(ライター:村上 健)
幕末に戊辰戦争の舞台となった城下町・会津若松に、趣あるかいわいがあるのをご存じですか?
藩政時代に日光、越後、米沢街道が通り、問屋や旅籠が軒を連ねていた七日町通りがそれ。明治以降も繁栄を極め、昭和30年代までは市内随一の繁華街としてにぎわいました。
現在でも、JR「七日町」駅から東へ延びる1kmほどのメインストリート沿いや、交差する小さな通りのあちこちに、会津漆器や絵ろうそくの店、蔵元、和菓子店など、長年の風雪に耐えてきた老舗が健在。会津の歴史と文化に思いをはせて散歩をするにはもってこいのエリアです。
「あそこじゃない?」。スマホで検索中のカップルが、囲炉裏で焼く田楽で人気の店へ向かいます。ならば私もと、地元食材たっぷりの素朴な炊き込みご飯が曲げわっぱで味わえる店へ。七日町通りには、散歩で空いたお腹を満足させる郷土料理や会津ソバの名店も少なくありません。もちろん会津は米どころ、左党にうれしい地酒も待ってます、はい。
村上 健 Ken Murakami
編集者の仕事の傍ら、各地の風景を描く。著書に『昭和に出合える鉄道スケッチ散歩』『怪しい駅 懐かしい駅』がある。

月刊不動産流通2017年3月号掲載