暮らしのコト

土地の魅力が凝縮! 全国「道の駅」めぐりの旅

「道の駅もてぎ」では全国NO.1の道の駅グルメとSLが楽しめる!

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全国の道の駅を巡る連載、今回は栃木県芳賀郡茂木町にやってきました!

茂木町といえば全国的に有名なのが、森の中のテーマパークでモータースポーツの会場としても有名な「ツインリンクもてぎ」。都会の喧騒とは離れた、自然があふれているのどかな山間の町です。

そんな茂木町に、今回紹介する「道の駅もてぎ」はあります。

なんでも今年9月、京都にて行われた全国の道の駅美味しいものNO.1決定戦「道-1グランプリ」で、初代王者に輝いたメニューを提供しているのだとか。

「道の駅もてぎ」。駐車場は広いものの、その人気で満車になることも!

「道の駅もてぎ」。駐車場は広いものの、その人気で満車になることも!

建物はいくつかに分かれていて、それぞれ形がユニークで目を引きますが、まずは一番大きな建物の産直野菜の売り場へ行ってみましょう。

メインの建物の右側が野菜直売所になっています。

メインの建物の右側が野菜直売所になっています。

店内は、さまざまな種類の野菜が、産地直売ならではの低価格でズラリと並びます。この季節が旬で茂木町の名産品でもある「柚子」もたくさん販売されています。また、栃木の名産品であるイチゴも、宝石のように美しいものばかり。茂木町イチゴは、ヘタの近くまで真っ赤に色づくほど完熟してから収穫するのだとか。そのため、ほかの産地に比べても甘味も強く、味の濃いイチゴになっています!

“朝どれ”の新鮮な野菜が並びます。地元名産の柚子は、鍋物や煮物にぴったり。

“朝どれ”の新鮮な野菜が並びます。地元名産の柚子は、鍋物や煮物にぴったり。

茂木産のイチゴは完熟しているので賞味期限は短めとのこと。その分甘さは格別!

茂木産のイチゴは完熟しているので賞味期限は短めとのこと。その分甘さは格別!

 売り場にはレシピの掲載も。季節によってバリエーションは豊富。

売り場にはレシピの掲載も。季節によってバリエーションは豊富。

産直野菜売り場の隣のスペースは「手作りアイスコーナー」。季節によってフレーバーは変わるそうですが常に15〜20種類のアイスが楽しめます。柚子やさつまいも、牛乳など、素材は地元産のものをなるべく使用。全てのアイスは、奥の工房で一から手作りしており、「余計なものは加えない安心安全で美味しいアイス」がモットーだそうです。

 手作りアイスのフレーバーは季節ごとに変わり、夏場はシャーベットも並ぶそう。

手作りアイスのフレーバーは季節ごとに変わり、夏場はシャーベットも並ぶそう。

冬期に一番の人気となるのは、産直野菜のコーナーで紹介した茂木の完熟イチゴを使用した「おとめミルク」。12月〜5月の期間限定販売ですが、週末にはこれを目当てに訪れるお客さんも多いとか。

注文が入ってから完熟イチゴを潰し、フレッシュミルクアイスと混ぜ合わせてくれるところが見られるのは、この店ならでは。ワクワク感も高まり、より一層美味しく食べられそうです!

「おとめミルク」310円。

「おとめミルク」310円。

「おとめミルク」は、牛乳のコクはしっかり感じますが、甘さ控えめで後味はさっぱり。そのためイチゴの甘さ、酸味、香りが引き立っています。粗めに潰されたイチゴの果肉感もしっかりと楽しめます。

イチゴのない6月〜9月は茂木産のブルーベリーを使用した「まるごとブルーベリー」が味わえるので、アイスの美味しい夏も楽しみですね。

そして、いよいよ「道-1グランプリ」で優勝した一品を味わいに行きましょう。お店はこちらの「十石屋」

十石屋は建物に向かって左端にあります。ランチタイムは行列必至です。

十石屋は建物に向かって左端にあります。ランチタイムは行列必至です。

入口に設置された券売機を見ると、「優勝」と赤い文字でアピールされたそのメニューがありました。「もてぎのゆず塩らーめん」。これが全国の道の駅グルメの中から初代王者に輝いたメニューです! 早速注文すると、待つこと数分で到着しました。

