暮らしのコト

麺は口ほどにものを言う~ご当地ヌードル探訪~

7つの具材とカレー粉で店の数だけ味が広がる! 茨城県古河市の「七福カレーめん」

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日本各地に根付いた「麺料理」を求めて、全国を巡る「ご当地ヌードル探訪」。今回は茨城県古河市へやってきました。ここは江戸時代に城下町や宿場町として栄えた土地で、情緒のある景観や歴史スポットの散策を楽しめます。

JR古河駅前。市の花であるハナモモが咲き誇る3月から4月にかけて「桃まつり」が開催されます。

JR古河駅前。市の花であるハナモモが咲き誇る3月から4月にかけて「桃まつり」が開催されます。

駅から少し歩くと、歴史ある蔵やみやげ店などが並ぶ一角もあります。

駅から少し歩くと、歴史ある蔵やみやげ店などが並ぶ一角もあります。

観光に訪れる人も多い古河で、近年話題になっているご当地グルメが「七福カレーめん」です。街にゆかりのある麺とカレーがテーマの料理だそうですが、店ごとに味はまったく違うのだとか。七福カレーめんを開発した「古河の七福カレーめん実行委員会」の委員長が営む店「中華料理 喜楽飯店」で話を伺ってきました!

■7つの具材と地元のカレー粉で作る!

喜楽飯店は1970年に創業した中華料理店。ラーメンやギョーザ、チャーハンといったスタンダードな中華を昔と変わらない味で提供し、地元客に愛され続ける一軒です。

駅の東口を出て左手すぐにあります。

駅の東口を出て左手すぐにあります。

天井が高く開放的な雰囲気の店内。

天井が高く開放的な雰囲気の店内。

案内してくれたのは、七福カレーめん実行委員長を務める店主の森敏夫さん。七福カレーめんとは、どんな料理なのでしょう?

森さん7つの具材地元で製造されているカレー粉を使った麺料理です。ルールといえばそれくらいで、具材や麺は何を使っても大丈夫です」

そうしたゆるやかな枠組みのなかで、バラエティー豊かな麺料理が誕生しているのが、七福カレーめんの特徴です。それでは、喜楽飯店の七福カレーめんを味わってみましょう!

「古河の七福カレーめん」。入れる野菜は季節によって変わるそうです。

「古河の七福カレーめん」。入れる野菜は季節によって変わるそうです。

喜楽飯店の「古河の七福カレーめん」はラーメンでした。7つの具材はうずらえびおこげ牛肉ちんげん菜ナルトほうれんそう。揚げたてのおこげがスープのなかでバチバチと音を立てて、食欲を刺激してくれます。

森さん「おこげに中華料理店らしさが出ていると思います。実は“焦がし飯”“古河市飯”を引っ掛けたものでもあるんですよ(笑)」

スープは店自慢のラーメンのしょうゆスープカレー粉を合わせたもの。優しいしょうゆの味わいと辛さ控えめのカレーのまろやかさが、見事に調和しています。

丼ぶりが大きく、麺の量もなかなかのもの。

丼ぶりが大きく、麺の量もなかなかのもの。

麺はストレートの細麺。ずずっとすすると、細麺ならではののどごしの良さとカレーの濃厚な味わいが楽しめます。昔ながらのあっさりとしたしょうゆスープと合わせているので、食べ進めてもカレーを重たく感じないのがいいですね。あっという間に完食してしまいました!

■七福カレーめんは「おもてなし」

森さん「七福カレーめんは市内の23店舗で提供されていますが、店ごとに料理の中身がまったく違います。古河に来た方には、ぜひいろいろな味を楽しんでほしいですね」

それでは、その他の店舗ものぞいてみましょう! まずは1956年創業の老舗そば店「手打そば処 境屋」へ。

落ち着いた光が照らすカウンター席のほかにテーブル席や座敷席も。

落ち着いた光が照らすカウンター席のほかにテーブル席や座敷席も。

おしゃれな和の雰囲気が漂う境屋のそばとうどんは、店名に偽りなくもちろん手打ち。さらに通もうなるような日本酒や焼酎を豊富にラインナップしており、酒の肴も充実しています。この店で提供されているのが、「七福カレーうどん」です。

「七福カレーうどん」。器は大ぶりで、満足感が高い一杯です。

「七福カレーうどん」。器は大ぶりで、満足感が高い一杯です。

7つの具材は赤パプリカえびかぼちゃ鳥の唐揚げなすブロッコリーれんこん。極上のかつお節やさば節、宗田節などでしっかりだしを取ったつゆは、カレーと合わさってとろりとした濃厚なテイストに。カレー粉は合わせる前に焙煎しているため、スパイスの香り高さをよく感じられます。しっかりとしたコシがある手打ちのうどんと濃厚なつゆで、正統派のカレーうどんの味わいを楽しめる一杯です!

