暮らしのコト

地域密着 愛されご当地パン

自分なりのカスタマイズが楽しい! 岩手県盛岡市の「コッペパン」

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地域で愛されているパンを探して、全国各地をゆく「地域密着 愛されご当地パン」。今回はユニークな販売方法で岩手県民のハートをつかんでいる「コッペパン」を求めて、岩手県盛岡市の「福田パン」を訪ねました。

福田パンの外観

福田パン長田町本店は、JR山田線「上盛岡駅」から徒歩10分ほどのところにあります。

福田パンは昭和23年の創業以来、店舗での販売のほか、岩手県内のスーパーマーケットやコンビニエンスストアでコッペパンを卸売りしているパン屋。また、県内にある小学校の給食や中学校や高等学校などの購買部での販売も行っているため、とくに地元の学生から親しまれています。

早速お店に入ってみると、“ユニーク”なワケがよくわかりました!

福田パン長田町本店のカウンター

福田パンはカウンターで注文するスタイル。色とりどりのクリームがいっぱい!

なんと福田パンは、アイスクリーム屋のように、目の前でコッペパンを仕上げて販売しているパン屋でした! ピーナツバターやジャムバターなどの王道系、すりりんごやずんだあんなどのユニーク系など、菓子系コッペパンに使用する様々なクリームがあります。また、メンチカツや焼そばなどのおかず系も用意されています。

福田パンのメニュー

菓子系とおかず系の2種類に分けられる幅広いラインナップ。同系統であれば組み合わせは自由。

合わせて50種類以上の多彩なメニューの中から、自分の好きなものを2種類まで選んで組み合わせることができます。2種類を注文した場合は、どちらか高いほうの代金を支払うシステムです。

どれにしようか迷ってしまいますが、今回は一番人気の組み合わせ「あんバター」を注文してみました。

福田パンのコッペパンに&バターを塗っているところ

あんとバターはハーフ&ハーフで塗られています。

注文すると、スタッフが5秒もかからないほどの素早い手さばきで、コッペパンの上にあんバターを塗っていきます。訪れたのはランチタイム前で、店内はにぎわっていましたが、待たされることもなくスムーズに手にすることができました。

福田パンのコッペパン

きつね色に香ばしく焼きあがったコッペパン。

これが福田パンのボリューミーなコッペパン手に持つと指の跡が残るくらいふかふかで、さらに片手にはおさまりきらないほど大ぶりです。

福田パンのコッペパンを割ったところ

コッペパンの中には、あんとバターがぎっしり。

コッペパンと聞くと、パサパサしたものを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、このコッペパンはやわらかく、しっとりとした食感。そして、甘さ控えめのみずみずしいこしあんと、ほどよく塩気のきいたバターの風味が口いっぱいに広がります。大きなコッペパンに、これでもかというほどあんバターが塗られていますが、飽きのこないあっさりとした味わいなので、ペロリと完食することができました。

あんバターは、159円(税込)というリーズナブルな価格ボリューミーなのにお得なことに加え、豊富なメニューの中から好きなものを組み合わせるという楽しさがあるので、地元で人気を得ているのもよくわかります。

それにしても、お客さんの目の前で仕上げるのはめずらしいサービスですが、なぜこのようなスタイルをとっているのでしょうか? そのわけを福田パンの3代目社長・福田潔さんに聞いてみました。

福田さんお客さまに楽しんでいただくためですね。あと市販のコッペパンよりもジャムやクリームなどを多く塗っているので、お得感を求めて足を運んでくださるお客さまもいるんです。お客さまが目の前にいると私たちは喜んでもらいたくて、サービスしたくなるんですよ(笑)」

また、商品代に10円プラスするだけで、中身を大盛りにできるといううれしいサービスもあるそうです。

ただ、注文を受けてから、1つ1つ手作業で塗るのは大変そうですが…。

福田さん「お客さまにスムーズに提供するため、パン専用のクリームやジャムを取り扱うメーカーから、コッペパンに塗りやすいものを選んで使用しています。バターやあんは、コッペパン用に特別に作ってもらいました。一般的なものよりも水分量が多いことで、パンに塗りのばしやすいんです

こういった工夫によって、平日だと1日1200個、休日だと2000個ものコッペパンを販売できると言います。

■コッペパンはもともとシンプルだった!?

今ではバリエーション豊かなコッペパンですが、もとは何も塗られていない素朴なコッペパンだったそう。

福田さん「昭和20年代に地元にある岩手大学の購買用に作ったのが始まりです。お腹を空かせた学生が、牛乳1本とパン1個で満腹になれるように、ごはん2膳とみそ汁1杯分のカロリーをとれるコッペパンを販売していました。今よりももっと大きなサイズだったんですよ。ただのコッペパンですが、当時は食料が貴重な時代だったので、お金のない学生には大変喜ばれました」

福田パンの福田潔さんとおかず系コッペパン

福田潔さんが持つのはおかず系コッペパン。「ハンバーグ&とんかつ」(左)と「ナポリタン&チキンミート」(右)。

のちに材料が手に入りやすくなったことで、店頭でのメニューが豊富になっていったそうです。「ハンバーグ&とんかつ」は276円(税込)、「ナポリタン&チキンミート」は256円(税込)と、がっつり盛りだくさんのおかず系も良心的な価格で食べられるコッペパンは、今では地元のソウルフードとして愛されるまでの存在になりました。

また、テレビ番組や観光雑誌での紹介をきっかけに、盛岡観光のお供として、日本国内だけでなく、海外からもお客さんがコッペパンを求めてやってくることもあるんだとか。

時を経てバージョンアップし、人気者になったコッペパンですが、福田さんに今後の展望について聞いてみました。

福田さん「『学校のランチタイムに購買部まで誰よりも早く走り、コッペパンを買いに行った』など、地元では学生時代の思い出に寄りそうコッペパンを懐かしむお客さまが多くいます。そんなコッペパンを求めてはるばる訪れるお客さまのために、県内にもう1、2店舗作れるとうれしいですね」

迷うのが楽しい、岩手のソウルフード「コッペパン」。自分なりにコッペパンをカスタマイズして、友達とシェアし合って色々な味を愉しんでみてはいかがですか?

  • 店舗情報 ● 福田パン本店
    住所:岩手県盛岡市長田町12-11
    電話:019-622-5896
    営業時間:7:00〜17:00(※売り切れ次第終了)

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

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