冬になると、住宅街でちらほら見かけるイルミネーションで彩られた家々。暗い夜道を温かく照らし出す光は、気持ちをほっとさせてくれますよね。そんな「ホームイルミネーション」を、見るだけでなく自宅でやってみたいという人は、少なからずいるのではないでしょうか。
でも、やり方がわからないし、そもそもマンションやアパート住まいで飾るスペースがないと諦めてしまうことも……。
そこで今回、at home VOXは、個人宅から大型商業施設まで数々のイルミネーションを手がけてきた“カリスマ・イルミネーター”石川智之さんに、「マンションやアパートでも楽しめるホームイルミネーション」を教えてもらいました。集合住宅に住む人でも気軽に挑戦できる、飾り付けの方法を紹介します!
■始めに何をすればいいの?
マンションやアパートでのホームイルミネーションに挑戦するとき、始めに何をすればいいのでしょうか?
石川さん「始めに考えるべきことは2つあります。1つは飾りたい場所を決めること。庭のないアパートやマンションの場合、『玄関』、『ベランダ(※)』、『窓』ならば、簡単に飾り付けることができます。初めてイルミネーションに挑戦する人は、まずはこの3カ所を考えてみてください」
※マンションやアパートのベランダは共用部分に当たるので、管理規約にご注意ください。
もう1つ、考えなくてはならないこととは?
石川さん「予算です。いくら使うかによって、買える飾りの数が決まってきます。予算が1万円だと飾りは1〜2点程度で、飾れるのも1〜2カ所だけです。3万円あれば3〜4点の飾りを用意できるので、にぎやかになりますよ。ホームイルミネーションの相談で私を訪ねてくるお客さんも、予算は1カ所あたり3万円くらいの人が多いですね」
■必要な道具は?
飾りたい場所と予算を決めたら、次はいよいよライトの購入です。
石川さん「かつてライトには白熱電球が使われていましたが、今はLEDが主流。白熱電球に比べて、カラーバリエーションが豊富で、電気代も安く上がります」
ライトにはいくつかの種類がありますが、マンションやアパートで活躍するのは、主に次の5種類です。
名称 | 説明 |
---|---|
ストレートタイプ | 一般的な1本のひも状のライト。ツリーを飾るために使う場合が多い。 |
ツララタイプ | ツララが連なっているようなライト群。家の軒下や店舗の日よけから、のれんのように垂れ下げて使う。 |
ネットライト | フェンスや植え込みにかぶせて使う、ネット状のライト。 |
3Dライト | 立体的なライト。すでに形ができているものを、置物のように地面に置いて使用する。トナカイやサンタクロース、ベルなどさまざまな種類がある。 |
モチーフライト | 平面に飾るためのライト。キャンドルやプレゼントボックスなど、すでに形ができているものをそのまま飾る。 |

ツララタイプ、ネットライト、モチーフライト画像提供:アイリス イルミネーション ドットコム
■ライトの飾り付け方
さて、ライトを購入したら、さっそく飾り付けてみましょう。場所ごとに見ていきます。
【玄関の飾り付け】
石川さん「玄関で活躍するのは『3Dライト』と『モチーフライト』です。3Dライトは玄関先に設置し、モチーフライトはリースのように玄関扉にひっかければ、それだけで華やかになります。別途ツリーを用意して、『ストレートタイプ』で飾ったものを置いてもいいですね」

【窓の飾り付け】
石川さん「『ツララタイプ』と『モチーフライト』が最適です。ツララタイプはカーテンレールにフックでかけるか、インシロック(結束バンド)で固定します。モチーフライトはフック付きの吸盤を室内側のガラス窓に張り付け、フックに引っかけます」

モチーフライトを吸盤のフックに引っかけるのは、一流ショップのディスプレイにも使われるプロの技。吸盤は思いのほか目立ちません。
【ベランダの飾り付け】
石川さん「『ネットライト』と『モチーフライト』で飾れます。ネットタイプは、広げてフェンスにかけたら、あとはひもで固定するだけ。モチーフライトは、フェンスにしっかりと巻き付けた針金につるして飾ります」

