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大人のダイエットは食物繊維を味方にした“繊活”が鍵! おすすめ食材「乾物ヨーグルト」って?

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(OVO オーヴォより)

乾物ヨーグルトのもどし方は簡単。ヨーグルトと乾物(写真は割り干し大根)とファスナー付き保存袋などの容器を用意。

“ダイエット”にチャレンジして挫折する人は多い。特に年齢を重ねたいわゆる“大人”は、年々エネルギー代謝が悪くなり、運動能力も落ち、仕事や家事に忙しく、ダイエットのハードルは高くなる一方だ。そんな大人のために立ち上がった「大人のダイエット研究所」(東京)という社団法人がある。

毎年10月7日は『大人のダイエットの日』。一般社団法人記念日協会から認定された正式な記念日だ。その1周年を迎える前日の2016年10月6日、都内のリストランテ アルケントーレで記念イベントが行われた。「ダイエットの常識を変える、“秋からダイエット!”〜食物繊維を味方に!“繊活”が鍵を握る“食べるダイエット”〜」と題してスペシャルトークショーが開かれたのだ。講師として登場したのは、大人のダイエット研究所代表理事の岸村康代氏と、テレビでもおなじみ医学博士の池谷敏郎医師。健康診断で毎年メタボと指摘される腹囲90cmの筆者も、すがるような気持ちで取材に駆け付けた。

同研究所が今年の『大人のダイエットの日』からスタートさせたのは、「繊活」と名付けられたプロジェクト。繊活の「繊」は食物繊維、「活」は活動を表している。体に良い働きをする食物繊維をおいしく食べながら健康になるための活動ということらしい。

冒頭、あいさつした岸村代表理事は管理栄養士とシニア野菜ソムリエの資格を持つフードプランナー。写真のように美人でスタイルもいいが、実は10代〜20代のころはかなり太っていたという。

「私自身が食いしん坊で13歳のとき、りんごダイエットで3日間で3キロ痩せてから1日であっという間に3キロ戻るという経験をしました。そこからあらゆるダイエットを試して苦しんで、最後にやっと“食”に助けられたという思いがあり、食いしん坊な管理栄養士だからできる“おいしい、体にいいダイエット”をテーマに活動をつづけています。たくさんの方を現場で見てきて感じるのは、忙しい人こそ溢れる情報の中で正しい情報をキャッチできておらず、間違った食事方法で体を壊してしまったり、間違ったダイエット方法でなかなか痩せない現実です。食べないダイエットではなく、食べながら体へのダメージをリセットしようというコンセプトで『リセットごはん』という活動もしています。これまで2,000人以上のクライアントの脂肪を10トン以上減らしてきました」

そもそも、なぜ今年のテーマは「繊活」なのだろう。岸村氏が説明する。

「食物繊維は地味なイメージですが、今話題の腸内環境を整えたり、血糖値の上昇を抑制したり、脂質の排泄を助けたりと、たくさんの有益な働きをもたらす栄養素なのです。でも実際には一日に必要な量の50%もとれていない人が多いという現状があり、平均でも60〜70%台。食物繊維の豊富な食材を応援しようということで活動をしています。私が太っていたころは体調も悪く肌もボロボロでしたが、そのとき助けられたのが食物繊維が豊富な食材だったのです。地味ではありますが日本古来から食べられていてすごくパワーを持っているこれらの食材を応援していこうというのがこの『繊活』なのです」

健康のためにとても重要な食物繊維

ここで池谷敏郎医師が登場し、岸村氏とのトークショー形式で「食物繊維とダイエット」について語り合った。岸村氏は、やはり数々のダイエットに失敗してきたという池谷先生に「食べないダイエット」の問題点を尋ねた。

