(Jタウンネットより)
北陸新幹線開通で関東と北陸の距離はグッと近くなる。縁もゆかりもなかったが、これを機会に一度行ってみようと考えている人もいるだろう。加賀百万石で栄えた石川県は、加賀友禅や漆器など伝統工芸が花開いた場所。第二次世界大戦の戦災を免れたこともあって見どころは多い。
兼六園や金沢21世紀美術館といったメジャーなスポットもいいけれど、どうせならミステリーなスポットを巡ってみてはいかがだろう。
謎めいた場所が点在する石川県。能登半島の付け根部分に位置する羽咋市はUFOが多く出現することで有名。隣町の宝達志水町にはモーゼの墓と伝わる場所がある。
数ある迷所の中でJタウンネットがお勧めしたいのは、金沢市から約25キロ離れた場所にある「ハニベ岩窟院」だ。
県道沿いから見える高さ15メートルの仏頭をはじめ、不動明王像や阿弥陀如来像、その他数百対におよぶ仏像などが安置されている。
拝観料は大人800円かかるが(団体割引あり)、ランドマークの仏頭は駐車場からバッチリ見渡せる。
製作者の空想が具現化した地獄?
いつ、だれが作ったのか不明なモーセの墓と異なり、ハニベ岩窟院を創建した人物は明らかだ。1951年に地元出身の彫刻家・都賀田勇馬さんが、長さ約15メートルある江戸時代の採石場跡の洞窟に作った。
ハニベとは土で彫刻を作る人=彫塑家という意味だが、勇馬さんは帝展や日展で入選した実績をもち、数々の賞を受賞している。
世界平和を祈念して岩窟院を作ったそうだが1981年に亡くなり、現在は息子の伯馬さんが岩窟院を運営している。
saname777さんがFlickrに公開している写真を元に、その内部をたどってみよう。有無を言わせぬ圧倒的な存在感。引き込まれるかのように寺の中に入ると、大量の地蔵群が! 水子供養のため安置されているらしい。道理で数が多いはずだ。
境内を歩くと、様々な種類の仏像や馬、象などの彫刻が。
洞内は不気味な世界そのもの
太陽の陽にさらされたこれら彫刻群は、迫力があるものの陽気さを帯びている印象すら受ける。
ところが……洞窟の中は、おどろおどろしい世界が広がっている。
無言の僧たち。突如目を見開き、唸りながら見学者の悪行を糾弾してそうな気配がする。
鬼たちは地獄の番人だろうか。食卓をしているように見えるが、食べようとしているのは人肉か……。
獣の頭をしたのは……地獄の獄卒・牛頭か、あるいはミノタウロスか。生贄を要求してきそうな不気味さがある。
そして人類。誘惑に負けて堕落した者どもが、死後、懲らしめを受けているように見える。
冷やかし半分で境内に入った人も、見学が終わるころにはおじけついてしまいそうだ。
単にパワースポットを巡るよりも、「人の道に外れた生き方をしてはいけないな」と反省したくなるのは筆者だけだろうか。