屋外にイルミネーションを飾るとき必要となるのが、電源の確保。窓を開けて屋内から電気を取ることもできますが、冬場は寒いし、不用心ですよね。窓を閉めたまま室内から電源が引ける「すき間用の電源コンセント」という便利な商品も売っているので、活用してみてください。
ちなみに、室内の壁や天井もイルミネーションで飾ることができます。ただし、設置するには壁に穴をあけてフックを設置したり、ライトを固定するためのビスを打ち込むなど、それなりの手間がかかるそう。室内を本気で飾りたい人はプロの業者にお願いするのが早いかもしれません。手軽に楽しみたいのなら、置くだけの3Dライトがおすすめ。彩色されているので、昼間の見栄えも良いですよ。
さあ、準備ができたら、点灯してみてください。幻想的な世界があなたを待っています。
■ホームイルミネーションの気になるポイント
Q.ライトを選ぶときのコツはあるのでしょうか?
石川さん「なるべく心がけたいのは、実物を手に取って選ぶことですね。たとえば、トナカイの3Dライトをインターネットで購入しようとすると、全高はいちばん高いツノの部分で計測されているので、イメージよりも小さい商品が届くことがあります。色味も写真で伝えるには限界があるので、実際に見てみることは大事です」
Q.ホームイルミネーションを始めるにあたって、注意すべきことは?
石川さん「ご近所の迷惑にならないように最低限のマナーは守りましょう。ホームイルミネーションは、一晩中つけていればいいというものではありません。イルミネーションライトの光が隣人の眠りを妨げるなどのトラブルにつながる可能性も。電気代と近隣住民への配慮という二つの観点から、ライトはあまり遅くならないうちに消灯しましょう。光センサーやタイマー機能付きのコンセントを使えば、自動的にライトを点灯・消灯してくれるので、家を留守にしていても安心です」
Q.ランニングコストはどれくらい?
石川さん「費用は1カ月で、1カ所につき数十円ほど(※)。明かりをつけるのは何も一日中というわけではありません。日没からご近所に迷惑がかからない時間帯まで、家の一部を飾って楽しむ程度なら、電気代はほとんどかからないと思っていいですよ」
※点灯させる時間や電球の数によって、電気代は異なります。
■プロが語るホームイルミネーションの魅力
イルミネーションのプロフェッショナルである石川さんから見て、ホームイルミネーションの魅力とは、何でしょうか?
石川さん「まず、光がともったときに味わえる感動。見た人が『きれい』と言ってくれるのもうれしいですね。設置の苦労が報われる瞬間です。あと、暗い夜道を歩いて家に帰ったとき、光が迎えてくれると、やっぱりホッとするじゃないですか。ホームイルミネーションの魅力は、そういった『心に感動や癒やしをくれる』ところではないでしょうか」
そうした魅力はホームイルミネーションを始めてからわかるものだそう。始めるきっかけとしては、子どもが生まれたからという人が多いようです。
石川さん「実は私も、子どもに喜んでほしくてホームイルミネーションを始めました。同じく孫に遊びにきてほしいから、家をきれいに飾り付けるおじいちゃん、おばあちゃんも多いです。あまりお金をかけられない若い人は、LED付きのツリーなどを室内に飾って、プチぜいたくを楽しんでいるみたいですね」
ホームイルミネーションを始めるのは、難しいことではありません。テレビで紹介されるような家全体を覆う派手な飾り付けは無理でも、窓や玄関にちょっとした光をともすくらいなら、自分にもできそうな気がしませんか? それだけで、日々の生活がもっと豊かにキラリと光り輝くかもしれません!
監修:石川智之
イベント企画やイルミネーションのデザイン・施行・販売を行う「BeWitch」会長。大手グループが運営するショッピングモールをはじめ、駅、街角、飲食店、大学など全国各地のイルミネーションをプロデュースする。著書に『ドリームライト』(健康ジャーナル社)。
取材協力:BeWitch
所在地:埼玉県さいたま市緑区三室990-10
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