
人気の出張カレーユニット「東京カリ〜番長」メンバーが、季節のおいしさを味わうカレーを伝授する連載「東京カリ〜番長直伝! 春夏秋冬カレー」の第25回。
今回は東京カリ〜番長のバーテンダー主任、ともいさんが、牛バラ肉をギネスビールに漬け込んで作る「大人ビーフカレー」を紹介してくれました。
ギネスビールといえばアイルランドの有名なスタウトビール(黒)。このビールで肉を煮込むと、とてもやわらかく、おいしく仕上がるのです。彼の地には「ビーフ・イン・ギネス」というシチュー料理があり、それをカレーにアレンジしたのがこの「大人ビーフカレー」です。
“大人”ということでさぞ辛口かと思いきや、意外に辛さは控えめ。でも、しっかりとスパイシーな味わい。これまで本連載で紹介してきたどのカレーとも違う、新たな味です。
いったいどんな味なのでしょうか? 気になるレシピをチェックしましょう。
【材料(4人分)】
・牛バラ肉:400g
・タマネギ:大1個
・芽キャベツ:12個
・ホールトマト:1/2缶
・ニンニク(みじん切り):1片分
・ショウガ(みじん切り):1片分
・小麦粉:少々
・オリーブオイル:大さじ1
・ギネスビール(エクストラスタウト)瓶:1本(330ml)
・フォンドヴォー:50cc
・トマトジュース:100cc
・水:200cc
・バター:20g
・塩:小さじ1/2
<ホールスパイス>
・シナモン:1個
・クローブ:小さじ1
・ローリエ:2枚
<パウダースパイス>
・コリアンダー:小さじ2
・クミン:小さじ1
・ホワイトペッパー:小さじ1/2
・ターメリック:小さじ1/2
■作り方
①牛バラ肉を切り、ギネスビールに漬け込む
②タマネギ、ニンニク、ショウガを切る
③牛バラ肉に小麦粉をまぶす
④牛バラ肉を焼き、いったん取り出す
⑤シナモン、クローブを炒める
⑥ニンニク、ショウガ、タマネギを加えて炒める
⑦ホールトマトを加える
⑧パウダースパイス、塩を加える
⑨漬け汁のギネスビール、フォンドヴォー、トマトジュース、水、ローリエ、牛バラ肉を加えて煮込む
⑩バター、下ゆでした芽キャベツを加えて軽く煮込む
①牛バラ肉を切り、ギネスビールに漬け込む
牛バラ肉をひと口大に切り、塩・コショウ(適量/分量外)をもみこんで、ギネスビールに3時間以上(できればひと晩)漬け込みます。大きな脂身はあらかじめ取り除いておきましょう。
ともいさん「ギネスビールはドラフト(缶入り)ではなく、必ずエクストラスタウト(瓶入り)を使ってくださいね。スタウトは麦芽を焦がしてビールを作る製法で、風味も濃厚。肉をやわらかくするだけでなく、おいしいカレーのもとになります」
②タマネギ、ニンニク、ショウガを切る
タマネギ、ニンニク、ショウガはみじん切りにします。
③牛バラ肉に小麦粉をまぶす
牛バラ肉を取り出し、水気を切って小麦粉を全体に軽くまぶします。漬け汁のギネスビールは、あとで使うのでとっておきましょう。
★ココがポイント!★
④牛バラ肉を焼き、いったん取り出す
鍋にオリーブオイルを熱し、牛バラ肉を全体的に色づくまで焼きます。焼き方のポイントを動画で解説しているので、確認しておきましょう。
【やり方を動画でチェック!】
※下の動画サムネイルをクリックすると、YouTubeに移動します。
〈牛バラ肉を焼く〉
1.鍋にオリーブオイルを加えて熱する
2.牛バラ肉を中〜強火で、時間をかけずにさっと焼く。焦げつかないよう、こまめにひっくり返しながら
3.焼き色がついたら牛バラ肉を取り出す
ともいさん「牛バラ肉には小麦粉をまぶしてあるので、焦げつかないように注意しましょう。黒く焦げつかなければ、鍋に多少くっつくのは問題ありません。焦げつきにくい鍋やフライパンなら強火で焼きます」
