「マルシェ」を知っていますか? マルシェとはフランス語で「市場」という意味。広い場所にたくさんの生産者が集まって、それぞれ自慢の品を売っている催しのことを指します。
そのマルシェ、最近都内を中心に増加中で、日時や場所もまちまちながら、多くの人で賑わっています。そんな話題のマルシェを、at home VOXが体感してきました! 最後には、マルシェで買った新鮮な野菜によるカンタンレシピも紹介します!
■生鮮食品から雑貨まで! 生産者と消費者のコミュニケーションを生む空間
at home VOXが向かったのは、表参道駅から徒歩5分のところで開催されている「Farmer’s Market @ UNU(ファーマーズマーケット @ UNU)」。どんなマルシェなのか、運営スタッフの若菜さんにお話を聞きました。
若菜さん「Farmer’s Market @ UNUは、『良い生活』は『良い食事』からというコンセプトに乗っ取り、消費者と農家とのつながりをもっと強くしようと2009年から始まりました。私たちが出店を決めるポイントは、農家さんと話した時に『商品を通じて伝えたいこと、知って欲しいこと』を感じるかどうかなんです。有機栽培などのお店は、『なぜ、有機栽培なのか』、逆に農薬を使っているところは『なぜ、使っているのか』というところを重要視しています」
それぞれのお店で農家さんと会話してみると、商品にどんな想いがこもっているのかを知ることができます。生産者と直に話せるマルシェならではのポイントですね。
若菜さん「何かわからないことがあったら、なんでも農家さんに聞いてみてください。農家さんの人柄に触れることで『この人から買いたいな』と思える生産者に出会えると嬉しいですよね」
今年の9月で6周年を迎えるFarmer’s Market @ UNUですが、この6年間でどんな発見があったのでしょうか?
若菜さん「マルシェに出店しているお店同士が出会うと、化学反応が起きる、というのが大きな発見ですね。Farmer’s Market @ UNUを通じて、パン屋さんが他の農家さんの野菜を使って新しい商品を作ったり、ジュース屋さんが他のお店の野菜を使ったジュースを作ったり……出店者同士がつながっていくのはとても良いことだと思います」
表参道という土地柄、外国人のお客さんも多いのだとか。他には、デート中の若者や近所に住んでいる主婦の方、プロのシェフまで、実に幅広い層のお客さんで溢れています。
■野菜から盆栽まで! にぎやかなマルシェでお気に入りをみつけよう
Farmer’s Market @ UNUには、生鮮食品から加工食品、キッチンカーまでたくさんのお店が出店しています。そのなかから、いくつかのお店をのぞいてみましょう。

無農薬の野菜を取り扱う、「しまなみ海道を広める会」。「しまなみ海道」とは、広島の尾道〜愛媛の今治まで、瀬戸内の島々を橋で結んだ道のこと。それらの地域でとれたしましまビーツやパプリカ等、瑞々しい野菜の試食もできます。店長の丁寧な説明で、納得して食材を買えるのが安心です。

「NICO Sweets」の焼き菓子は、国産小麦とオーガニック食材にこだわり、無添加で作られています。ザクザク食感のクッキーは、おやつにぴったり。暑くなる夏は、ふわふわ軽い食感のシフォンケーキが人気です。

こちらはドライフルーツやナッツを扱う「Lapis Lazuli」。イランやパレスチナから輸入した上質のドライフルーツが揃っています。デーツ(なつめやし)やインカベリー(食用ホオズキ)、マルベリー(桑の実)等、珍しい食材がたくさん! こだわりのナッツも試食できます。