立ち昇る湯気から薫り高い柚子の匂いが…。野菜もたっぷり盛られており、色鮮やかです。

「もてぎのゆず塩らーめん」640円。

「もてぎのゆず塩らーめん」640円。

このゆず塩らーめんについて、道の駅もてぎを運営する株式会社もてぎプラザで企画・広報を担当している係長の阿島佳央さんにお話を伺いました。

阿島さん「ゆず塩らーめんは、鶏と豚でとった澄んだスープを使用し、味の決め手に茂木の名産である柚子果汁をベースに独自開発したゆず塩を使ってます。上にのせてある柚子の皮を全体によく混ぜて召し上がっていただくと、柚子の香りを最大限に味わっていただけるはずです」

たっぷり野菜の一番上に盛られているのが柚子の皮。

たっぷり野菜の一番上に盛られているのが柚子の皮。

全体をよく混ぜてみると、先ほどまでふんわりと香るぐらいだった柚子の香りが一気に花開きました! 心地よい柚子特有のさわやかな香りが口いっぱいに広がります。モチっとした中細の麺も、スープとよくマッチしています。

麺はなめらかな中細麺。もちもち食感がたまりません。

麺はなめらかな中細麺。もちもち食感がたまりません。

阿島さん「使用している麺は、地元の製麺屋さんと試行錯誤を重ねた独自のものを使用しています。そしてなんといってもゆず塩らーめんのポイントは、お好みで加えていただけるテーブル調味料のゆず酢です。これもラーメン用に開発したもので、地元産の柚子果汁と米酢をブレンドしたオリジナル調味料です。これをラーメンを半分ぐらい食べ進んだころに回しかけてもらうと、柚子の香りが高まってよりさっぱりした味わいを楽しめます!」

酸味が強めの「ゆず酢」。お土産用も販売中。

酸味が強めの「ゆず酢」。お土産用も販売中。

阿島さん「もともと茂木は、葉タバコの栽培で栄えた町だったのですが、現在では衰退し、遊休農地活用の一環で柚子の栽培に取り組んできました。しかし、全国的には知名度は低く、どうにか広められないかと考え、平成17年から町の柚子の買い上げさまざまな商品開発を進めてきました。ゆず塩らーめんも、その活動の中で生まれた商品です。野菜も麺も地元のものを使い、この一杯に茂木の魅力をぎゅっと詰め込んでみました」

そんな茂木の広報大使とも言える「もてぎのゆず塩らーめん」は、「道-1 グランプリ」に出品されました。

「道-1 グランプリ」優勝時の様子。

「道-1 グランプリ」優勝時の様子。

阿島さん「優勝したことによって新聞やウェブなどでたくさん紹介していただきました。おかげで地元名産の柚子、そして茂木町を広く知っていただけたと思います。地元の農家さんにもいい知らせを持ち帰ることができて、喜んでもらえたのも嬉しかったですね」

優勝後はどんな反響があったのでしょうか?

阿島さん「優勝した直後の反響はものすごいものでした。平日で約100食、土日で150〜180食ほどの売上だったゆず塩らーめんが、グランプリ獲得直後は平日で800食、土日で1,000〜1,200食も売れるほどに。あまりの人気から既存の店舗だけでは対応できず、外にテントで増席して対応したこともあります」

