
人気の出張カレーユニット「東京カリ〜番長」メンバーが、さまざまなカレーレシピを提案する連載「東京カリ〜番長直伝! 春夏秋冬カレー」の第28回。
今回は東京カリ〜番長のリーダー、伊東盛さんが「たっぷり春菊のポークカレー」を紹介してくれました。
このカレーは、スパイスではなくカレールウを使います。必要な材料の数も少なく非常にシンプルなカレーですが、特筆すべきは所要時間。なんと10分前後で完成してしまうのです!
いつも煮込んで作っている人なら「その手があったか!」と思わずうなってしまう、劇的時短カレー。これを知ったら、もう一般的なルウカレーの煮込むレシピには戻れなくなってしまうかも……? その作り方の秘密とは、いかなるものなのでしょうか?
伊東さん「東京カリ〜番長では、“炒(チャー)カレー”と呼んでいるタイプのカレーです。本当にあっという間に出来上がりますよ」
【材料(4人分)】
・豚肉(肩ロース/ブロックまたは焼肉用など厚めのもの):300g
・春菊:1パック(150g程度)
・タマネギ:1個
・トマト:1個
・カレールウ:4皿分
・お湯:450cc
・ゴマ油:大さじ1.5
■作り方
①材料を切る
②カレールウをお湯に溶かす
③豚肉を炒める
④タマネギを加えて炒める
⑤トマト、春菊の茎を加えて炒める
⑥春菊の葉を加えて炒める
⑦カレーソースを加えてひと煮立ちさせる
①材料を切る
・春菊はよく洗って3cm程度の長さに切ります。このとき、茎が太い部分と葉がメインの部分に分けておきます。
・豚肉はひと口大(30〜40g程度)に切ります。
・タマネギはくし形に切り、1枚ずつバラバラにしておきます。
・トマトはヘタを切り落とし、粗みじん切りにします。
伊東さん「くし形に切ったタマネギはくっついたままでは火が通りにくいので、1枚ずつにバラしておきましょう」
★ココがポイント!★
②カレールウをお湯に溶かす
お湯を沸かしてカレールウを溶かします。でも、ぐつぐつ沸騰しているお湯にルウを入れてはいけません。それは、なぜか? ポイントを動画で解説します。
【やり方を動画でチェック!】
※下の動画サムネイルをクリックすると、YouTubeに移動します。
〈カレールウをお湯に溶く〉
1.お湯を沸かす
2.鍋を火から下ろす(または耐熱計量カップにお湯を移す)
3.カレールウをお湯に入れて1分ほど放置する
4.かき混ぜてルウを溶かす
伊東さん「お湯の温度は95℃ぐらいがベスト。沸騰したらすぐに鍋を火から下ろして、その中にカレールウを加えます。沸騰しているお湯にルウを入れても溶けにくく、ダマになってしまうのです。ルウを加えてもすぐにかき混ぜず、しばらく放置しておくと溶けてきます。そうしたらかき混ぜましょう。また、煮込まない分、お湯の量はルウのパッケージに書かれている水分量より2〜3割少なくするのが目安。少なめにしておけば、あとからお湯を足して調整することもできます」
③豚肉を炒める
フライパンにゴマ油を熱し、強めの中火で豚肉を炒めます。片面ずつしっかり焼き色がつくまで炒めます。
伊東さん「普通の調理油を使っても問題ありませんが、ゴマ油を使うとコクと風味が増して、よりおいしくなります」
④タマネギを加えて炒める
タマネギを加え、強めの中火のまま炒めます。加熱する前は丸くカーブしていたタマネギが伸び、焼き色がついてしんなりすればOKです。
⑤トマト、春菊の茎を加えて炒める
トマトを加えて形が崩れるまで炒めたら、春菊の茎の部分を加えてざっくり炒めます。
伊東さん「写真のようにトマトの形がだいたい崩れたらOK。春菊はまず茎から先に炒めます。火を通しぎると春菊のえぐ味が出てしまうので、さっと炒め合わせましょう」
⑥春菊の葉を加えて炒める
続いて春菊の葉の部分を加え、しんなりするまで、さっと炒めます。
⑦カレーソースを加えてひと煮立ちさせる
ルウをお湯で溶いたカレーソースを加え、弱火でひと煮立ちさせれば完成です!

カレーは煮込んで作る料理というイメージが強いですが、これは“カレーソースで味付けした炒めもの”をごはんにかけて食べるというべき料理。そして、やはりスゴイのは、本当に10分前後でできてしまうこと。時間がないときでも、あっという間にカレーができるのです。
また、春菊とカレーの相性は抜群。春菊の風味がいい具合に立った、特徴的なカレーになっています。ぐつぐつ煮込まない分、春菊の味が損なわれることなく、その風味が活きたカレーができるのです。
今回は春菊や豚肉を使いましたが、材料はなんでもOK。キャベツ、ピーマン、ほうれん草、鶏肉、ベーコン、エビなど、お好みの材料でぜひ試してみてください。
さらに言ってしまえば、冷蔵庫のなかにある材料を使って適当に作っても、それなりにおいしくできちゃいます。こんな応用もできてしまうカレールウって、やっぱり素晴らしい発明品ですね。
【たっぷり春菊のポークカレーの極意】「カレールウ、お湯で溶いたらカレーソース!」
「カレールウといえば、具材をぐつぐつ煮込んだ鍋に加えるもの。多くの人は、それ以外の使い方をした経験がないかと思います。カレールウをお湯で溶かす今回のレシピ、『こんな作り方で本当においしくできるの?』と疑問に感じる方もいるかもしれません。でも、だまされたと思って、一度作ってみてください。きっと後悔はさせません。いえ、むしろあまりの手軽さに、従来の煮込むレシピにはもう戻れなくなってしまうかもしれません。その場合、当方では責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください(笑)。材料をあれこれ変えてみたり、いろいろなカレールウを使って比較してみても楽しいですよ!」
■レシピ考案・監修
東京カリ〜番長
1999年に結成された出張料理集団。全国各地のイベントでカレーのライブクッキングを行うほか、雑誌・書籍でのレシピ紹介、飲食店のメニュー開発を手掛ける。
https://www.facebook.com/tokyocurrybancho