マルシェの一角でひときわ異彩を放つ「盆栽利園」は、外国へ盆栽の輸出をしているお店。外国人のお客さんが多い「Farmer’s Market @ UNU」で、直接盆栽を見て欲しい、という思いから出店したのだとか。若者向けのモダンな盆栽もリーズナブルな価格で取り扱っています。
その他、ピクルス専門店やハーブのお花を売るお店など、季節ごとの「旬」な品物を集めたお店がたくさん。中には、手作りのかごバッグを売っているお店も。
活気のある声に誘われて、あちこち立ち寄りしていたら、楽しくて時間を忘れそうになりました。
■こだわりの夏野菜と遭遇!
レシピの食材を探して歩いていると、ふと目にとまったお店「Y’s store(ワイズストア)」。「なんだか見たことのない野菜がある!」と思いよく見てみると、全て「神奈川県産」の文字が。
「このお店では、私の仲間が作った野菜を集めて売っています。すべて神奈川県産でほとんどが横浜市内、宮前区などで作られているんですよ」
横浜市といえば、神奈川県の県庁所在地でもある都会ですが、その一角で畑をやっているのだそうです。
今回はこの「Y’s store」で手に入れた、夏旬まっさかりの「ズッキーニ」で一品作ります!
■マルシェの食材でカンタン&おいしい! 夏野菜のヘルシーレシピ
マルシェで手に入れたズッキーニで作るのは「まんまるズッキーニのファルシー」。ファルシーとは詰め物料理のことです。

●材料
ズッキーニ…1個
ベーコン…2枚
チーズ…40〜50g
オリーブオイル…大さじ1
イタリアンパセリ(飾り用)…お好みで
●作り方
【1】ズッキーニを、ヘタから5cmくらいのところで切る。
【2】ズッキーニの中身をくりぬく。このとき、先に包丁で切れ目を入れておくとくりぬきやすい。
【3】ヘタの部分だけを残して実を切り、くりぬいた中身のズッキーニと併せて刻み、水気を絞る。
【4】【3】のズッキーニの中身と、細切りにしたベーコン、チーズ半量、オリーブオイル半量を入れて、塩・こしょう(分量外)を少々ふって、混ぜる。
【5】【4】の具材を、くりぬいたズッキーニの中に詰めていく。
【6】中身を詰め終わったらアルミホイルの上に乗せて、残りのチーズとオリーブオイルをかける。残ったヘタも飾り用に一緒に焼く。
【7】180℃のオーブンで25分くらい焼き、チーズに焦げ目がついて、中まで火が通ったら完成。仕上げに飾りのイタリアンパセリと、ズッキーニのヘタを添える。
瑞々しいズッキーニと、ベーコンの塩味が絶妙にマッチした、オシャレな一品。皮までやわらかく、丸ごと食べられるので、栄養満点です。また、実際に野菜を作っている人の顔を思い浮かべながら食べるお料理は格別!
これこそが、マルシェに行く一番の醍醐味。生産者と直接話して納得した食材を買い、生産者の情熱や想いを感じながら食べることで、消費者と生産者のコミュニケ–ションがもっと密になっていくのです。
Farmer’s Market @ UNU運営スタッフの若菜さんは、この関係について以下のように語ります。
若菜さん「「そういったコミュニケーションがやがて『これがおいしかった』『あれはおいしくなかった』という『正直に言える関係』になっていくんです。そんなフェアな関係が消費者の食生活を豊かにし、農家のモチベーションやレベルアップにつながると、信じています」
「楽しい」というだけでなく、生産者と消費者のコミュニケーションを生むことで、食生活の豊かさを与えてくれるマルシェ。是非一度足を運んでみてください。
■取材協力
Farmer’s Market @ UNU
会場:青山・国際連合大学前広場(東京都渋谷区神宮前5-53-70)
開催日時:毎週土・日曜日10:00〜16:00
http://farmersmarkets.jp/
レシピ考案:柳澤英子/ 料理研究家。編著に『ひとりごはん』『ふたりごはん』(ともに西東社)『万能 白だし料理帖』(日東書院本社)『すごい!塩レモン 使いこなしレシピ』(小学館)など。
※記事中の情報・価格は取材当時のものです。