暮らしのコト

地域密着 愛されご当地パン

絶品タマゴサラダに舌つづみ! 千葉県銚子市の「サンオレ」

この「記事」が気に入ったらみんなにシェアしよう!

みんなにシェアしよう!

地域で愛されているパンを探して、全国各地をゆく「地域密着 愛されご当地パン」。今回は、銚子市民に評判のタマゴサラダパンがあると聞いて、犬吠埼や地球の丸く見える丘展望などの観光地で知られる千葉県銚子市の「ベーカリー&カフェ 赤毛のアン」を訪ねました。

千葉県銚子市にある赤毛のアン

総武本線「銚子駅」より徒歩10分ほどのところにある「赤毛のアン」。緑色の切妻屋根が特徴的な店舗は、L・M・モンゴメリ作『赤毛のアン』に登場する“グリーン・ゲイブルズ・ハウス”にちなんで建てられたそう。

赤毛のアンは、1914年(大正3年2月)に創業した山口製菓舗が屋号を変えて7年前にオープンしました。直営店での販売のほか、銚子市内や近隣エリアの波崎町にある一部のスーパーマーケットで卸売りも行っています。

千葉県銚子市にある赤毛のアン_店内

パンやお菓子が並ぶ、洋菓子店のようなカウンター。店内は甘〜い香りがただよっています。

店内にずらりと並ぶマフィンやマドレーヌなどの洋菓子や、メロンパンやシナモンロールなどの菓子パンは、どれも手作り。多彩な商品がある中、看板商品となっているのが、絶品のタマゴサラダが楽しめる「サンオレ」2017年に発売50周年を迎えたロングセラー商品だと言います。早速、拝見してみましょう!

千葉県銚子市のご当地パン_赤毛のアンのサンオレ

これが、銚子市民を魅了し続けている「サンオレ」。170円(税込)。

昔からあるタマゴサラダパンと聞いて、サンドイッチやコッペパンに挟んだものをイメージしていましたが、サンオレは一風変わった見た目をしていました! 器のような形をした生地から、タマゴサラダが顔をのぞかせているパンだったのです。タマゴサラダの上には、ぐるりとマヨネーズがかけられ、ハムがちょこんと添えられています。

ちなみに、この形は昭和42年の発売当初からずっと変わっていないそう。コッペパンやあんぱんなどシンプルな形をしたパンが主流だった当時は、斬新な見た目をしたパンとして、人々をより驚かせていたことでしょう。

パンを割ってみると、3cmほどのくぼみがあり、そこにはタマゴサラダが2cmほど盛られていることがわかりました。

赤毛のアンのサンオレ_断面

上から見たときは気がつかなかったタマゴサラダの厚み。

白身がぎゅうぎゅうに入っているタマゴサラダは、ボリューム満点。実に食欲をそそります!

早速、1口頬張ってみましょう。パンはほどよい噛みごたえがあり、噛めば噛むほどやさしい甘みが広がります。そんな生地に支えられた“噂のタマゴサラダ”は、まるでゆでタマゴをそのまま食べているかのような濃厚な味わい。普段よく口にするタマゴサラダとは一線を画す、贅沢な味です。また、マヨネーズのマイルドな酸味黄身のコクが絶妙なハーモニーを奏でており、ふんだんに使われた白身のぷりっとした食感も、良いアクセントになっています!

さらに、ふち取られたマヨネーズの塩気や酸味は、タマゴサラダをより味わい深くさせ、至福な気分にさせてくれました。おまけに、マヨネーズのとろーりとなめらかな口当たりも楽しませてくれます。タマゴサラダに含まれるマヨネーズとトッピングのマヨネーズの味がしっかり効いているので、マヨラーもうならせること間違いなしです。

パンのやさしい甘み、トッピングされたマヨネーズの味わいなどが引き立て役となっている「サンオレ」は、タマゴ本来のうま味が際立つタマゴサラダを堪能できるパンでした。また、なぜかほっとする懐かしい味わいも感じられました。

■おいしさの決め手は「フレッシュさ」

一見、シンプルなタマゴサラダなのに、なぜタマゴの奥深いうま味が感じられるのでしょうか。タマゴサラダ作りを担当している、4代目社長の奥様、山口由美子さんにそのわけを聞いてみました。

