車の場合は北陸自動車道三条燕ICから約1km、時間にして5分ほど、徒歩の場合は上越新幹線燕三条駅から7〜8分で到着します。 メインの施設である物産館には、とても広いスペースにたくさんの金属加工製品が並べられていました。
こちらの施設に関して、燕三条地場産業振興センター・営業推進部・物産観光課長の鈴木清史さんに聞きました。
鈴木さん「物産館は、広さ280坪の空間に約1万点の商品が並んでいます。そのすべてが燕三条で作られた製品です。ジャンルは多岐にわたり、キッチン用品から大工道具、園芸用品、農具までそろっています」
1万点とは驚きです! 金物ならなんでもそろうと言っても過言ではありませんね。
鈴木さん「燕三条と金属加工の歴史は、江戸時代までさかのぼります。当時河川の氾濫で苦しむ農民のために代官が江戸から釘鍛冶職人を呼び、その技術を農民に指導・伝授しました。そして和釘の製造を農家の副業として推奨したんです。これがきっかけとなり、燕三条で金属加工が盛んになったといわれています」
鈴木さん「その後、ヤスリ、包丁、キセル、鎚起銅器(ついきどうき)などの製造が始まり、積み重ねてきた技術から金属洋食器が生まれました。金属洋食器は現在、全国シェアの90%以上を占め、燕三条を代表する産業になっています」
私たちが日々使っているナイフやフォークのほとんどが、燕三条で生まれたものだったとは驚きです!!
商品の中で、今オススメのものはありますか?
鈴木さん「これからの季節だと、チタン製のタンブラーですね。この商品は二重構造になっていて保冷製が高く、飲み物を長時間冷たいまま保つことができます。室内利用だけでなく、キャンプやバーベキューなどでも大活躍してくれます」
これからのアウトドアシーズンにぴったりな商品ですね。チタンは飲み物に金属イオンが溶け出さないので、飲み物の味を損なわず最後まで楽しめるのもメリットだとか。
鈴木さん「包丁コーナーも年間を通して人気です。500本以上の包丁を取りそろえているので、必ずお気に入りの一本に出会えます。売り場のスタッフにご相談いただければ、包丁選びのアドバイスもさせていただきます」
「刃物」も、金属洋食器と並ぶ燕三条の主要産業のひとつです。「三条鍛冶」と呼ばれた人々の技術を今に受け継ぐ職人が、一本一本丁寧に作っています。
鈴木さん「今年4月から、三条鍛冶の技術を受け継ぐ職人である吉田恒雄さんに週三日ほど来ていただき、当道の駅で買った包丁に名前を彫る実演をしています。また、包丁が長持ちする研ぎ方を教える『包丁研ぎ体験教室』も行っています(3日前までに要予約)。同時に包丁に関する質問にもお答えしますので、なんでも聞いてみてください」
鈴木さん「当道の駅は2016年3月に道の駅に指定を受け、今年の3月に1周年を迎えました。2年目からはより燕三条の文化、歴史を広く伝えていこうと考え、燕三条の企業を紹介するスペースを増やしました。燕三条を支える企業の商品、技術を分かりやすく伝えていきたいです」
さて、道の駅といえば展示物や物産品だけでなく、グルメも楽しみのひとつ。さっそくチェックしておきましょう。こちらの道の駅では、“燕三条らしい”ほかにはないサービスを行っているレストランがあります。それが、こちらの「Restaurant MESSEPIA(レストラン メッセピア)」です。
店内は道の駅のレストランとは思えない高級感のあるおちついた造りになっています。席間がゆったりとしていて、壁一面の窓から外光が十分に入るのでとても明るいのが印象的です。 この店だけで楽しめる“燕三条らしいサービス”とはなんなのか、支配人の赤塚ゆかりさんに聞きました。
赤塚さん「当店は地元の食材を使用した洋食をお出ししています。食材だけではなく、より燕三条らしさを出すために食事をご注文の際、複数ご準備した食器の中からお客様がお好きなものを選べるサービスを行っています。燕三条を代表する産業の金属洋食器(カトラリー)をメニューの一部と捉えているためです」