⑤シナモン、クローブを炒める
牛バラ肉を取り出したあとの鍋に残った油で、中〜強火でシナモン、クローブを炒めます。油が足りなければオリーブオイル(適量/分量外)を加えましょう。
ともいさん「シナモン、クローブの香りが立つまで炒めてください。2つのスパイスの香りが、このカレーの風味の土台になります」
⑥ニンニク、ショウガ、タマネギを加えて炒める
鍋にニンニク、ショウガを加えて中火で炒めます。色づいて青臭さが消えたら、タマネギを加えて強火でキツネ色になるまで炒めます。
ともいさん「タマネギが色づいて、じわじわと水気が出てくるぐらいが目安です」
⑦ホールトマトを加える
ホールトマトを加え、中火で炒めて水分を飛ばします。
⑧パウダースパイス、塩を加える
コリアンダー、クミン、ホワイトペッパー、ターメリック、塩を加え、中火で炒めながらよく混ぜ合わせます。
⑨漬け汁のギネスビール、フォンドヴォー、トマトジュース、水、ローリエ、牛バラ肉を加えて煮込む
とっておいたギネスビール、フォンドヴォー、トマトジュース、水、ローリエを加えて、強火で加熱します。沸騰したら弱火にして牛バラ肉を加え、アクを取り、ふたをして1時間以上煮込みます。
ともいさん「煮込むときは必ずふたをしてください。ふたをしないと肉がやわらかくなりません。できれば2〜3時間煮込んだほうが、肉がよりやわらかくなり、旨味も出ます」
⑩バター、下ゆでした芽キャベツを加えて軽く煮込む
肉がやわらかくなり、とろみがついてきたら、バターを加えます。3〜4分ほど下ゆでした芽キャベツを加えて、軽く煮込んだら完成です。
ともいさん「芽キャベツは今が旬。火を通りやすくするため、根元に十字の切り込みを入れてから下ゆでしましょう」

シナモンの甘い香り、クローブのちょっと刺激的な香りが、やわらかく煮込まれた牛バラ肉となじんだビーフカレー。さらに芽キャベツが、味と見た目にフレッシュさを加えています。辛さは控えめですが、ギネスビールの苦味とコクによって奥行きのある独特の深い味わいに仕上がりました!
味の秘密は、スパイスにもあります。今回はいつも使っているカイエンペッパーの代わりに、マイルドな辛みが特徴のホワイトペッパーを使いました。
最初にオリーブオイルで炒めるホールスパイスも、おなじみのクミンシードではなく、シナモンとクローブです。食べると香りが口の中で広がり、余韻を残しながらすーっと消えていきます。そして、すぐに次のひと口を運びたくなるのです。
アイルランドのシチュー料理を参考にしたレシピだけあって、寒い冬にじんわりと体の中から温まりそうなおいしさ。ほろ苦い麦芽の風味が生きた、大人のためのビーフカレーです。
肉を焼いた後に炒めるスパイスの種類を変えたり、最後にバターを入れる前にカレールウを入れたりしても、ひと味違ったビーフカレーが作れます。いろいろと工夫してみると、ますます楽しいですよ!
【大人ビーフカレーの極意】「肉を焼いたあとの鍋の中は旨味の宝庫!」
「牛バラ肉を焼いたあとの鍋の中には、肉から出た旨味や脂がたっぷり! 決してこれを洗い流してしまってはいけません。そこにオリーブオイルを足してスパイスを炒めれば、そのすべてをカレーのおいしさに活かすことができます。肉を漬け込んだギネスビールも同様に、すべて鍋の中に加えます。もし途中で鍋を取り替えたりする場合は、鍋の中にあるすべてをムダにすることなく、旨味のもとをフルに使いましょう」
■レシピ考案・監修
東京カリ〜番長
1999年に結成された出張料理集団。全国各地のイベントでカレーのライブクッキングを行うほか、雑誌・書籍でのレシピ紹介、飲食店のメニュー開発を手掛ける。
https://www.facebook.com/tokyocurrybancho