暮らしのコト

地域密着 愛されご当地パン

三島人参を100パーセント詰め込んで! 静岡県三島市の「みしまフルーティキャロット」

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地元で愛されているパンを探して、全国各地をゆく「地域密着 愛されご当地パン」。連載第1回は、全国のご当地パンの人気を競う「第四回日本全国ご当地パン祭り」で第1位に輝いた「みしまフルーティキャロット」を訪ねて、静岡県三島市の「Cafe&Bakery グルッペ」にやってきました!

葛飾北斎の「東海道五十三次」にも描かれた古社、三嶋大社のほど近くにあります。

葛飾北斎の「東海道五十三次」にも描かれた古社、三嶋大社のほど近くにあります。

店内は縦に長く、手前がパンの売り場、奥がカフェになっています。

店内は縦に長く、手前がパンの売り場、奥がカフェになっています。

グルッペは、1951年に学校給食向けのパン製造を始めた会社の直営カフェベーカリー。店の前面と左側面はガラス張りで明るく開放感があり、奥のカフェではパンとコーヒーのセットやスパゲティなどの軽食を楽しむことができます。

みしまフルーティキャロットは、この店から誕生した名物として親しまれているそう。案内してくれたのは、生みの親の石渡麗子さんです。それでは、さっそくご当地パンを拝見!

みしまフルーティキャロット。何ともかわいいパッケージ!

みしまフルーティキャロット。何ともかわいいパッケージ!

そこにあったのは、まさにコロンとした姿がかわいらしいにんじん! 黄金色がまぶしいパンをにんじんの根に見立て、みずみずしい緑の葉と根に入った細かい線を包装で再現。みしまフルーティキャロットという商品名はタグになっているんですね。

石渡さん三島人参のいいとこ取りをしたスイーツ感覚のおやつパンです。高糖度のトマトと同じくらい甘い三島人参100パーセントのペーストが生地に練りこんであります」

三島人参とは三島市のブランド野菜、三島野菜のひとつ。箱根西麓の冷涼な気候のなか、ミネラル豊富な関東ローム層の恵みを受けた野菜は、濃厚な甘みがすると評判です。

サイズは手のひらほどです。

サイズは手のひらほどです。

ユニークなパッケージを取り去ると、見慣れた形のパンが姿を現しました。どうやらコロネのようですね。生地は表面しっとり、中はふわふわです!

石渡さん生地に豆乳を加えるのがポイントです。水と油分のなじみをよくしてくれるので、しっとりとまとまるんですよ」

穴にぎっしりと詰まっているのは、特製クリームきれいなだいだい色のゼリー

石渡さん「ゼリーも三島人参から作りました。生地もそうなのですが、着色料は使わずに素材本来の色を生かしているんですよ。材料次第で仕上がりが変わってしまうので、三島人参は農家さんから直接仕入れて品質を確認しています

ぷるぷるのゼリーが奥までぎっしり詰まっています。

ぷるぷるのゼリーが奥までぎっしり詰まっています。

割ってみると、クリームの中には三島人参のゼリーがたっぷり。ほんのりとにんじんの風味が残るゼリーと、甘すぎないクリームの絶妙なバランスが◎! 甘いものが苦手な人でも美味しく食べられそうです。

石渡さん「目指したのはにんじんの食感が残るゼリーです。小さくしすぎるとつぶれてしまうので、5ミリ角くらいにカットしてあります。そのゼリーを包むクリームは甘さ控えめで。甘すぎるとせっかくの三島人参の風味が消えてしまいますから」

ゼリーはにんじんペーストをそのまま固めたような仕上がりで、確かな食べ応えを感じます! すっきりした味にまとまっているので、男性でも丸々ひとつペロリといけそう。にんじん独特の青臭さもないので、にんじんはちょっと……という方でも気にせず食べられそうです!