平日にも関わらずこの日も行列ができていました。

平日にも関わらずこの日も行列ができていました。

すごい反響です! ひとつの大ヒット商品が、道の駅、そして地域の観光に大きな影響を与えるという好例でしたね。

そんな大きく増えた観光客の多くが購入していくという、ゆず酢やゆず塩を販売するお土産店「欅(けやき)」にも行ってみましょう。

 欅の店内は木をふんだんに使った温かみのある内装。

欅の店内は木をふんだんに使った温かみのある内装。

店内にはゆず酢、ゆず塩をはじめ、ポン酢、ドレッシング、焼肉のタレなど柚子を使用した商品がたくさん並んでいます。地元産の果物を使ったジャムも豊富なようです。

売り場の正面で販売されているオリジナル商品コーナー。

売り場の正面で販売されているオリジナル商品コーナー。

これらの商品は、すべて道の駅を運営するもてぎプラザの「手づくり工房」で作られているオリジナル商品。地元産の野菜や果物を使用し、ひとつずつ丁寧に作られています。

そしてこの道の駅もてぎには最近、手作りアイス、もてぎのゆず塩らーめん、地元産の手作り土産に続く人気モノが誕生したそう。それが「バウム工房 ゆずの木」です。

こだわりの米粉バウムクーヘンを販売する「バウム工房 ゆずの木」。

こだわりの米粉バウムクーヘンを販売する「バウム工房 ゆずの木」。

2016年3月誕生した洋菓子工房&カフェ「バウム工房 ゆずの木」では、地元産のコシヒカリを自家製粉した米粉を使用したバウムクーヘンを販売しています。製粉後に乾燥させず「新鮮な生の米粉」を使用することで、コシヒカリの美味しさを最大限引き出した、香り高くふわふわ、もちもちのこだわりバウムクーヘンに仕上がっています。

ひとつひとつ店内で丁寧に焼き上げられています。

ひとつひとつ店内で丁寧に焼き上げられています。

いくつかの商品の中で人気なのは、外側のサクサク食感がたまらない「ハードタイプ」だとか。ほかにも中央の穴に口当たりの良いベイクドチーズを焼き上げた「チーズインバウムクーヘン」、ソフトタイプのバウムクーヘンの間にクリームチーズを挟んだ土日限定販売の「チーズサンドスティックバウムクーヘン」も観光客を中心に人気を集めています。

こちらのバウムクーヘンもそうですが、道の駅もてぎは地元の魅力をうまく生かした商品が多いです。今後もこのような商品がどんどん増えていくといいですね。

阿島さん「当駅は2015年に、全国で6駅しかない『全国道の駅 地方創生モデルケース』のひとつに選ばれました。これは、地域貢献や地元経済の好循環に深く関わったことが要因で選出されるのですが、過去の実績だけではなく、これから先の展望に対しても評価されます。当駅では、その素材にもっとこだわろう、農業を活性化しようということで2016年6月に『美土里(みどり)農園』を立ち上げました。まだ少量ですが、そこで採れた野菜も販売もしています。茂木の農業が活性化し、若手の就農や美味しく安全な野菜作りが広まっていけばと考えています。そして生み出された作物からまた新しい商品を開発し、みなさんにお届けできれば」

 産直売り場の「美土里農園」の野菜コーナー。ますます商品も充実していくでしょう。

産直売り場の「美土里農園」の野菜コーナー。ますます商品も充実していくでしょう。

道の駅の未来の役割にも期待が集まっているんですね。

さて、ここまで食べ物を中心に道の駅もてぎを紹介してきましたが、実はこの施設には、週末だけ味わえるもうひとつのお楽しみがあります。

それは道の駅のすぐ隣を走る「真岡鐵道」。なんと土日限定でSL機関車が走っています。道の駅の北側駐車場がもっとも近くでSLが見れるスポットで、時間になるとカメラを持った人々であふれかえります。

阿島さん曰く「一番近いとこでは5mも距離がないのでかなり迫力のあるSLを見ることができますよ」とのこと。これは週末を狙ってぜひ見に来たいですね!

鉄道好きに限らず、この迫力の光景には目を輝かせてしまいますね!

全国NO.1の、ゆず塩らーめんを食べに来てもよし、SLを見てもよし、モータースポーツの観戦帰りにお土産を買うもよし、いろんな楽しみ方ができる道の駅もてぎ。

その中心にあるのは地元を盛り上げ、地元をアピールしたいという強い愛です。全国の道の駅が頑張っている “思いを形する”という作業で特に秀でたモデルケース。外しのない道の駅を存分に楽しんでみてください。

  • 施設情報
    ●道の駅もてぎ
    住所:栃木県芳賀郡茂木町大字茂木1090-1
    営業時間:9:00〜17:00(一部施設は18:00や19:00間で営業)
    http://www.motegiplaza.com/index.html

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

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