「アルツハイマー」

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ビフィズス菌がアルツハイマーを予防する? 認知機能を改善する可能性

ビフィズス菌がアルツハイマーを予防する? 認知機能を改善する可能性

 日本の認知症患者数は2012年時点で約462万人、2025年には700万人を超えると推測されている(2015年、厚生労働省)。認知症の中でも多くの割合を占めるのがアルツハイマー型認知症だが、アルツハイマー病は一度発症すると進行を止めたり回復したりするのが難しく、いかに発症を予防するかが大切だといわれている。森永乳業は、東京大学大学院農学生命科学研究科および神奈川県立産業技術総合研究所と共同で、ビフィズス菌A1(Bifidobacterium breve A1)がアルツハイマー病に与える影響を研究。ビフィズス菌A1を摂取すると、アルツハイマー病の発症を抑える可能性があることを発見した。 研究では、アルツハイマー病の原因物質と考えられているアミロイドβを脳内に投与したアルツハイマー病のモデルマウスに、ビフィズス菌A1を1日当たり10億個、10日間にわたり経口投与し、3つの実験を行った。その結果、ビフィズス菌を投与したマウスは生理食塩水だけを投与したマウスと比べ、空間認識力や学習・記憶能力が改善したと考えられるデータが得られた。また、ビフィズス菌を投与したマウスはそうではないマウスと比較して、免疫異常や過剰な炎症に関わる脳内遺伝子群の発現が正常の状態を保っており、認知機能障害が改善した可能性が示唆された。 つまり、ビフィズス菌を摂取すると、認知機能が改善したり、脳内の過剰な免疫反応や炎症を抑えたりする作用により、アルツハイマー病の発症や進行を抑制する可能性があることが分かった。ヒトにおいても、その効果が早く証明されることを期待したい!

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週に1度カレーを食べると認知症になりにくい? カレーに含まれるターメリックが秘める可能性

週に1度カレーを食べると認知症になりにくい? カレーに含まれるターメリックが秘める可能性

 老若男女、みんな大好きなメニューのひとつがカレーライス。最近の研究によって、少なくとも週に1度カレーを食べることは、認知症予防に効果がある可能性があるという。 そのカギとなるのが、カレーに使われるターメリックというスパイス。日本ではウコンとして知られているターメリックにたくさん含まれる「クルクミン」という成分が、脳を活性化させ、年老いてからの記憶力の低下を防いでくれるというのだ。 研究は中高年と高齢者の男女を被験者として行ったところ、1日に3回クルクミンを摂取した人々は、摂取しなかった人々と比べて記憶力の向上が見られたという。さらに、カレーをよく食べる地域に住む高齢者は、より優れた認知機能を持ち、認知症の有病割合も低いということが調査の上で分かっている。 認知症の多くはアミロイドβというタンパク質の蓄積によって引き起こされる脳神経細胞の死滅が原因。イギリスの権威ある学術雑誌「Journal of Nutrition」には、クルクミンのかたまりがアミロイドβを取り除くという研究結果も掲載されている。この研究では、96人の40歳から90歳までの男女を被験者として、1年間にわたって1日に1500mgのクルクミンを摂取した人と、まったく摂取しない人の違いを調べた。すると6カ月を経過したあたりから、摂取しなかった人々にのみ、言語と記憶の機能に低下が見られ始めたという。 さまざまな良い研究結果が認められているクルクミンだが、ひとつ懸念される点がある。それは、消化吸収が悪いこと。そのため、クルクミンの摂取にはさまざまな打開策が取られ始めている。 ケンブリッジ大学のアルフ・リンドバーグ教授は、おなかを壊さないよう、クルクミンをダイズレシチンと結合した新しいサプリメントを開発。これによって、クルクミンの吸収と体内への分配を可能にしているのだとか。 しかしイギリスのアルツハイマー研究所のローラ・フィップス博士は、認知症の予防や治療に関するクルクミンの効能について、もっと大規模な臨床試験が必要で、まだ断定はできないという。そして、「現在のところ、一番の予防といえるのは、禁煙と適度な運動、そしてバランスの取れた食事。高血圧や高コレステロールを避け、お酒も過度になりすぎないようにすること。体に良いことは脳にも良いのです」と語っている。 明確に効果があるとまだ断定できないとはいえ、確かにカレーを食べるインド人は、計算が得意で頭の回転も速そうなイメージがある。今後の研究に期待したいところだ。

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