(OVO オーヴォより)

老若男女、みんな大好きなメニューのひとつがカレーライス。最近の研究によって、少なくとも週に1度カレーを食べることは、認知症予防に効果がある可能性があるという。
そのカギとなるのが、カレーに使われるターメリックというスパイス。日本ではウコンとして知られているターメリックにたくさん含まれる「クルクミン」という成分が、脳を活性化させ、年老いてからの記憶力の低下を防いでくれるというのだ。
研究は中高年と高齢者の男女を被験者として行ったところ、1日に3回クルクミンを摂取した人々は、摂取しなかった人々と比べて記憶力の向上が見られたという。さらに、カレーをよく食べる地域に住む高齢者は、より優れた認知機能を持ち、認知症の有病割合も低いということが調査の上で分かっている。
認知症の多くはアミロイドβというタンパク質の蓄積によって引き起こされる脳神経細胞の死滅が原因。イギリスの権威ある学術雑誌「Journal of Nutrition」には、クルクミンのかたまりがアミロイドβを取り除くという研究結果も掲載されている。この研究では、96人の40歳から90歳までの男女を被験者として、1年間にわたって1日に1500mgのクルクミンを摂取した人と、まったく摂取しない人の違いを調べた。すると6カ月を経過したあたりから、摂取しなかった人々にのみ、言語と記憶の機能に低下が見られ始めたという。
さまざまな良い研究結果が認められているクルクミンだが、ひとつ懸念される点がある。それは、消化吸収が悪いこと。そのため、クルクミンの摂取にはさまざまな打開策が取られ始めている。
ケンブリッジ大学のアルフ・リンドバーグ教授は、おなかを壊さないよう、クルクミンをダイズレシチンと結合した新しいサプリメントを開発。これによって、クルクミンの吸収と体内への分配を可能にしているのだとか。
しかしイギリスのアルツハイマー研究所のローラ・フィップス博士は、認知症の予防や治療に関するクルクミンの効能について、もっと大規模な臨床試験が必要で、まだ断定はできないという。そして、「現在のところ、一番の予防といえるのは、禁煙と適度な運動、そしてバランスの取れた食事。高血圧や高コレステロールを避け、お酒も過度になりすぎないようにすること。体に良いことは脳にも良いのです」と語っている。
明確に効果があるとまだ断定できないとはいえ、確かにカレーを食べるインド人は、計算が得意で頭の回転も速そうなイメージがある。今後の研究に期待したいところだ。