分譲マンション事業の総合コンサルティングを手掛ける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、2015年前半戦のマンション市場を振り返りながら、同年後半戦の市場動向を予測したレポートを発表した。
同レポートでは、同年前半戦のマンション市場を(1)供給戸数は7%の減少、郊外部の激減ぶりが目立つ、(2)23区の好調は継続、埼玉・千葉の売れ行きは悪化、(3)好調の要因は圧倒的に駅近、差別化要因のない平均的物件の苦戦が目立つ、(4)販売価格は14年比5%前後上昇。すでに新新価格のピーク水準上回る、などと分析。インバウンド需要、相続対策需要などを背景にタワー物件やコンパクト物件など都心・都内物件の好立地マーケットは好調をキープしていること、低金利と共稼ぎ層の増加で顧客の予算アップが可能となり、価格が高くても好立地で利便性の高い物件は売れ、逆に大きなマイナスのない平均的物件が苦戦するなど、物件評価基準が大きく変化していることなどを指摘した。
一方、後半戦のマンション市場は、都下以外の供給が大幅減少となっていることから、供給は年間4万戸程度と予測。低金利の継続で、23区や横浜、川崎の利便性良好なエリアは価格上昇が吸収できるものの、郊外部は売れ行きがこれ以上鈍くなれば価格上昇が止まる可能性があるとした。低金利の継続で顧客は1,000万円程度の買い上がりが可能で、相続対策とインバウンドニーズなどの拡大もあるため、都心好立地は販売環境が良好だとしている。
こうした環境下で、ディベロッパーに求められる課題として(1)沿線力・駅力・駅近志向はますます強まるため、しっかり意識することが必要、(2)新築マンション市場が縮小する中、事業ポートフォリオを多角化するか、得意な商品・エリアを明確にして「選択と集中」をするか、ディベロッパーの事業戦略を明確にすること、(3)再開発や建て替え、種地からの地上げ、CREなど、土地を創り出す努力を、(4)空き家住宅の再生事業が大きなビジネスチャンスになる、(5)建築費の再上昇で、CMによるコストダウンが復活、(6)住宅デザイン力がさらに問われるようになる、などと指摘した。