(Jタウンネットより)

ムギムーチー(筆者撮影)
沖縄本島中部のうるま市にある海中道路は、全長約5キロで通行無料の道路。名前は「海中」だが、海の上を走っている。沖縄本島からこの道路を走って平安座島、宮城島、伊計島へ渡るルートは、フロリダのキーウェストに続くオーバーシーズ・ハイウェイにちょこっと似ている、人気のドライブコースだ。

フロリダ半島と勝連半島(与勝半島)
とはいえ、地形こそ似ているが、町並みはフロリダとは似ても似つかない。沖縄の古い民家が立ち並び、そこに、今回ご紹介する、とっても沖縄っぽい店がある。その名も、兼久(かねく)パーラー。「とっても沖縄っぽい」という表現は、本当は沖縄ではないのかと誤解を招くので、「沖縄をまさに代表する」と言い換えた方がいいかもしれない。

いざ、店内へ!
関東で「パーラー」というと、フルーツパーラーやパチンコパーラーを思い浮かべるかもしれないが、沖縄のパーラーは関東でいう、小さな食堂、あるいはカフェといった感じだろうか。
いつもこの店の前を通るたびに、赤で書かれた「ムギムーチー」の看板を見ては、いつかのぞいてみたいと思っていた。
中に入ると、薄暗く、サンニン(月桃)の独特な香りに迎え入れられる。たくさんのサンニンの葉っぱが並んでいる机の向こうには、おばぁが立っている。特に笑顔で迎えてくれているわけではないが、そのお顔の向こうに、歓迎の笑顔が秘められているのを感じる。
「こんにちわー、これ、なんですか」
どうやら、ムギが入っているそうな。おばぁは、おいしいと太鼓判を押す。
さっそく、100円で1個買って、家に持ち帰り。

家族全員でサンニンの葉っぱを開いて中身を見る。
娘も興味津々。なんだろうこれ……。

実際に食べてみると、ヨモギ餅のような……しかし、決してヨモギ餅ではない。健康にとっても良さそうな味と表現したらいいだろうか。
沖縄本島のスーパー「ユニオン」などで、円形で売られている餅と味は似ているが、微妙に異なる。あの、おばぁの秘伝レシピで作られているに違いない。

ムギムーチーって、どんな意味?
そもそも「ムギムーチー」とはなんぞや。ネットで検索してもあまりヒットしない。「ムーチー」は沖縄で「餅」の意味。普通は米粉から作るムーチーを、麦粉で作ったから「ムギムーチー」なのだ。
兼久パーラー、沖縄でも希少なムギムーチーを食べられるパーラー。海中道路へ観光に来られた際には、是非立ち寄っていただきたい、「沖縄を代表する」お店です。

今回の筆者:河原良成世界数か国で生活した後に、40代で二児の父親となる。子育てのため沖縄に移住。現在、好きを仕事にするため、マリーン事業「沖縄サーフガイド」を営んでいる。