家のコト

World Life Style~わたしの国の住まい事情~

ヘルシンキのデザイナー アパートメントで、20代のカップルがもてなす『賑やかホームパーティー』

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海外の家や暮らしをリポートする「World Life Style」。第6回目はフィンランドのヘルシンキに住むカップルのお宅を訪問。100年前の古い建物のアパートメントで、機能的な家電が備え付けられたデザイナーアパートメントで暮らしている。週末には友人たちを招いて、北欧のお祭りやホームパーティーを楽しむ社交的なふたりだ。

デザイナーによって変身した、築100年のモダンなアパートメント

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20代のノンナとブルーノは付き合って8年目のカップル。同棲を始めたのは今から5年前。半年ほど前にヘルシンキのトーロ地区にあるデザイナーアパートメントに引っ越してきた。決め手は中心地に近いことと個性的な内装。トーロ地区はカフェやバーが立ち並ぶ繁華街と住宅地が共存する、海に挟まれた人気のエリア。建物は今からちょうど100年前に建てられ、地区で一番古く、格式の高いアパートメントだが、デザイナーである大家さん自身によって全部屋がリフォームされている物件。キッチンとリビングが一体で、ロフトにベッドを置いたエッジの効いた空間だ。

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歴史を感じさせてくれるアパートメントの階段。アパートメントの建物ができたときは、この地域に他の家が一切なかった。当初は中心地のお屋敷に勤めるメイドたちが住んでいたが、のちにお金持ちが次々と入居するようになり、階段を豪華に改装したそう。

ヘルシンキは家電が備え付けられた賃貸アパートメントが多い

world_06_02 レンガが組まれた壁、デザインの一部として立て掛けられている梯子など、スタイリッシュで遊び心溢れる部屋は、ふたりのお気に入り。ヘルシンキは家電が備え付けられた賃貸アパートメントが多く、この部屋もSMEGの冷蔵庫をはじめ、業務用の大きなオーブンや食器洗い機、また様々な機能を搭載したシステムキッチンが付いている。ノンナたちはここに、北欧デザインの食器や雑貨を並べて、独特のハーモニーを創りだしている。キッチンの存在感と機能性を活かして、週末は友だちを集め、度々パーティーをしているのだそう。

フィンランドの最も大きなお祭りを祝う、ホームパーティー


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この日、ノンナとブルーノの部屋ではVappu(ヴァップ)と呼ばれるメーデーと春の訪れを祝うパーティーが行われていた。フィンランドの最も大きなお祭りの一つであるヴァップには、街中で色とりどりの風船が売られているのが特徴。友人たちとお酒を飲んだり、食事をしたり、二日間にわたって朝から晩まで大騒ぎ。高校や大学などを卒業した時に受けとる帽子をかぶって街を歩くことがヴァップの習わしとか

パーティーの主役といえば、フィンランドの伝統的なドーナツ

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ヴァップではSima(シーマ)という、ドライイーストやレーズンで作ったフィンランドの発酵飲料を飲み、Munkki(ムンッキ)と呼ぶドーナツを食べるのが支流。この日はノンナとブルーノの手作りムンッキを頬ばりながら、シーマやシャンパンを次々と飲んで楽しんでいた。

日常で愛されているフィンランドデザインのプロダクツ

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どの家庭でもフィンランド産の食器を多く使う。こちらのマグカップもアラビア社の陶器、iittalaのもの。


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中庭に面した窓際には、フィンランドのテーブルウェアブランドのiittala(イッタラ)とテキスタイルブランドのマリメッコのコラボ商品であるマリボウルが。ドライフルーツやフィンランドのキシリトールガムを入れてインテリアの一部に。手前にあるグラスは 1966年にオイヴァ・トイッカが生み出したiittalaの「Flora(植物)」シリーズで、マウスブローで作られたヴィンテージもの。とても珍しい商品で、ヴィンテージショップで見つける度にひとつひとつ購入しているそう。

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フィンランド人はキャンドルが大好き。

オーディオスペースには植物やキャンドルを置いて、落ち着けるスペースに。フィンランドはキャンドルの国民当たりの消費量が、なんと世界一!!日常品として、またピクニックなど様々な場面で使い、暖かい雰囲気を演出している


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■プロフィール■
ノンナ・カステマー(24歳)
ブルーノ・エークルンド(25歳)
ふたりともヘルシンキ近郊生まれ。出会いは高校生の時。現在、ノンナは歯科学校を経て歯科助手になり、高校時代からドラムを担当するバンド活動が趣味。ブルーノはIT会社勤務。アフターワークや休みの日はふたりで映画を観たり、飼い犬ロビンと出かけたりして過ごす。このアパートメントの部屋はブルーノが内覧会に参加して一目ぼれ。希望者が多く、大家さんはエッセイを課題に与えて審査したとか。ふたりの人柄はもちろんのこと、ブルーノの文才と情熱で見事に勝ち取った部屋だ。
~住まいについて~
面積:35平米 家賃:890ユーロ

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■ヘルシンキの不動産事情■
ヘルシンキの住宅は、中庭を囲んだアパートメントタイプがほとんど。古く歴史のある建物が人気で、長く寒い冬を快適に過ごせるようにセントラルヒーティング(中央暖房)システムと二重窓が備えられている。一番人気のエリアは映画『かもめ食堂』の舞台となったカフェのあるプナヴオリ地区で、相場は55~60平米のふたり暮らしの物件で1200~1500ユーロ。若者が多く住むカッリオ地区はバーやライブハウスで賑い、こちらの相場は20~25平米のひとり暮らしの物件で500~700ユーロ。物価の高いヘルシンキのカップルは比較的早い段階で、一緒に住み始める場合が多い。

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