街のコト

最北端のまちのレトロな横丁(北海道/稚内・波止場横丁)

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(ライター:村上 健)

うっ、寒い。クリスマスが間近な年末某日、稚内へ出張でやってきました。何しろ稚内は、モンゴルや黒海付近と同じ北緯45度。海を挟んでわずか50先先は樺太(サハリン)という日本最北端のまちですから、寒さも半端じゃありません。

仕事が終わり、中心街の凍結した夜道をそろそろ歩くと、商店の看板は皆ロシア語併記。閉じたシャッターにマトリョーシカが描かれた店もあり、国境のまちを実感します。

稚内港にある昭和初期に造られたドーム型の珍しい防波堤

港近くにあったのが、絵に描いたレトロな「波止場横丁」。居酒屋に混じって、ロシア料理やスープカレーの店などもあります。「内地に行きたくて東京に住んだけど、親にすぐ連れ戻されちゃって(笑)」「ウチも兄弟は皆札幌と東京だよ」と、テーブルに向かい合う初老の男女。そうか、年配の人は内地って言うんだ。ふるさとに複雑な感情を抱く人たちの人生に思いをはせながら、ボルシチの赤いスープを口に運びます。ふーっ、あったまるなあ。このまちで暮らす人たちにも、春が早くやってきますように。

村上 健 Ken Murakami
編集者の仕事の傍ら、各地の風景を描く。著書に『昭和に出合える鉄道スケッチ散歩』『怪しい駅 懐かしい駅』がある。

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月刊不動産流通2017年12月号掲載

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