(ライター:村上 健)
「肉まんいかがですかー」「甘栗、味見してってー」。週末の横浜中華街。メインストリートはもちろん、横丁へ入っても、中華料理の店また店。東急東横線と東京メトロ副都心線が相互直通運転を始めて以来、横浜屈指の観光スポットは、以前にも増して人で溢れ返っています。
そんな中華街でオジサンの地味な散歩趣味を満たすのは無理かと思いきや、いい雰囲気の路地がありました。その名は「台南小路」です。
500を超えるという中華街の店のほとんどが、広東や四川など中国大陸の料理をウリにする中、ここは路地入口に刀削麺の店があるほかは台湾料理店が2軒。頭上に青天白日旗も飾られていますが、表通りと比べればノンビリムードが漂います。

店先でスマホに夢中な店の人
中国食材の段ボールやビールケースが無造作に積まれた薄暗い路地へ踏み込むと、店の勝手口に「停放自行車強制 走」と書いた警告文が目に入りました。放置自転車は強制撤去するぞという意味かな、フムフム。などと、ちょっぴり異国情緒を味わいつつ、本日の路地裏探検は早じまい。いざ、台湾料理店へ。
村上 健 Ken Murakami
編集者の仕事の傍ら、各地の風景を描く。著書に『昭和に出合える鉄道スケッチ散歩』『怪しい駅 懐かしい駅』がある。

月刊不動産流通2015年10月号掲載