ニュース

「チャッキラコ」に「トシドン」 和食、和紙だけじゃない日本の無形遺産

この「記事」が気に入ったらみんなにシェアしよう!

みんなにシェアしよう!

(OVO オーヴォより)

和紙が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されるという。国連教育科学文化機関に提案していた「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」について、事前審査を行うユネスコ補助機関が「登録」を勧告。勧告通り認められるのが一般的だから、11月24日からパリのユネスコ本部で行われる政府間委員会で正式決定されるという。

和紙が無形文化遺産に決まれば、昨年の「和食」に続いて2年連続となり、うれしい限り。しかし、和食も含め国内にはすでに22件の世界文化遺産が登録されていると聞けば、「そんなにあるの?」と思う人もいるだろう。確かに、多くの日本人が知らないものも登録されているが、そんな人のために、日本の無形遺産を紹介しよう。

そもそも、無形文化遺産とはなんだろう?
「世界遺産」はよく耳にするが、これは同じユネスコの事業でも、建築物などの有形の文化財の保護と継承を目的としたもので、「無形文化遺産」は民族文化財、フォークロア、口承伝統などの無形のもの(無形文化財)を保護対象としている。

無形文化遺産は2003年10月にユネスコ総会で採択され、06年4月に発効した無形文化遺産の保護に関する条約(無形文化遺産保護条約)に基づいたもので、13年12月現在で157カ国が締約している。日本は04年6月に世界3番目に締結した。

条約は締約国に対し、国内の無形文化遺産を特定し,目録を作成することを求め,ユネスコが「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表(代表一覧表)」と「緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表(緊急保護一覧表)」を作成することなどを定めている。

さて、その無形文化遺産に国内で登録されているものは現在22件。和紙が23件目となる見込みだ。実は、条約発効前にユネスコが実施していた「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言(傑作宣言)」の90件については、(2008年)11月に本条約の代表一覧表に統合された、つまりそのまま無形文化遺産として登録されたわけだ。
日本では「能楽」「人形浄瑠璃文楽」「歌舞伎(伝統的な演技演出様式によって上演される歌舞伎)」がそれで、さすがに日本を代表する伝統文化だけに、“別格な扱い”で無形文化遺産となっている。

それ以降、登録されたのは、若者などにはよく知られていない文化も並んでいるのも確かだが、いすれも地域が一体となって守り続けているものだ。

例えば、09年に登録された「日立風流物」。これは茨城県日立市で行われる「日立さくらまつり」で披露されるあやつり人形。高さ15m、幅8m、重さ5tの豪壮な山車で、その上の5層の屋根が開き、5段の舞台であやつり人形が演じられるもの。江戸時代中期ごろから伝わっているという。

「歌舞伎」や「雅楽」「田植踊」「組踊」など名称からだいたいのイメージが湧くが、名前もみても内容が皆目分からないものもある。その代表が「チャッキラッコ」や「甑島(こしきじま)のトシドン」だ。

チャッキラコは神奈川県三浦市の伝統文化で、毎年1月15日の小正月に神社などで行われる豊漁・豊作や商売繁盛などの祝福芸。女性だけで踊られる民俗芸能の一つという。約10人の年配の女性が唄い、5歳前後から〜12歳までの少女約20人が踊る。少女は赤色の晴れ着、年配の女性は、黒色の着物に羽織姿。踊りは「はついせ」「チャッキラコ」「二本踊り」「よささ節」「鎌倉節」「お伊勢参り」があるが、総称して「チャッキラコ」と呼ぶようだ。

甑島のトシドンは、東シナ海に浮かぶ下甑島に伝わる来訪神の行事。大晦日の夜、トシドンと呼ばれる神に扮した男たちが子どものいる家を訪れ、悪い子供を戒める。
トシドンは、長い鼻に大きな口の奇怪な顔で、ワラなどをまとって現れ、大声で子供を脅かすという。秋田県に伝わるなまはげに似ているようだ。

日本の無形文化遺産とはいえ、日本人がほとんど知らないものもある。時間があれば、実際に見てみるのもいいかもしれない。

この「記事」が気に入ったら
みんなにシェアしよう!

MATOME