暮らしのコト

満腹御礼 ご当地肉グルメの旅

豚バラに豆腐にダルム!?多彩なメニューの「久留米やきとり」

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全国各地のウマい肉料理をお腹いっぱい食べ尽くしていく連載「満腹御礼 ご当地肉グルメの旅」。今回は福岡県にやってきました。

豚骨ラーメンにモツ鍋、玄界灘でとれる新鮮な魚介など、ご当地グルメをあげていけば枚挙にいとまがない福岡県ですが、そんな中でも、今回ご紹介したい肉グルメが「やきとり」です。

実は福岡県は、日本でも屈指の「やきとり好き県」として知られており、人口あたりのやきとり店の店舗数において日本屈指というデータがあります。駅前や飲み屋街を歩けば、何軒ものやきとり店を目にします。地元の方々にとってやきとり店は、女性同士や子ども連れのファミリーでも気軽に入れる飲食店として定着しています。

今回は、そんなやきとりに親しみの深い福岡県を代表するやきとりのひとつ、「久留米やきとり」を味わうために、筑後地域を代表する店、「串の帝王 雁の巣本店」を訪れました。 JR鹿児島本線で、博多駅から約45分の羽犬塚駅にある人気店です。

久留米やきとりの名店「串の帝王 雁の巣本店」は、JR羽犬塚駅からほど近い場所にあります。

店名は、かつて福岡ソフトバンクホークスの2軍施設があった「雁の巣」から。

今回お話を伺ったのは、店主の栗原利明さん。

「久留米やきとり」は、久留米市を中心として筑後地域で親しまれているご当地やきとりの名称です。その特徴はメニューの豊富さで、そのことから幅広い世代から愛されています。

鶏肉はもちろんのこと、豚肉、牛肉、野菜、そして豆腐やモチといった加工品、果てはスイーツまで、さまざまなものを串に挿して「やきとり」と読んで味わうことが一般的となっています。

そのため、「やきとり」の名称で鶏肉以外のメニューが出てきても、驚いてはいけません!

栗原さん「マシュマロベーコン串にバナナ串…、あまり売れなかったけれどかつてはそんなメニューも提供していましたよ(笑)。それもこれも、女性や子どもなど幅広い世代にやきとりを楽しんでもらいたいから。オープン当初から意識してきた目標が、少しずつ浸透してきたと思います」

そう話すのは、羽犬塚駅周辺で2店舗を構える「串の帝王 雁の巣本店」の店主・栗原利明さん。オープンから27年が経ってもメニュー開発に余念がなく、日々増やし続けたメニューは60種類以上。現在も常時30種類以上のメニューを用意しています。

鮮度にこだわった肉は、鶏肉と豚肉は九州産で、鶏肉は朝引きの新鮮なものを使っています。串打ちはすべて当日。子どもでも食べやすくや焼きムラを防ぐ工夫など、細やかな気配りが特徴です。

カウンターのショーケースにズラリと並ぶ串。寿司屋のように直接指を差して注文できます。

もちろん、九州産の鶏肉・豚肉の串も鮮度抜群で人気です。

そんなこの店で、人気のメニュートップ3を作ってもらいました!

備長炭でていねいに焼き上げていきます。

写真左から「豚バラ」129円、「ハツ」97円、「ダルム」162円。

福岡のやきとりには、酢ダレのかかったキャベツが欠かせません!

人気1番人気「豚バラ」は、たっぷりと脂が溢れ出すジューシーな一品。久留米やきとりの味付けは「塩」が基本。この店でもシンプルに塩とコショウだけで味付けしているため、肉汁のコクのある味わいや脂の甘みをダイレクトに味わうことができます。

また、皿に乗った「キャベツ」は、福岡のやきとり店では絶対に欠かすことのできないやきとりの相棒。お通しとして無料で食べられるだけでなく、酢ダレのかかったキャベツをやきとりと一緒に味わうのも定番。肉のジューシーさと絶妙なバランスで、何本でも食べられそうです! 酢ダレ自体をたっぷりやきとりにかけて食べるのも、福岡のやきとり通の食べ方だとか。

さらに、長ネギの代わりに刺さっている「玉ねぎ」も福岡のやきとりならでは。甘みのある玉ねぎを最後の肉と一緒に食べれば、肉の旨味と玉ねぎの甘味がよいハーモニーを奏でます!

続いて2番人気は、豚の白モツ「ダルム」で、これはドイツ語で「腸」のことです。病院や医大のある久留米市で、かつてやきとりを食べた病院の医師や医学生たちが、白モツを「ダルム」、ハツ(心臓)を「ヘルツ」と呼んだことが由来といわれ、現在でも久留米やきとりの一部の店舗では、「ダルム」「ヘルツ」という一般的に名称が使われています。

強火でカリッと表面を焼き上げられた白モツは、その肉厚さが特徴。ひと口噛めば中からジュワッと脂が溢れてきます。新鮮なので脂には臭みがなく、余計な油が落ちた分だけ、中身の旨味が凝縮されているようです。これを九州名物の焼酎をグイッとあおって洗い流せば、その幸福な味わいと香りの余韻にもう一本、また一本とやきとりに手が伸びてしまいます!

カリッと焼き上げられた「ダルム」。

そして3番人気の「ハツ」は鶏の心臓。こちらは火を通しすぎない絶妙な火加減で焼き上げられており、柔らかさとハリがある触感が楽しめます。甘い玉ねぎがたっぷりとはさまっているのもうれしいポイント!

塩コショウでしっかりと味付けられた「ハツ」と玉ねぎの相性は抜群です!

栗原さん「そのほかにも『とうふ巻』や『山芋巻』、お餅を使った『ちから巻』というのもあります。定番はもちろんですが、こういった変わり種も、女性や子どもには喜ばれるんです。これからもより多くの人に、久留米やきとりのおいしさを伝えていきたいですね。日々のメニュー開発や焼き方の改善の研究は、そのためもあります」

屋台から生まれたという久留米やきとりは、いまや多数の店舗で提供されています。さらに久留米市では、「久留米やきとり日本一フェスタ」という大規模なイベントも毎年行っています。今年15回目を迎えた同イベントは、9月9日、10日に行われ、数万人の観光客が訪れました。雁ノ巣さんも、4回目から連続して出店し、今年は1万本近くを売り上げる大盛況だったそう。

栗原さん「福岡のグルメはたくさんありますが、久留米やきとりの塩味は、九州名物の焼酎との相性もいいです。ぜひイベントやお店で焼きたてアツアツのやきとりをひと口食べて、焼酎を流し込んだときの絶妙なおいしさを一度楽しんでもらいたいですね」

「おいしい串とお酒を用意して、ご来店をお待ちしています」と栗原さん。

来店の際は、看板にも掲げられているもうひとつの名物「骨付きカルビ」もご賞味あれ!

全国と比較しても、やきとりを非常に愛してやまない福岡。それだけ愛されてきたのは、多くの人に味わってほしいと願う、作り手の思いや努力の賜物だったんですね。福岡へ訪れた際は、明太子、モツ鍋とともに、やきとりと焼酎のマリアージュもお忘れなく!

  • 施設情報
    ●●串の帝王 雁の巣本店
    住所:福岡県筑後市山ノ井1124-1
    電話:0942-52-0987
    営業時間:不定休
    http://gannosu.com/

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

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