山口さんタマゴは地元の養鶏所から取り寄せた新鮮なものを使用していて、本来のうま味を損ねないように、添加物は加えていないんです。また、タマゴサラダの味わいをアップさせるため、マヨネーズもたっぷり使用しているので、消費期限はその日中で、冷蔵保存は欠かせません」

冷蔵ケースに並んだ赤毛のアンのサンオレ

店内でもオープン型の冷蔵ケースに陳列されていました。

そんなフレッシュなサンオレをいち早く楽しみたい方は、店内に併設されたカフェスペースを利用することがおすすめです。

赤毛のアンの山口さん

山口さんがこしらえた、カントリーテイストなカフェスペース。やわらかい雰囲気でくつろげそうな空間です。

おいしさのカギとなっている素材の持ち味は、1967年の誕生当初から変わらずに行っている“こだわり”によって引き出されているんだとか。

山口さん「“手作り”であることを大切にしています。それは、タマゴは季節や天候によって黄身の味が濃くなったり、白身が水っぽくなったりするためです。タマゴは繊細な食べ物なので、日々状態を確かめて、長年つちかわれた感覚をたよりに調整しながら作っています。私たちは、“手作業”でしかできない繊細な調整によって、自分たちが納得のいくものを作り、お客さまにお届けしたいと思っています」

お手製のタマゴサラダは、パンとタマゴサラダの比率がちょうどよくなるように、ご主人が1つ1つ量を調整して盛りつけていると言います。こうした手間暇をかけるため、作ることができるのは1日300個が限度。そのほとんどはスーパーマーケットに卸売りされ、赤毛のアンでは1日10個ほどしか販売されていないそう。

■ライバルにも認められた人気パン

そんな流通の少ないサンオレですが、銚子では誕生から半世紀かけて口コミで広がり、人気パンへと成長。地元ではタマゴサラダをスプーンですくったり、さらにタマゴサラダが隠れるほどマヨネーズを加えたりするなど、通な楽しみ方をしている人もいるんだとか。

サンオレをスプーンですくっているところ。

タマゴサラダは単体でも、もちろん美味しいのですが、トマトやレタスなどをトッピングをして、自分流にアレンジしても楽しいですね。

あまりの人気ぶりに、今から15年ほど前までは、近隣のベーカリーから「うちでもサンオレを置きたい!」と依頼され、卸売りをしていたことがあったそう。それは、「どうしてここにはサンオレがないの?」とお客さんから問い合わせがあったからだと言います。本来ならライバル同士となるベーカリーの間にこんなエピソードが生まれるほど、サンオレの支持は高まっていったそうです。

また、ちょうどその頃、雑誌やテレビ番組などの取材も殺到。その影響で、ネット販売や他エリアでの販売をすすめられることが増えたそうですが、手作りかつ新鮮さを保つことにこだわるため、お断りしているんだとか。それでも、噂を聞きつけ、東京から往復5時間もかけて買いに来るほど、サンオレの虜になっているお客さんもいるんだそう。

そんな熱狂的なファンから、最近ではこんなリクエストを受けることがあったそうで……。

山口さん『サンオレ杯』の開催です。『サンオレの具を自由に考えるコンテストを開いてみたらどう?』と提案されたんですよ。サンオレはこれからも形も味も変えずにやっていくつもりですが、姉妹品としてニュー・サンオレが登場する日は来るかもしれませんね」

ハンドメイドにこだわり、半世紀も守り抜かれた、「サンオレ」。数量限定のため、銚子観光の際は早起きをして、よりフレッシュなサンオレをゲットしたいですね。

  • 店舗情報 ●ベーカリー&カフェ 赤毛のアン(山口製菓舗)
    住所:千葉県銚子市清川町2-1122
    電話:0479-22-4588
    営業時間: 11:00〜18:00(カフェは11:30〜17:00営業、火曜定休※月火曜連休の場合もあり)
    HP:http://www.choshinet.or.jp/~pan/

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

この「記事」が気に入ったら
みんなにシェアしよう!

MATOME