街のコト

20世紀初頭の面影を伝える水上住宅/リッチモンド(カナダ)

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(ライター:西川 桂子)

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フィン・スリューの水上住宅

バンクーバー市の南隣、バンクーバー国際空港のあるリッチモンド市は、バンクーバー広域帯の中でも、人口全体に対する移民の割合が6割といわれるエリア。中でも中国系が目立ち、中国色が強いリッチモンドですが、フィンランドからの移民が造ったコミュニティ「フィン・スリュー」(直訳するとフィンランドの沼地という意味)があると聞いて覗いて来ました。

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豪邸の多いリッチモンド

1880年代にやってきたフィンランド人が、漁業に携わるために川に近い土地に漁船を停泊させて住み着いたのが起源だとか。当時はしっかりした堤防もなかったため、大雨が降ると、しばしば水害が起きましたが、移民たちは力を合わせて生きてきました。裕福な中国系の多いリッチモンドは新築の豪邸が多いのに、フィン・スリューは20世紀初めの建物がそのまま残っており、冠水対策なのか、フローティングハウス、すなわち水上家屋が中心です。

現在、市とリース契約を結ぶべく交渉中という話もあるので、どうやらそもそも土地を購入して住みついたわけではなさそうです。こういう話を聞くと、さすが国土の広いカナダ!大らかだなぁと思います。

バンクーバー周辺は人口増にしたがい、不動産価格が高騰していて、2012年の調査では、市内の一軒家の平均価格は100万ドル(約1億2,000万円)を超えています。地の利を考えると、市はフィン・スリューも再開発して、ウォーターフロントのオシャレなコミュニティを造りたいところでしょう。
でも、居住権の問題や、さらには歴史的な意義も考慮され、今のところは当時の姿のまま、ひっそりと佇んでいるようです。

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古い自転車や縄を飾ったコテージ風の個性的な外観の家も

 

西川 桂子(にしかわ・けいこ)
フリーランスの翻訳者、ライター、記者、コーディネーター。ライター業は観光ガイドもの、ITセキュリティ、教育、エクササイズなど、幅広い分野を扱う。

 

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