どの企業も「人手不足」が経営課題 現在、多くの企業にとって共通している大きな経営課題は「人手不足」です。帝国データバンクの調査でも、全国約1万社のうち49.1%の企業は正社員が不足していると回答しており、この数値は過去最高を更新しています(2017年10月調査)。 人手不足は企業活動に大きな影響を及ぼします。売上拡大のために営業に力を入れたくても、それを実践する人材がいない……そうした現状に悩む中小企業は多いのではないでしょうか。 こうした経営課題を抱える中小企業にとって 、インターネットやAIなどのテクノロジーを使って「既存顧客との接点増加」「新しい販路の開拓」「新規事業の立ち上げ」などに取り組むことができます。これらは、リソース不足が原因で諦めていたことができるようになる可能性を秘めているのです。人の代わりに「チャットボット」が顧客対応 人に代わって顧客対応をしてくれるツールの代表ともいえるのが、「チャットボット」です。チャットボットは音声やテキストで対話することができるプログラムで、中にはAIを搭載し、会話の中で学習していくものもあります。 たとえばECサイトのLOHACOでは、AI型チャットボット「マナミさん」がカスタマーサポートを担当しています。マナミさんには、チャットを通じて注文の方法や配送料などLOHACOの使い方を質問し、その場ですぐに回答をもらうことができます。24時間365日休まず“働いて”いるマナミさんは、実に全ての問い合わせの3分の1に対応しており、6.5人分の省力化が実現できているといいます。 チャットボットは、導入する側から見ると省力化を図ることができる点がメリットの1つです。一方、ユーザーから見ると、「実際に人と話をするより緊張しないので気軽に質問できる」のが魅力でもあります。また、「新しいツールで面白い」「キャラクターがカワイイ」というユーザーもいることを考えると、チャットボットは、省力化できる上にユーザーに喜んでもらえる、一石二鳥の策といえるかもしれません。「バーチャル試着」で店員に代わってサイズを提案し返品を解消 店員に代わって、顧客に合った洋服のサイズをインターネット上で提案してくれる「バーチャル試着」も、人に代わる販促活動の1つです。「洋服はサイズが合うか不安だからネットでは買わない」「サイズが合わないので購入後に返品した」といった顧客の不満を解消することができます。 こうしたバーチャル試着は、その仕組みを提供している企業を通じて導入することができます。例えば、ベンチャー企業のメイキップでは、その場で顧客に合ったサイズを提案する新しいサービス「unisize」をECサイトに提供しています。 顧客は、インターネット上で商品を確認しながら身長・体重、腕の長さ(短い・普通・長い)などの簡単なアンケートに回答するだけで、すぐに自分に合ったサイズを提案してもらえます。このツールの裏では、メイキップが、国内外多数のブランドの洋服サイズとECサイトの利用者による人体データを掛け合わせて開発したアルゴリズムが働いています。 インターネット上で顧客がサイズ感を確認することのできるバーチャル試着は様々な形で現れてきていますが、unisizeが他と一線を画するのは、顧客がメジャーで手持ちの洋服を測ったり、いくつもの質問に回答したりしなくてもよいことです。先に紹介したチャットボットと同様に、導入する側だけでなく、顧客側にも利便性が高い仕組みといえるでしょう。他の人の知見を収集してくれる「クラウドソーシング」 リソース不足の企業にとって、自分たちの代わりに知見やノウハウを集めるサービスも魅力的です。例えば「クラウドワークス」などのクラウドソーシングを用いて、複数のクラウドワーカーに販促チラシのデザインなどを依頼することができます。 販促チラシのターゲットやイベントなどに合わせて様々な条件を付けてクラウドワーカーを募集することもできるので、自社の人材だけで考えるよりも、幅広く、そして顧客に訴求力のあるアイデアを集めることができるでしょう。 クラウドソーシングでは、新しい商品やメディアの名称を募集したり、営業代行・販売代行してくれる人を募ることもできます。中小企業にとっては、インターネットを通じてさまざまな人や知見を集め、クラウドソーシングを自社の1部門のように活用するのも効果的といえるでしょう。 筆者:日本情報マート経営者の意思決定に役立つ情報を発信。金融機関にも提供。また年間200件を超える調査も実施。http://www.jim.jp/