池谷「最近は糖質制限がよく言われてますけど、糖質制限もやりすぎたり、油やたんぱく質を摂らないとエネルギー不足に陥ってしまい、脂肪はおちるけど筋肉も失ってしまいます。そんな体になると抵抗力も落ちて体調不良となってしまいます。まず、たんぱく質をしっかりとって、糖質もある程度とることが大切ですね。
また、野菜などの食材を食べないと食物繊維を中心とした栄養素が足りなくなってしまいます。これが実は腸内環境を考えるとすごく不利なんです。近年、腸内環境の研究が進んできて腸内の善玉菌が食物繊維を食べて短鎖脂肪酸というものを作るんですね。この短鎖脂肪酸がダイエットにはすごく重要な物質でして、脂肪細胞が脂肪を溜め込むのを抑えて太りにくくなるわけです。それから交感神経と副交感神経という自律神経のうち、代謝を高める交感神経に働いて心拍数を増やしてくれたり体温を上げてくれたり、エネルギーを消費してくれるようになります。こんなことが最近分かってきました。食物繊維って本当にありがたいものなので、野菜などを食べるときに、いま腸内で何が起こっているかをイメージしながら食べると、とてもありがたく食べられるかもしれません」

岸村「秋になると食欲が出て困るという人もいると思いますが、食物繊維など大事な栄養素はきちんと『食べるダイエット』をすることが重要ですよね」

池谷「食物繊維って、ほかにも重要な働きがあるんですよ。食後の血糖値の上昇を抑えるので糖尿病のリスクが減る。それから塩分も食物繊維が絡めとって出してくれて、カリウムが含まれている野菜なら塩分を排出して高血圧のリスクも減ります。生活習慣病といわれる高脂血症、糖尿病、高血圧、そして肥満まで解消するこういう要素が野菜、食物繊維の中にはあるんですね。さらに野菜を先に食べる“ベジファースト”だと、食べ過ぎることなく必要なものは食べるダイエットが成功するんじゃないかと思います」

岸村「私も昔はちょっと食べても太りやすかったのですが、今は食べても太らなくなりました。やはり食物繊維を豊富にとるようになって腸内環境が整うようになったのかなと感じます。食物繊維は胃から腸に移動する時間を緩やかにしてくれるということもありますし、消化に時間をかけてくれる結果、腹持ちがいいですよね」

池谷「私は朝、パンとか食べないで食物繊維が入った野菜ジュースとヨーグルトだけを食べて仕事に行くんです。最初はお腹が空くんですが血糖値の上昇が緩やかになるのであまりお腹が空かなくなります。パンを食べるよりお腹が空かないという現象が起きています」

岸村「先生は最近、『老けない血管になる腸内フローラの育て方』(青春新書プレイブックス)という本を出されましたが、血管と腸内環境はどう関係するんですか? 」

池谷「皆さん健康になろうと体にいいものを食べようとしますが、腸内環境がいい状態ではじめて栄養素として吸収されて、それが血管で運ばれていくんです。腸管で栄養を吸収し、血管で運んでいく。しかし、腸の細胞がダメージを受けてしまうと血管の中に菌や毒素が入ってきて慢性的に炎症を起こしてしまいます。それが糖尿病を引き起こしたり、血管の動脈硬化が進んだりがんの原因になったりするということがわかってきました。体の中の管(くだ)を大事にすることで、心筋梗塞、脳卒中、がんなどを予防していく、そして若々しく生きていく、理にかなった健康法かなと思います」

岸村「腸管、ひいては血管の健康に大きな働きをするわけですから、食物繊維をとることは重要ですね。食事を改善することによって若々しい血管と腸内環境を保つというのがこれからの健康や医療のキーワードですよね」

池谷「血管が破れたりつまったりは瞬時に発症するわけではなく、10年20年と積もり積もっていき、最終的に発症している。だから日々の運動や睡眠、そして食事が重要なんですね。腸内環境は24時間で変わるそうです。今日食物繊維をとれば明日には変わっていきます」

