老犬という穏やかな伴侶 その1・メグ【きみといきる】

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(OVO オーヴォより)

メグは、私たちのシェルターから山を一つ越えた町で老夫婦と一緒に生活していました。お父さんが体をこわしたときにリハビリの手伝いをしてくれたのがメグでした。メグに助けられたんだ、とお父さんは言います。メグが毎日一緒に散歩してくれたから自分の体は良くなったんだ、と。そんなメグを引き取ってくれないかと私たちに相談があったのは、去年の秋でした。ご夫婦はそれまで勤めていた仕事をやめ、故郷に帰ることになったけれども、新しい住まいでは犬を飼うことはできないし、身内にはメグを引き取れる人がいない。保健所に引き取ってもらうことも考えたが、できれば信頼できる人にメグを託したい。だからメグの面倒をみてくれないか。

こうしてメグは私たちのところにやってきました。いつからかなにかの原因で体毛が抜け落ちてしまったメグの皮膚は、私たちが最初に会った時は甲羅のように固くなっていました。かかりつけの獣医師に相談し、主にホルモンバランスに気をつけて薬を処方し、皮膚を清潔にし、規則正しい食事と適度な運動を続けています。慣れないところで最初はおとなしかったメグも、少しずつリラックスしてきました。最近ではたまにわがままな素振りも見せたりします。

そして、皮膚は本来の柔らかさを取り戻しつつあるようです。少しずつですが体毛も生えてきました。勝手に濃い色の体毛だと思っていたのですが、実は明るい色だったようです。ちょっとした驚きです。

メグを引き取る時、もしかしたらずっと新しい飼い主が見つからないかもしれないと思いました。できるならどこか暖かい家庭に引き取ってもらいたい。でも難しいかもしれないからずっと私たちのところにいるかもしれない。それでもいい。そんな覚悟で引き取りました。保護した犬を新しい家庭に引き取ってもらい、空いた部屋に次の犬を迎え入れることでたくさんの命のリレーをするのが動物保護団体です。しかしまずは目の前の一つの命を大事にしたいとも思うのです。

メグは、多くの老犬がそうであるように穏やかで人が好きな犬です。のんびりと散歩をし、たまに立ち止まってなにかを思い出すように首を振る、ある程度の小心さと少しの強情さをもった愛すべき犬です。メグと散歩をしていると、ここでのんびり過ごすのも悪くないんじゃないかと思います。少しでも心地よければと思います。

春になり夏も近づいて来ました。メグの元の飼い主さんからは時々手紙がとどきます。私たちも折々にメグの様子を知らせています。
私たちとメグの日々は続きます。

著者:藤谷玉郎(ふじやたまお)

一般社団法人ふくしまプロジェクト理事
東北大学大学院卒業。福島県庁・秋田県庁を経て2014年4月より現職。東日本大震災後に被災地派遣で福島県庁に出向し動物保護行政に携わる。その当時の日々をブログ「福島日記」に記録。
きみといきる。ふくしまプロジェクト WEB
ブログ「福島日記」

写真:ケニア・ドイ

芸能人のグラビアなどを数多く手がけ、人物撮影を得意とするスチールカメラマンが、2011年猫カメラマ
ンになることを宣言。
ブログで猫写真を発表し続ける。ファースト写真集『ぽちゃ猫ワンダー』(河出書房新社)が2014年12月に発売され話題に。好評発売中。
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