計画が進行中です。リニア新幹線は、東京〜新大阪間を67分で結ぶとされています。東京から大阪まで1時間ほどで着くなんて、恐るべしリニアです!」
新幹線ファンにとっては、新幹線にはまだまだ楽しみが控えているようです。
新幹線は街を発展させる成長促進剤
知れば知るほど奥深い、新幹線の世界。最後にSさんに新幹線への想いを語ってもらいました。何がSさんの心をつかむのでしょうか?
Sさん「鉄道は移動手段のほかに、街を発展させる成長促進剤だと思うんです。鉄道が通ることで街が大きくなり、新たな建物が生まれ、人が集まってくる。その影響力の大きさにワクワクするんですね。新幹線なんてまさにその代表格ですね」
北陸新幹線の開業によって、まさに今盛り上がっている北陸地方。北海道新幹線やリニア新幹線で、さらにどんな変化がもたらされるのか――気になるあなたはすでにディープな世界に足を踏み入れているかもしれません。
Sさん「新幹線に何らかのワクワクを感じた人は、『鉄分』(鉄道ファンの素養を指す俗語)アリです! まずは手始めに、駅に車両の見物に行ってみませんか? 大人1人140円(JR東日本の場合)の入場料で2時間まで駅構内にいられますから、暇つぶしとしてもコストパフォーマンス抜群ですよ」