■三島人参の感動を詰め込んで

定番の菓子パンから竜田揚げを挟んだボリューミーなおかずパンまで、グルッペの店頭には数々のパンが並んでいます。自慢の食パンは山食と角食をそろえ、さらに国産小麦のゆめちからを使ったものなど素材へのこだわりも感じられます。

上段にはさまざまな種類の食パンが並んでいます。

上段にはさまざまな種類の食パンが並んでいます。

おかずパンも充実。食べ応えがありそう!

おかずパンも充実。どれにしようか悩んでしまいます!

石渡さん「グルッペは街のメインの通りにあるんですが、通りを歩いてみても意外とお茶できるスペースが少ないんですよね。しかも本格的な喫茶店だと、一人では入りづらいこともあります。それに比べ、パン屋というのは入りやすいんですよね。パンを買うだけでなく、お茶を飲み、食事もできる。そういう店にしたかったんです」

グルッペを一人でも気軽に立ち寄れる、街の憩いの場にしたいという石渡さん。来店するお客さんは、ほとんどが地元の人だそうです。

石渡さん「日本一をいただいてからは、遠方から来てくださる人もいらっしゃいますね」

店に新しい風を吹き込んだのが、日本全国ご当地パン祭り。その第四回で第1位に輝いたみしまフルーティキャロットですが、実はグルッペは第三回でも「みしまコロッケぱん」を出品して第1位を獲得していたのです。

みしまコロッケぱん。お酒にもよく合いそうなおかずパンです。

みしまコロッケぱん。お酒にもよく合いそうなおかずパンです。

みしまコロッケぱんも三島野菜を使用したご当地パン。粘りのある三島馬鈴薯にうま味たっぷりのベーコンやスパイシーなブラックペッパーを混ぜて作ったコロッケを、小麦粉とおかゆを練り合わせたもちもちの蒸しパンで挟んでいます。

石渡さん第三回で1位をとった次の瞬間から、来年どうしようかと考えていました。常に何かをしてないと置いていかれてしまいますからね。翌年もチャレンジャーになりたいと思ったんです」

新たなアイデアを模索する石渡さんでしたが、方向性を決定づけたのは展示会での出会いでした。

石渡さん「JAさんが三島人参をその場で絞ってジュースにしてふるまっていたんです。三島馬鈴薯の取引でなじみになっていたので、早速飲ませてもらったのですが、りんごやかんきつ類が入っていると思うほど、嘘のようにフルーティでした」

三島人参100%のジュースの甘さに驚いたという石渡さんは「この感動をパンにしたい」と思ったそう。そんな思いをカタチにしたのが、三島人参ペーストのゼリー。これをクリームとともにたっぷり詰め込んで、みしまフルーティキャロットは完成しました。

石渡さん「三島ってこんなに良い野菜が採れるの? にんじんダメなんだけど食べられちゃったと驚いてくださるお客さんもいました。市内の小学校の“お楽しみ給食”に採用していただいたこともありましたね」

2回連続で第1位を獲得したグルッペは、さらに注目される存在に。日本一獲得直後の地元の祭りでは、何と1日で2380個ものみしまフルーティキャロットが売れたそうです。

どっさり並べられたみしまフルーティキャロット。収穫したてのよう!

どっさり並べられたみしまフルーティキャロット。収穫したてのよう!

すさまじい盛り上がりを経て、今は静かに三島市の中心で月日を重ねるグルッペ。石渡さんは、これからも“三島にこだわっていきたい”と語ってくれました。

石渡さん「三島のいいところを、いっぱい見つけられる店にしていけたらいいなと。パンをおいしく味わって、町並みを見ながらゆったりとした時間を過ごしていただきたいです。私も三島が好きなので、三島に自信を持って店を続けていきたいですね

日本有数のパワースポットである三嶋大社をはじめ、三島市には見どころが満載。近ごろは全長400メートルのつり橋、三島スカイウォークが富士山を望む絶景スポットとして話題になっていますね。かわいらしいパッケージのみしまフルーティキャロットは、おみやげにもぴったり。三島市を訪れたら、探してみてください!

  • 店舗情報
    ● Cafe&Bakery グルッペ
    住所:静岡県三島市本町2-27
    電話:055-973-1153
    営業時間:9:30〜18:30(無休)

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

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