
人気の出張カレーユニット「東京カリ〜番長」メンバーが、季節のカレーを手ほどきする連載「東京カリ〜番長直伝! 春夏秋冬カレー」の第31回。
今回は東京カリ〜番長のリーダー・伊東盛さんが、「サワラのココナッツカレー」を紹介してくれました。
今回は、第27回「大根チキンカレー」でご紹介した「スパイスの配合の基本」が再登場! ちょっとアレンジを加えるだけで、素材の魅力を引き出したスパイスカレーが作れます!
■今回のスパイス配合は「1:1:1:4:1」
基本のスパイス配合では、ターメリック、カイエンペッパー、クミン、コリアンダーの4つのスパイスを使います。それぞれの配合比率はターメリック/1:カイエンペッパー/1:クミン/3:コリアンダー/3の「1:1:3:3」でした。今回の「サワラのココナッツカレー」ではこの比率を少し変えて、さらにホールスパイスのマスタードシードを追加します。その配合比率は『ターメリック/1:カイエンペッパー/1:クミン/1:コリアンダー/4:マスタードシード/1」と、「1:1:1:4:1」の配合比率だとか。

伊東さん「『サワラのココナッツカレー』では、基本の配合からコリアンダーを多めにし、その分クミンを少なめにしています。コリアンダーは“調和のスパイス”と呼ばれていて、多めに使っても失敗しにくいうえ、魚によく合うスパイスなんですよ」
【材料(4人分)】
・サワラ(切り身):350〜400g
・タマネギ:中1個
・青唐辛子:2本
・パクチー:1株(※できれば根の付いているもの)
・レモン汁:大さじ1(レモン1/2個分)
・トマトピューレ:大さじ1
・ニンニク(みじん切り):1片分
・ショウガ(みじん切り):1片分
・プレーンヨーグルト:大さじ2
・ココナッツミルク:400cc
・塩:小さじ1
・水:100cc
・調理油:大さじ3
〈ホールスパイス〉
・マスタードシード:小さじ1
〈パウダースパイス〉
・コリアンダー:小さじ4
・クミン:小さじ1
・カイエンペッパー:小さじ1
・ターメリック:小さじ1
■作り方
①素材を切る
②マスタードシード、ニンニク、ショウガ、パクチーの根を炒める
③青唐辛子、タマネギを加えて炒める
④トマトピューレ、プレーンヨーグルトを加えて炒める
⑤パウダースパイスと塩を加えて炒める
⑥水とココナッツミルクを加えて煮込む
⑦サワラを加えて煮込む
⑧パクチーを加えて煮込む
①素材を切る
サワラは食べやすい大きさに切り、塩を振り、レモン汁をかけておきます。
タマネギは、繊維に垂直方向に1/2にカットしたあと、繊維方向にスライスします(厚さ2mm)。
青唐辛子は2〜3mmの小口切りにします。
パクチーは根をみじん切り、茎と葉は粗みじん切りに。
伊東さん「根付きのパクチーがない場合は、根を省略しても構いません」
②マスタードシード、ニンニク、ショウガ、パクチーの根を炒める
フライパンに調理油を熱し、中火でマスタードシードを炒めます。次にニンニクとショウガを青臭さがなくなるまで炒め、パクチーの根を加えて炒めます。
伊東さん「マスタードシードは魚にとても合うスパイスで、魚のカレーによく使われます。マスタードシードを炒めるときは、必ずふたを用意してから。加熱するとはねてフライパンから飛び出してくるので、それが収まるまでふたをします。くれぐれも火傷をしないように気をつけてくださいね」
③青唐辛子、タマネギを加えて炒める
青唐辛子を加えてさっと絡めたら、タマネギを加えて塩少々(分量外)を振り、軽く色づくまで強火で炒めます。
伊東さん「青唐辛子はスーパーで売っている国産のものでOK。辛みが強いので、辛さが苦手な人はシシトウに替えてもいいですよ。タマネギを炒めるときは、色づいてきたところで適宜、水(分量外)を加えて炒めると効率的です」
④トマトピューレ、プレーンヨーグルトを加えて炒める
トマトピューレ、プレーンヨーグルトを加え、水分が飛ぶまで炒めます。
⑤パウダースパイスと塩を加えて炒める
弱火にしてパウダースパイスと塩を加えたら、中火にしてよく混ぜ合わせます。
⑥水とココナッツミルクを加えて煮込む
水を加えて混ぜ合わせ、沸騰したらココナッツミルクを加えます。よく混ぜ合わせて強火でもう一度しっかりと沸騰させてから、弱火にして10分ほど煮込みます。
伊東さん「ココナッツミルクを加えたら強火にし、沸騰してフライパンの中央部分が泡立つようになったら弱火にします。ポイントは、一旦しっかりと沸騰させること。ただ、鍋肌に接している周辺部分が焦げつきやすいので注意! かたまった部分にはおいしさが凝縮されているので、焦げる前に木べらなどでこそいで中に溶かし込みましょう」
⑦サワラを加えて煮込む
サワラをレモン汁ごと加え、ふたをせずに中火で5〜10分(魚に火が通るまで)煮込みます。
伊東さん「サワラは必ずレモン汁ごと入れてください。レモンの酸味が魚の臭みを抑えて、おいしく仕上げてくれます。煮込み時間は切り身のサイズによって、小さいものなら5分、大きいものは10分を目安にしましょう」
⑧パクチーを加えて煮込む
パクチーの茎と葉を混ぜ合わせ、2分ほど煮込んだら出来上がり!

スパイスの配合に加えてタマネギの切り方も味わいのポイントに
マスタードシードの辛さ、レモンの酸味、ココナッツミルクのコクと甘み。主にこれらの味で「サワラのココナッツカレー」は構成されています。レモンの代わりに粒マスタードを使えば、よりマスタードの風味が効いたカレーになります。「サワラのココナッツカレー」はスパイスカレーの基本に忠実なカレーですが、実はもうひとつポイントがあります。それはタマネギの切り方。
伊東さん「いつものみじん切りではなく厚さ2mmにスライスするのは、タマネギを具として使うから。繊維方向にスライスすると、煮込んでもタマネギの食感が残るんですね。いつものみじん切りは、タマネギをカレーのベースにする場合の切り方です」
さらにタマネギの炒め具合は、軽く色づくか透き通る程度。キツネ色まで炒める必要はありません。タマネギは炒めるほど甘みが出ますが、このカレーではココナッツミルクの甘みがあるので、タマネギでさほど甘みを出す必要がないのです。
【サワラのココナッツカレーの極意】「タマネギの使い方で仕上がりをコントロール!」
「タマネギの切り方や炒め具合によって、スパイスカレーの風味や食感を変えることができます。逆にいえば、カレーの仕上がりをどうしたいかによってタマネギの切り方や、炒めの程度を変える必要があるということ。今回は、煮込んでもタマネギの食感が残るよう繊維方向にスライスし、ココナッツミルクのコク・甘みがあるので炒めはほどほどに。試しにみじん切りのタマネギをキツネ色になるまで炒めるとどう変わるか、実際にやってみるのも勉強になります。機会があったらやってみてください!」
■レシピ考案・監修
東京カリ〜番長
1999年に結成された出張料理集団。全国各地のイベントでカレーのライブクッキングを行うほか、雑誌・書籍でのレシピ紹介、飲食店のメニュー開発を手掛ける。
https://www.facebook.com/tokyocurrybancho