
人気の出張カレーユニット「東京カリ〜番長」メンバーが、カレーの幅広い魅力をお伝えする連載「東京カリ〜番長直伝! 春夏秋冬カレー」の第5回。
今回は、東京カリ〜番長の貿易主任、シャンカール・ノグチさんが 本格的なベンガル料理「マスタードフィッシュカレー」 を紹介してくれました。
ベンガル料理は、東インドのベンガル地方からバングラデシュにかけての料理。魚を使ったカレーが多いのが特徴で、現地では「イリッシュ」という高級淡水魚をマスタードで味付けしたカレーが人気とのこと。
ここでは、日本で入手しやすい旬のタラを使って、ベンガルのカレーを作ってもらいました。ルウもカレー粉も使わないスパイスカレー。しかも、インド料理レストランでもなかなか味わえないベンガル料理です。
いったい、どのようなカレーが出来上がるのでしょうか。早速チャレンジしてみましょう!
【材料(4人分)】
・タラ切り身:4切れ
・玉ねぎ:1個
・レモン汁:大さじ1(レモン1/2個分)
・にんにく(みじん切り):1片分
・しょうが(みじん切り):1片分
・しょうが(みじん切り/トッピング用):少々
・粒マスタード:50g
・湯:200ml
・塩:小さじ1
・サラダ油:大さじ4
・ブラウンマスタードシード(ホール):小さじ1
【パウダースパイス】
今回はカレールウやカレー粉ではなく、スパイスを使う本格レシピ! スパイス初心者のために、スパイスの写真も掲載します。
・コリアンダーパウダー:小さじ1
・ターメリックパウダー:小さじ1
・カイエンペッパーパウダー:小さじ1/2
■作り方
下ごしらえ:タラ、玉ねぎ、にんにく、しょうがを切る
①ブラウンマスタードシード、粒マスタードを炒める
②にんにく・しょうが、玉ねぎを加えて炒める
③パウダースパイス、塩を加えて炒める
④湯を加え、タラを加えて煮る
⑤レモン汁を加え、塩で味を調える
⑥盛り付けてしょうがを散らす
下ごしらえ:タラ、玉ねぎ、にんにく、しょうがを切る
タラはひと口サイズに切り、ターメリックパウダー(分量外)をすりこみます。これは主に色づけのためですが、殺菌の意味合いもあります。
玉ねぎは縦にスライスして、さらに半分に切ります。にんにくとしょうがはみじん切りにします。
★ココがポイント!★
①ブラウンマスタードシード、粒マスタードを炒める
鍋でサラダ油を熱し、ブラウンマスタードシードを炒めます。その際、必ず守らなくてはいけないことがあります。それは、鍋のふたを用意すること。これを忘れると大変なことになります。その理由とは、いったい何でしょうか?
【やり方を動画でチェック!】
※下の動画サムネイルをクリックすると、YouTubeに移動します。
〈ブラウンマスタードシード、粒マスタードを炒める手順〉
1.鍋にサラダ油をひいて強めの中火で熱する。
2.ブラウンマスタードシードを炒める。プチプチと音がしてきたら中火にし、マスタードシードが飛び散るので、ふたをする(完全に閉めず、少し開けておく)。
3.プチプチ音が落ち着いたら粒マスタードを加え、ふたをかざしながら炒め混ぜる。
シャンカール・ノグチさん「ふたを使わないと、マスタードシードがはじけて鍋の外に飛び出すので危険です。必ずふたをしてください。粒マスタードを加えて混ぜるときもジューッとはねるので、ふたをかざしながら、隙間から木べらを入れて炒めてください」
②にんにく・しょうが、玉ねぎを加えて炒める
にんにく・しょうがを加えて炒めます。あまりかきまぜずに、全体を木べらで押すようにしてなじませます。こんがりと色づいて香りが立ったら玉ねぎを加えて、きつね色になるまで中火で10分ほど炒めます。あまりかき回さずに、焼き付けるように炒めます。
シャンカール・ノグチさん「玉ねぎを加えたあと、焦げそうになった場合は水大さじ2(分量外)を加えます。特にマスタードが焦げてしまわないよう、注意しながら炒めましょう」
③パウダースパイス、塩を加えて炒める
火をいったん消すか、または弱火にして、パウダースパイス(コリアンダーパウダー、ターメリックパウダー、カイエンペッパーパウダー)と塩を加えます。弱火で炒めて、なじませます。
シャンカール・ノグチさん「パウダースパイスを加える前に、必ず火を止めるか弱火にして、落ち着いてパウダースパイスを具材の上に加えましょう」
④湯を加え、タラを加えて煮る
湯を加えて強火で煮ます。煮立ったら弱めの中火にしてタラを加え、ふたをしてさらに10分ほど。

⑤レモン汁を加え、塩で味を調える
レモン汁を加え、タラが煮くずれないよう注意して外側から混ぜます。1分ほど煮たら、塩少々(分量外)で味を調えます。
⑥盛り付けてしょうがを散らす
皿に盛り付け、しょうがのみじん切りを散らして出来上がり!

一般的なフィッシュカレーとは、ひと味もふた味も違う「マスタードフィッシュカレー」。口に入れた瞬間、その名のとおりマスタードの芳香と辛み、苦み、そして酸味が広がり、駆け抜けていきます。
それでいて、意外なほどご飯とよく合う独特の風味。インド料理の中でも、日本人の味覚に非常になじみやすいタイプのカレーではないでしょうか。
おそらく国内でこの料理を食べることのできる店は、まだ少ないはずです。日本のインド料理レストランのカレーに慣れ親しんだ私たちの“インドカレー観”を突き崩す、ベンガル料理ならではの味。ぜひ、挑戦してみてください!
【マスタードフィッシュカレーの極意】「プチプチはじけるマスタードの試練に立ち向かえ!」
「動画をご覧いただけばおわかりのように、マスタードシードは油で炒めるとき、プチプチという音とともに暴れまわります。ふたを使わずに炒めようものなら、高温の油とともに鍋から飛び出します。顔や手にも容赦なく飛んできますので、絶対にふたを忘れないでくださいね! ふたさえ忘れなければ大丈夫。プチプチの騒ぎが収まる頃には、マスタードシードの香り、辛み、苦み、酸味……。そのすべてが、鍋の中に抽出されています。また魚は、タラだけでなくサケやスズキなどもオススメです。特にスズキはベンガル地方で食されているイリッシュに似ているので、本場さながらの味に仕上がります。ぜひお試しください!」
■レシピ考案・監修
東京カリ〜番長
1999年に結成された出張料理集団。全国各地のイベントでカレーのライブクッキングを行うほか、雑誌・書籍でのレシピ紹介、飲食店のメニュー開発を手掛ける。
https://www.facebook.com/tokyocurrybancho