
人気の出張カレーユニット「東京カリ〜番長」メンバーが、新たなカレー世界へといざなう連載「東京カリ〜番長直伝! 春夏秋冬カレー」の第11回。
今回は東京カリ〜番長の貿易主任、シャンカール・ノグチさんが、意外な食材の組み合わせで作るカレーを紹介してくれました。「たらの芽とウドとイカのココナッツカレー」です。
以前、シャンカールさんは春になると東北地方の各地を旅しては山菜を摘み、カレーを作っていたそうです。今回のレシピは、そんな旅の中から生まれたもの。ココナッツのフレーバーと、イカやしょっつるの魚介系風味、そして山菜の風味。これらがひとつになって、一体どんなカレーができあがるのでしょうか?
たらの芽やウドは6月ごろまで出回っているので、お店やネットショップで見かけたら、ぜひこのカレーを作ってみてくださいね。
【材料(4人分)】
・たらの芽:10本
・ウド:1本
・イカそうめん:1杯
・玉ねぎ:1個
・にんにく(すりおろし):1片
・パクチー:1枝
・ライム(果汁):大さじ1
・しょっつる:小さじ2
・ココナッツミルク:400ml
・ココナッツオイル:大さじ3
【スタータースパイス】
・ブラウンマスタード:小さじ1
・鷹の爪:2本
・カレーリーフ(冷凍):15枚(ドライなら30枚)
【パウダースパイス】
・ターメリック:小さじ1
・カイエンペッパー:小さじ1/2
・コリアンダー:大さじ1
■作り方
①たらの芽、ウド、玉ねぎ、パクチーを切る
②スタータースパイスを炒める
③玉ねぎ、にんにくを加えて炒める
④パウダースパイス、しょっつるを加える
⑤たらの芽、ウド、パクチーを加えて炒める
⑥ココナッツミルクを加えて煮込む
⑦イカそうめんとライム汁を加える
⑧盛り付けてパクチーを散らす
①たらの芽、ウド、玉ねぎ、パクチーを切る
たらの芽は縦半分に切ります。ウドはささがきに。玉ねぎは縦半分に切ったあと、さらに横半分に切ってからスライスします。パクチーはざく切りにします。
★ココがポイント!★
②スタータースパイスを炒める
鍋を火にかけ、ココナッツオイルを入れて温めたら、スタータースパイスを加えて炒めます。スタータースパイスとは、油に香りを付けるためのスパイスのこと。炒めるときは鍋からスパイスが飛び出したり油がはねたりするので、注意が必要です。そのやり方を動画でチェックしましょう。
【やり方を動画でチェック!】
※下の動画サムネイルをクリックすると、YouTubeに移動します。
〈スタータースパイスの炒め方〉
1.鍋を強めの中火にかけ、ココナッツオイルを入れて温める
2.ブラウンマスタードシードを入れて、ふたをかざす
3.火をやや弱めて中火にし、鷹の爪を入れて炒める
4.鷹の爪が黒っぽく変色してきたら、カレーリーフを加えてふたをかざす
5. 弾け音が収まったら、かきまぜながら炒める
シャンカールさん「『マスタードフィッシュカレー』の時にも紹介しましたが、ブラウンマスタードシードを炒めるときはプチプチとはじけて鍋から飛び出すことがあるので、必ずふたをかざしてください。カレーリーフも同様です。また、カレーリーフは生や冷凍のものが手に入らなければ、乾燥させたものでもかまいません。ただ風味が弱いので、ドライの場合は倍の量を入れてください。近所のお店で取り扱いがない場合は、スパイスを扱っているネットショップでも購入できます」
③玉ねぎ、にんにくを加えて炒める
玉ねぎを加えて炒めます。きつね色になったら、すりおろしたにんにくを加えて炒めます。
④パウダースパイス、しょっつるを加える
弱火にしてパウダースパイス、しょっつるを加え、中火にしてよく炒め合わせます。
シャンカールさん「しょっつるは、ハタハタなどの魚から作られる秋田の伝統的な魚醤ですが、これが山菜の味を引き出して、食べやすくしてくれるんです。ナンプラーやニョクマムなどの魚醤とはまた風味が異なるので、手に入るようなら、しょっつるを使いましょう」
⑤たらの芽、ウド、パクチーを加えて炒める
強めの中火にして、たらの芽、ウド、パクチーを加え、ウドに焼き目がつくまで炒め合わせます。
シャンカールさん「パクチーは全部使わないで、トッピング用に少し残しておいてくださいね」」
⑥ココナッツミルクを加えて煮込む
ココナッツミルクを加え、煮立ってきたら弱火にして8分ほど煮込みます。
⑦イカそうめんとライム汁を加える
中火にしてイカそうめんとライム汁を加え、ひと混ぜしたら、しょっつるを適量(分量外)入れて味を調整します。
シャンカールさん「イカそうめんを使うのは、切る手間が省けるから。それに、イカが主張しすぎないで、カレーの中にバランスよく一体化してくれるんです。このカレーでは、イカは細いほうが食べやすいですし」
⑧盛り付けてパクチーを散らす
器に盛り付けて、トッピングとしてパクチーを散らしたら、出来上がりです!
ひと口食べて、まず感じるのはココナッツのまろやかな風味。それもそのはず、ココナッツオイルとココナッツミルクの“ダブルココナッツ”で作ったカレーです。その相乗効果でココナッツ風味が、このカレーの骨格を形づくっている感じです。
でも、決して甘いわけではありません。ふわりと香るのは、凝縮されたイカとしょっつるの風味。その旨味とコクが、カレー全体を奥行きのある味わいに仕立てています。
そこに、シャキシャキとしたウドの食感、たらの芽のほどよい苦みが追従してやってきます。さらに、パクチーの香り、マスタードシードの辛み、カレーリーフの香ばしさ、ライムの酸味……。
ひとつ、またひとつとさまざまな楽器の音が重なって、ハーモニーの厚みが増していくオーケストラのように、重層的で奥深いすばらしい味を奏でるカレーです。
【たらの芽とウドとイカのココナッツカレーの極意】「弾けるスパイスはふたで防げ!」
「インドカレーを作るとき、調理の最初にホールスパイスを炒めて、香りを油に移します。これをスタータースパイスといいます。今回使ったスタータースパイスのうちブラウンマスタードシードとカレーリーフは、入れた瞬間から弾けたり油がはねたりと暴れまわります。そんなときは、必ず事前に鍋のふたを用意しておき、しっかりとかざして防御しましょう。今回のカレーは、ココナッツを多用する南インド・ケララ州のフィッシュカレーを元にしています。イカの代わりにタラやスズキなどの白身魚を使っても、おいしくできますよ。南インドのカレーではカレーリーフをよく使うので、ぜひ手に入れて作ってみてください!」
■レシピ考案・監修
東京カリ〜番長
1999年に結成された出張料理集団。全国各地のイベントでカレーのライブクッキングを行うほか、雑誌・書籍でのレシピ紹介、飲食店のメニュー開発を手掛ける。
https://www.facebook.com/tokyocurrybancho