全国各地のウマい肉料理をお腹いっぱい食べ尽くしていく連載「満腹御礼 ご当地肉グルメの旅」。今回訪れたのは、三重県の松阪市です。
松阪市といえば、ブランド牛の1つ・松阪牛の産地として有名。ステーキやすき焼きといった料理は市内といえども高級なのですが、その松阪牛をリーズナブルに味わえ、かつ新たな魅力を発見できる食べ方があるというのです。
降り立った松阪駅の南口から、歩くこと約15分。国道42号線沿いにお店を構えているのが、今回の目的地である「一升びん本店」です。創業昭和37年の老舗焼肉店です。
お店で出迎えてくれたのは、二代目社長の浅井松寿さんです。
浅井さん「当店はおそらく、焼肉店で松阪牛を初めて出した店だと思います。サーロインなどはやはり高いのですが、当店では松阪牛の一頭買いをして、内臓などホルモン系の肉もお出しすることで、比較的安い価格で提供できているんですよ」
なるほど、リーズナブルに食べられる理由は、松阪牛を文字通りまるごと提供しているからなんですね。
しかし、ただ安いだけでは人気メニューにはならないはず…。さっそくその実力を確かめるべくホルモンと、同じ内臓ということでレバーも用意していただきました。
■店長直伝! ホルモンの真髄を引き出すテクニック
お皿の上にどーんと並べられたホルモンとレバーは、表面にハリがあってツヤツヤしています。普通のホルモンやレバーとは、明らかに透明感が違います!
ホルモンはさっと火を通すのではなく、じっくり焼くのが美味しく食べる秘訣。今回は特別に、美味しいホルモンの焼き方を店長の大田さんがレクチャーしてくれました。使うのは炭火を入れた七輪。
大田さん「好みもありますが、ホルモンは軽く焦げ目がつくくらいまで焼くと美味しくなるんですよ」
さっそく、手順を紹介します。
浅井さん「ホルモンには味噌ダレがよく合います。しっかり味噌ダレを絡めれば、ホルモン特有のクセがなくなって食べやすくなりますよ!」
うま味そのものである脂が、身からテカテカと顔をのぞかせています。ようやくやってきた実食のタイミング。身を噛みしめると、ホルモンのプルプル&コリコリとした食感が口の中を楽しませてくれます。
と同時に、脂身の豊潤なうま味が炸裂! これほど濃厚なのに脂っこさを感じないのは、名脇役である味噌ダレのおかげです。
松阪市では味噌ダレで焼肉を食べるのがオーソドックスですが、一升びん秘伝のタレは、みりんや醤油、唐辛子など、数々の隠し味が味噌の風味をサポートしています。
続いてはレバー。こちらはひとたび噛むやさっくり、口のなかでほろりと溶けていきます。そしてびっくりするほど甘い! 新鮮なレバーだけに、生臭さもいっさいありません。
まさに、人生の幸せを噛みしめられる味! 熱烈なファンがいるというのも納得です。
■流通は松阪市周辺のみ! とっても貴重な部位だった
浅井さん「松阪牛のホルモンは、松阪市とその周辺にしか流通していないんです。なんせ鮮度が命ですから。うちの場合、近くに精肉処理場があって、毎朝送ってもらっているんです」
なんと! 松阪市に行かないと食べられないとは…。牛肉としては“安い”部位でありながら、非常に貴重なものなんですね。
浅井さん「サーロインのような高級な部位もホルモンも含め、一貫して大衆的なお値段で届けたいという思いがあるんです。一頭買いをして食材をロスなく提供できる、焼肉店ならではの強みですね」
ちなみに、現地で味わえるのは松阪市周辺だけですが、どうしても食べたいという人は…。
浅井さん「チルドで地方発送も行っているので、ぜひ利用してくださいね。赤身はもちろん、ホルモンもオーダーできますよ」
それはうれしい情報! まずは自宅で味わってみて、現地へ足を運ぶという楽しみ方もありますね。
さて最後に、みなさんが一升びん本店を訪れた際、ぜひ足を運んでほしいスポットをご紹介して締めくくります。腹ごなしがてら歩いてみては?
松阪市にはこちら以外にも、数多くの史跡が残っています。食も歴史も余すところなく楽しめば、身も心も大満足! それでは、今回も満腹御礼、ごちそうさまでした!
- 店舗情報
●一升びん本店
住所:三重県松阪市南町232-3
電話:0598-26-4457
営業時間:11:00〜22:30(LO22:00)、無休
http://www.isshobin.com/
※記事中の情報・価格は取材当時のものです。