続いて、古河ゆかりの作家の作品などを展示する観光スポット「古河文学館」の2階にあるイタリアンレストラン「古河市観光協会 唐草」に行ってみましょう。

店内は古河文学館と同じテイストの木材を使用し、隠れ家的な雰囲気。

店内は古河文学館と同じテイストの木材を使用し、隠れ家的な雰囲気。

観光客や地元の主婦でにぎわう唐草。地元産の食材にこだわり、昼は手軽なランチメニューを取りそろえ、夜は本格的なイタリアンのコースをふるまってくれます。この店で提供されているのは、「カポナータのミートソースカレー風味」です。

「カポナータのミートソースカレー風味」。地元産の野菜がふんだんに使われています。

「カポナータのミートソースカレー風味」。地元産の野菜がふんだんに使われています。

カポナータは付け合わせとして魚の下に敷いたり、前菜として食卓に並んだりするイタリアの伝統料理。それをミートソースとカレー粉で合わせた創作イタリアンです。具材にはたまねぎやなす、ピーマンなど7種類以上の野菜や肉を使用。ちょうどいい歯ごたえにゆで上げられたパスタをソースに絡めて食べると、甘酸っぱさのなかにほのかなカレーの香りを感じます。イタリア料理らしさを崩さないように、カレー粉を主張しすぎない絶妙なバランスで入れた一品です!

そんなバラエティーに富んだ七福カレーめんの開発が始まったのは2005年。商工会議所のメンバーが知恵を出し合った結果、「麺」と「カレー」という地元らしさのあるキーワードが浮上したそうです。

森さん「古河は昔から日本そばの店が多い土地。さらに唐辛子の取扱量が日本一の企業があって、そこではカレー用のスパイスや自社のカレー粉も扱っていました。古河のカレーめんには、この企業のカレー粉が必ず使われています」

準備にかけた約2年間の期間のなかで、悩んだことのひとつはネーミング。ちょうどその時期に開始されたのが「古河七福神めぐり」でした。古河駅周辺に点在する七福神を祭るスポットをめぐり、専用の台紙に押印していくという催しで、街を散策しながらチャレンジしている観光客の姿も見られます。

えびすを祭る神社。複数箇所で祭られている七福神もいるので全部で10カ所をめぐります。

えびすを祭る神社。複数箇所で祭られている七福神もいるので全部で10カ所をめぐります。

森さん「麺とカレーを、ちょうど始まった古河七福神めぐりとドッキングさせたんです。7つの具材を使うというルールも、七福神にちなんだものですね」

こうして完成した七福カレーめんは、アイデアを集めて地元のエッセンスを詰め込んだ、ご当地グルメだったのです。

森さん「七福カレーめんは、古河に来てくれた方へのおもてなしのひとつだと思っています。一度来て食べてみて、気に入ったらまた古河を訪れるきっかけになってくれるとうれしいですね」

古河市があるのは関東平野のほぼ中央。東京をはじめ関東圏に住む人にとっては、アクセスしやすい場所にあるので気軽に訪れてみてはいかがでしょう。ノスタルジックな街並みとおもてなしの心が詰まった七福カレーめんに、癒やされること間違いなしですよ!

  • 店舗情報 ● 中華料理 喜楽飯店(古河の七福カレーめん)
    住所:茨城県古河市東1-1-5
    電話:0280-32-6191
    営業時間:11:00〜26:00(無休)
    http://www.e-koga.info/curry/top.php?ID=73&cID=2

    ● 手打そば処 境屋(七福カレーうどん)
    住所:茨城県古河市東1-11-29
    電話:0280-32-3526
    営業時間:火〜土11:00〜15:00/17:00〜22:00、日・祝日11:00〜20:00(月曜・第三火曜休)
    http://www.e-koga.info/curry/top.php?ID=72&cID=1
    ※駐車場13台あり

    ● 古河市観光協会 唐草(カポナータのミートソースカレー風味)
    住所:茨城県古河市中央町3-10-21 古河文学館2階
    電話:0280-22-0330
    営業時間:11:30〜15:00、17:30〜21:30(月曜休、祝日の場合は翌日火曜休)
    http://www.e-koga.info/curry/top.php?ID=17

    ● 取材協力
    古河の七福カレーめん実行委員会
    http://www.e-koga.info/curry/(公式ホームページ)
    ※七福カレーめんの情報は公式ホームページをご確認ください

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

 

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