(株)三井住友トラスト基礎研究所はこのほど、住宅購入価格の「年収倍率」が上昇し、住宅ローンの返済負担も徐々に増大しているとするレポートを発表した。
(独)住宅金融支援機構の「フラット35」利用者の平均年収と、購入者した住宅の価格の比率である年収倍率をみたところ、2015年2月に発行予定の月次信託債権プールにおいては4.94倍と推測。00年代には、年収倍率は4倍前後の推移だったが、「今や年収の5倍が一般的になりつつある」(同社)としている。
年収倍率の上昇要因については、リーマン・ショック前に700万円程度あった平均年収が、現在は600万円程度まで低下する一方、平均購入価格はリーマンショック後の落ち込みはあったものの、10年以降は3,000万円前後を回復していることを指摘している。
また、世帯年収に対する元利金の年間返済額を示す返済負担率(DTI)も、この2年程度で徐々に上昇傾向。年収倍率の上昇により、住宅ローン金利の低下が続いているにもかかわらず、返済負担が増加している実態もあると指摘。ただ、延滞率やデフォルト率は低水準で、住宅ローンの貸し倒れリスクが特段高まっている様子はみられない。
同社は「地価の上昇や建築費の影響で年収の5倍という住宅購入が一般的になることも考えられる。景気の悪化などを収入環境に変化があった場合に備えるため、DTIを抑える必要もある」と分析している。