2大健康食材がタッグを組んだ「乾物ヨーグルト」

このように重要な働きをする食物繊維だが、一日に必要な量は女性で18グラム以上、男性で20グラム以上。十分にとれていない人も少なくないという。では、積極的に食物繊維をとるにはどんな食材がよいのだろう。岸村代表はこう語る。

「雑穀は全般的に食物繊維が多いのですが、最近注目の『大麦』には特に多く含まれていますので、料理にちょっとプラスすれば食物繊維を効果的にとれます。あと大豆や大豆製品(おから、きなこなど)はいいですね。特に皮も丸ごととれる納豆の他、市販品の中でも『蒸し大豆』がおすすめです。茹でるより蒸したもののほうが、栄養もうまみも損失が少なく、そのままでもおいしく食べられるんですよ。そのほか玄米、小豆、ごま、アーモンド、きのこ類、海藻類にも多く含まれています。野菜だと、これから旬を迎えるごぼうやレンコン、さつまいも、枝豆をはじめオクラ、モロヘイヤなどですね。意外に見逃されがちなのが切り干し大根などの『乾物』で、水分を抜くことで食物繊維や栄養素が凝縮されているんです。外食が続くとなかなか難しいですが、これらを積極的にとる食生活を心がけて下さい。これらを意識して食べることが将来の若々しさや健康につながります。
大人のダイエット研究所のウェブサイトには、3分でできる、5分でできる、フライパンひとつでできる“ズボラな繊活ごはん”ということで、食物繊維が手軽にとれるレシピが掲載されています。例えばパスタであれば麺を半分にし、えのきを麺に見立ててボリュームアップするなど、おいしく食べながら麺の糖質を控えながら食物繊維をたっぷりとれる工夫を提案しています。『10日間でやせ体質に生まれ変わる野菜レシピ』(アスコム)という本ではさらに詳しく紹介しています」

実はこの日のイベントがレストランで開かれたのには理由があり、“繊活”レシピの試食も行われた。提供されたのは写真の8品で、岸村氏のコンセプトがしっかり反映されたメニューばかり。筆者も実際に食べてみたが、どれも実においしく、こんな料理なら楽しく「食べるダイエット」ができると確信した。

そして、岸村氏がとっておきのメニューとして紹介したのが、この日のデザートにも登場した「乾物ヨーグルト」だ。

「食物繊維が腸内環境に重要な働きをすることはご理解いただけたと思いますが、腸内環境を整える食品といえば、ヨーグルトや発酵食品がよく知られていますよね。実はヨーグルトを単体で食べるよりも食物繊維と一緒に食べることで腸内環境はより改善されることが分かっています」

和食のおかずというイメージが強い乾物を、水ではなくヨーグルトでもどす? なんだかミスマッチのようだが、そうではないらしい。何しろヨーグルトの水分量は80%以上。十分に乾物をもどすことが可能なのだ。通常、水やお湯で乾物をもどした場合、水溶性の栄養成分が豊富に含まれる、もどし汁は捨ててしまいがち。でもヨーグルトでもどした場合は、ヨーグルトも一緒に料理に使うので、乾物とヨーグルト両方の栄養をまるごと体に取り込むことができるというわけだ。

半信半疑の筆者も後日、岸村氏が監修した料理本「毎日食べたい乾物ヨーグルトレシピ」(世界文化社)を入手して、“切り干し大根とベーコンのグラタン”、“割干し大根と豚肉のオイスターソース炒め”を自宅で作ってみた。共通して感じたのは、水で流れ出る成分がないためか濃厚なうまみとコクがあることだ。同書にはいろいろなレシピが載っているので、皆さんもぜひ試してみてはどうだろう。

腸内環境を整えるヨーグルトと、さまざまな健康効果が期待できる食物繊維。この2つがタッグを組んだのだから、これはとてつもなく強力な健康食材だ。簡単でおいしい「乾物ヨーグルト」は、大人のダイエットの切り札になるかもしれない。

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