国土交通省は22日、第45回社会資本整備審議会住宅宅地分科会を開き、向こう10年間(2016〜25年度)を計画期間とする、新たな住生活基本計画案を示した。
同計画案は、住宅政策の方向性を国民にわかりやすく示すため、「居住者」「住宅ストック」「産業・地域」の3つの視点で目標を設定。「居住者からの視点」で、(1)結婚・出産を希望する若年世帯・子育て世帯が安心して暮らせる住生活の実現、(2)高齢者が自立して暮らすことができる住生活の実現、(3)住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保、「住宅ストックからの視点」で、(4)住宅すごろくを超える新たな住宅循環システムの構築、(5)建て替えやリフォームによる安全で質の高い住宅ストックへの更新、(6)急増する空き家の活用・除却の推進、「産業・地域からの視点」で(7)強い経済の実現に貢献する住宅関連産業の成長、(8)住宅地の魅力の維持・向上、という8つの目標を示した。
(1)については、若年世帯・子育て世帯の収入に応じて、必要とする質や広さの住宅に住めるよう、民間賃貸住宅等を公的賃貸住宅に準ずる扱いとして支援を行なうなどして、出生率向上につなげる。(4)では、インスペクション・住宅瑕疵保険など活用した品質確保、リフォーム投資の拡大などで良質な既存住宅が市場で評価され、流通することにより「資産として価値のある住宅」による新たな住宅循環システムを構築する。(6)は、空き家の有効活用の促進を図るための支援、地方圏での空き家対策の総合的推進を図る。
これら目標の実現度合を図るための「成果指標」も大幅に見直す。新たに「高齢者生活支援施設を併設するサービス付き高齢者向け住宅の割合(14年:77%→25年:90%)」、「都市再生機構団地の地域の医療福祉拠点化(同:ゼロ→同:150団地程度)」、「既存住宅流通量に占める既存住宅売買瑕疵保険に加入した住宅の割合(同:5%→同:20%)」、「空き家等対策計画を策定した市区町村数の全市区町村数に占める割合(同:0割→同:おおむね8割)」、「賃貸・売却用以外の『その他空き家』数」(13年度:318万戸→同:400万戸程度に抑える)」などを設定した。
「既存住宅の市場規模」は、新築供給数の影響を受ける「シェア」ではなく、「市場規模8兆円(25年)」としたほか、リフォーム市場規模もシェアではなく「市場規模12兆円(同)」とした。住宅の省エネ性の目標についても、新築住宅だけでなくストック全体での目標(省エネ基準を充たす住宅の割合20%(同))とした。また、前指標で目標達成できなかった指標も、そのままのハードルで延長した。
同日、同案についてパブリックコメントの募集を開始した。2月12日まで意見募集を行ない、年度内の改定を目指す。