食器が選べるとは面白いサービスですね! 見た目がシンプルなものから、装飾性が高いものまであり、選ぶ際にワクワクしてしまいます。家族それぞれが別の食器を選んでもOKなので、食事の前から楽しい時間が過ごせそうです。
赤塚さん「普通は料理に食器を合わせると思うのですが、当店では『食器に合わせたコース料理』もご準備しています。燕三条ならではのコンセプトなのでぜひ味わっていただきたいです」
「何度も通ってくださって、すべてのカトラリーを制覇したお客様もいるんですよ」と赤塚さん。 食器に料理を合わせるなんて、普通とは逆の発想ですね。今回は、そのコースに負けない人気を誇る素敵なメニューをご紹介します。それが、ランチセットの「畑のカレー 夕焼けライス」です。
カレーのほかにスープ、デザート、コーヒーがついたお得なセット。もちろんカトラリーを選ぶことができます。 メインのカレーは、色とりどりの野菜が美しく盛り付けられています。野菜は季節で変わる旬のものを使用しており、今回はカボチャ、サツマイモ、ブロッコリー、レンコンなどが乗っていました。 このメニューの特徴的なところはライスです。「夕焼けライス」と名付けられている通り、お米の色がオレンジ色をしています。これはニンジンを細かくしたものを炊き込んでいるそう。 見た目が美しいので少しためらってしまいますが、思い切ってルーをかけていただきます。カレーは心地よい辛さの中辛。特徴である夕焼けライスはにんじん特有のほんのりとした甘みでカレーがまろやかに。いろいろな野菜が入っているので、ひと口ごとに食感と味に変化が出て、最後まで飽きずに食べることができます。
セットの地元の春きゅうりを使った冷製スープは、さっぱりとした爽やかな味がカレーで火照った口の中をすっきりとさせてくれます。 甘さ控えめのティラミスには、特徴的な丸いお菓子が添えられています。これは、三条にある明治7年創業のマルヨネの「車麩」を使ったお菓子で、このレストランのオリジナル商品。サックサクの食感と優しい甘さが後を引きます。帰りに購入することもできます。
そして、セットのアイスコーヒーは、鈴木さんがオススメしていたチタン2重タンブラーに入って提供されます。なんと、ストローもチタン製というこだわりです。 タンブラーは長時間たっても外側に水滴がつくこともなく、中のコーヒーは冷たいままに保たれていました。
MESSEPIAで使用されている金属洋食器は、物産館で購入できるので食後に気に入った商品があれば物産館のスタッフに聞いてみましょう。
最後にこれからの「道の駅 燕三条地場産センター」について鈴木さんにお話を聞きました。
鈴木さん「1周年の際、新潟県内7つの道の駅とコラボレーションした『道の駅フェスタ』を開催し、多くのお客様にご来場いただき、ご好評の声をいただきました。まだ具体的な予定は決まっていませんが、今後もこのようなイベントを実施し、燕三条のことをもっと皆さんに知ってもらいたいと考えています。燕三条が世界に誇る金属加工製品をこれからも発信し続けていきます」
これから初夏にかけて、三条市では多くのイベントがあります。5月には大名行列が有名な、三条市八幡宮の春季例大祭「三条祭り」が行われ、高城城址跡では桃色のヒメサユリが楽しめる「越後三条・高城ヒメサユリ祭り」が開催。6月には畳3畳半もある大きな凧が空中で戦いを繰り広げる「三条凧(イカ)合戦」も行われ、全国から見物客でにぎわいます。 イベントに合わせて燕三条を訪れた際には、ぜひ「道の駅 燕三条地場産センター」へ。世界に誇る高い金属加工技術に裏打ちされた、一生ものの道具に出会えるはずですよ!!
- 施設情報 ●道の駅 燕三条地場産センター 住所:新潟県三条市須頃1-17 営業時間:9:30~17:30、毎月第1水曜日定休、年末年始休 http://www.tsjiba.or.jp/kankou/index.html ●Restaurant MESSEPIA 営業時間:10:00〜21:00(18:00〜は完全予約制) 定休日:毎月第1水曜日、年末年始 http://www.tsjiba.or.jp/restaurant/
※記事中の情報・価格は取材当時のものです。