(ライター:村上 健)
「高層ビルが林立し、広い道路が四通八達する名古屋の中心街。そんなまちに、「大須商店街」というちょっと異彩を放つ大アーケード街があります。
まちの歴史は古く、始まりは名古屋城築城のころの門前町にさかのぼります。しかし現在は、昔ながらの商店だけでなく、リサイクル専門店やパソコンショップ、果てはメイドカフェまで、実に雑多な店舗がおよそ1200軒。毎年夏には「世界コスプレサミット」なるイベントまで行なわれ、秋葉原顔負けのオタクの聖地と化しています。

商店街で見つけた、クルマと歩行者用が一体化した信号機
私も路地裏オタクよろしく、あちこちの路地をのぞいていると、懐かしいネオン看板を見つけました。「ともしびアパート」……。いい響きじゃないですか。聞けば、以前は地元サラリーマン向けの居酒屋さんだったようですが、現在はカフェや雑貨店が入居する小ぶりなテナントビルに。店内でくつろいでいるのは、オシャレな若者たち。
一昔前の空気が漂う路地裏が多い中、時代に合わせてモダンに変身を遂げる所もあるんですね。
村上 健 Ken Murakami
編集者の仕事の傍ら、各地の風景を描く。著書に『昭和に出合える鉄道スケッチ散歩』『怪しい駅 懐かしい駅』がある。

月刊不動産流通2015年11月号掲載