暮らしのコト

男子もハマる!? 羊毛フェルト手芸

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(OVO オーヴォより)

う〜ん…。「かわいくない」わけではないが、「かわいい」とも言えない。なんか微妙だー。

先日、初めて「羊毛フェルト」なるものをやってみた。
姪が100円ショップで手芸用品を買うと言うのでつきあったところ、そこで「羊毛フェルトアニマルキット」という商品を見つけた。
姪によれば「結構最近流行っている」らしい。以前も書いたが、私は最近の流行モノの情報をこの姪から仕入れることが多い。
この時も「流行っているなら1度やってみなくては」と手に取ってみた。パッケージには「所要時間約2〜3時間」と書いてある。「まあこれぐらいの時間なら…」とネコのキットを購入した。

「羊毛フェルト」は、ふわふわの羊毛を丸めて、それを専用の針でつつくことでフェルト化(繊維が絡み合って離れなくなる状態)させ、人形などを作る手芸の一種だ。一見簡単そうだったが、やってみるとなかなか思うようにいかない。指に針を刺して出血することもしばしば。何度もやり直しているうちに結局、計6時間ぐらい費やしてしまった。そして結果は、冒頭のような何とも言えない“微妙な作品”となった。

本当にそんなに流行っているのか?と、WEBで検索してみると、確かにいろいろな作品が出てくる。
私の作品よりはるかに酷いものもあったが、驚くほどリアルな素晴らしい作品も多い。お笑いタレントの光浦靖子さんが書籍を出していたり、雅楽演奏家の東儀秀樹さんが、趣味が高じて教室まで開いていたりと、芸能人の間でもブームらしい。

そんな情報を見ているうちに、ふと、私の以前の勤務先であったリクルート(現リクルートホールディングス)の大先輩が、「羊毛フェルト」の作品をFacebookにアップしていたのを思い出し連絡してみた。

大先輩とは、リクルート退職後、トリックアート、ユーモアアートの第一人者として活躍する伊藤文人氏。羊毛フェルト作家の奥様のワークショップを手伝っているうちに、自分も作品を作るようになったとか。
ワークショップは子どもが対象だが、親もついてくる。最初は子どもを手伝っているが、そのうち親の方(特に父親)がハマり、子どもが飽きて別のことを始めても、夢中になって作り続けるそうだ。子どもがいなくなった教室で、お父さんたちが一心に「羊毛フェルト」のケーキやクッキーを作っているのは、想像すると微笑ましい。

伊藤氏自身は、ペットの「フェルトドール」を専門にしている。主にペットを亡くした飼い主が依頼人だそうだ。ペットの写真をもとに、体毛を尻尾や背中などに埋め込み、今にも動き出しそうなリアル感で仕上げる。大きさは高さ25?程度。私も何枚か写真を見せてもらったが、びっくりするほど本物そっくりだ。飼い主からは、「かわいがっていたペットが今も傍にいるよう」と大変喜ばれているそうだ。

さっそくこの件をコラムに書こうと準備していると、同じく元リクルートの後輩から連絡があり、新しいビジネスとして中央アジアキルギスの羊毛フェルト工芸品「TUMAR」の販売を始めたという。
この後輩、本業としては金融機関コンサルティングなどを行う会社を経営している。それがどうして「羊毛フェルト」?と尋ねてみると、取締役の1人が建築デザイナーとしてキルギス共和国に駐在したことがあり、その際にTUMAR社の経営者兼デザイナーと知り合い、最近、日本進出の支援要請を受けたとのこと。

オンラインショップも立ち上げ、羊毛フェルトのルームシューズ、インテリア雑貨や、フェルトドールなどが購入できるようになっている。資料を見せてもらうと、クリスマス用の飾りなどもとてもかわいい。年末に向けてプレゼントにピッタリだ。(ちょっとPR)

元リクルートの知人だけで2人も「羊毛フェルト」に関わっているということは、かなりのブームなのではないだろうか?これからさらにブレイクするかもしれない。

伊藤氏によれば、「羊毛フェルト」の魅力はその“自由度”だそうだ。たとえば、同じく人気のテディベアは型紙から作る。最終的にその形になるように作るので、建築のようなもの。一方「羊毛フェルト」は、彫刻や粘土細工のように、出来上がるまでどうなるかわからないところがある。それが、「羊毛フェルト」の面白さだそうだ。

完成度の高いものを作るには、専用のパッドや針を揃える必要があるが、ちょっと体験したいという程度なら、100円ショップのキットでも十分楽しめる。男女を問わず、ぜひ一度体験してみることをお勧めしたい。

フェルトドール作家伊藤文人氏は、株式会社日本リクルートセンター(現、株式会社リクルートホールディングス)在籍中からグラフィックデザイナー、イラストレーターとして数々の賞を受賞。1999年に独立後は、トリックアート(さかさ絵、さかさ文字)、ユーモアアートの第一人者として活躍。2014年8月には、愛媛県で「Dr伊藤文人のトリックイリュージョン研究所」(展覧会)も開催している。ご関心あれば連絡先:mrbunbun21@ybb.ne.jp。
「TUMAR Japanオンラインショップ」はhttp://www.tumar.jp/

仲村明子(なかむら・あきこ)

1982年株式会社日本リクルートセンター(現、株式会社リクルートホールディングス)入社、人事部配属。退職後は日本と韓国で、日本語・英語教育に携わる。2000年株式会社パソナソフトバンク(現、ランスタッド株式会社)入社、広報室長代理として広報、IR、CI構築、広告・宣伝など、広報PR業務全般に携わる。
2006年広報PRコンサルティング会社株式会社アネティ設立、代表取締役就任。

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