家のコト

潜入! プロフェッショナルの部屋

女子マンガ研究家・小田真琴の自宅はレトロとアンティークの中間

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あらゆる分野で活躍している人の仕事場を覗こう!という連載企画「潜入! プロフェッショナルの部屋」。

第四回目となる今回は、「SPUR」「サイゾーウーマン」など、さまざまなメディアに連載を持つ女子マンガ研究家、小田真琴さんの自宅兼仕事場に伺いました。

■ゆっくりマンガが読める癒しの空間!

肩書きにある女子マンガとは、少女マンガにおける小田さん独自の定義だとか。

小田さん「白馬の王子様なんていない、両思いになること、付き合うこと、キスをすることがゴールではないと知ってしまった、大人の女性のための少女マンガを、女子マンガとしています。数ある少女マンガの中からそういう女子マンガを見つけて、紹介していきたいんです」

そもそも彼が少女マンガの虜になったきっかけは、学生時代までさかのぼります。

小田さん「クラスで『ガラスの仮面』が出回っていて。当時好きだった女の子と共通の話題ができると思って読み始めたら、すごくはまっちゃったんです。そしてその子よりも自分の方が詳しくなってしまい、気持ち悪がられてふられちゃったんですけど(笑)」

そんな小田さんがお仕事として女子マンガのレビューを書きはじめたのは、5年ほど前。現在住んでいる自宅兼仕事場は、ちょうど同じ頃に引越したとか。東京都・世田谷区の閑静な住宅街にあるマンションです。

小田さん「床からすべてリフォームして自分好みの部屋にしました。この部屋を選んだ一番の条件は、一階だったこと。本の重みで床が抜けたら困りますから(笑)。引越しのときも本を運ぶのが大変でした」

小田さんの家の間取り図。数字は撮影場所を示しています。

小田さんの家の間取り図。数字は撮影場所を示しています。

ダイニング。ビンテージ調の家具がおしゃれに配置されています。(撮影場所1)

ダイニング。ビンテージ調の家具がおしゃれに配置されています。(撮影場所1)

小田さんが書斎としても使っているこの部屋は、当初はダイニングになる予定でしたが、気付いたらマンガでいっぱいになっていたのだそう。ですが、至る所にマンガがつまれていても、決して散らかった印象を受けません。

椅子の上に積まれた本たち。

椅子の上に積まれた本たち。

小田さん「マンガは書庫に保管していて、基本的にここにはものを置かないようにしているんです。少女マンガ以外にもかわいいものが好きなので、本棚には背表紙が美しいマンガや外国のお菓子の本を並べています。家具は、アンティークまではいかない、ビンテージぐらいのものが好きですね」

年間500冊以上の少女マンガを読むという小田さんにとって、こだわりの部屋でリラックスしながら少女マンガを読む時間が至福のとき。

小田さん「この部屋の角までカクッとした窓が気に入っています。国分寺崖線の上に建つこのマンションは、すぐ隣がものすごい下り坂。だから一階なのに高低差があって、窓からの眺めもいいんですよ」

リビング。大きな窓からは豊かな緑が見えます。(撮影場所2)

リビング。大きな窓からは豊かな緑が見えます。(撮影場所2)

■整理整頓された図書館のような書庫

そして気になるのが、購入した本の保管場所。約6畳の書庫を見せて頂きました。

書庫の写真

小田さんも数えきれないというほどの本がずらり。(撮影場所3)

少女マンガを以外にもさまざまなジャンルの本が大量に並んでいて、まさに圧巻の光景!

小田さん「ここにある本は、読みたいと思ったときにすぐ見つけられるよう、すべて著者の五十音順に並べています。作家主義なもので」

本に囲まれた夢のような部屋を目当てに訪れる友だちも多いのだそう。せっかくなので小田さんのコレクションの中から、女子マンガを中心に「女性にも男性にもおすすめのマンガ」を選んでいただきました。

「娘の家出」(©志村貴子/集英社),「蝶のみちゆき」(©高浜寛/リイド社),「マリーマリーマリー」(©勝田 文/集英社)

「娘の家出」(©志村貴子/集英社),「蝶のみちゆき」(©高浜寛/リイド社),「マリーマリーマリー」(©勝田 文/集英社)

■上段左
『人は見た目が100%』(大久保ヒロミ/講談社)

小田さん「地味な理系の女子3人がどうやったらおしゃれになるかを日々研究するギャグマンガ。まじめで一生懸命な様子が愛おしい!」

■上段中央
『娘の家出』(志村貴子/集英社)

小田さん「同じ街を舞台に、同性愛だったり、シングルマザーだったり、多様なかたちの家族が描かれたとてもやさしい作品です」

■上段右
『ダンジョン飯』(九井諒子/KADOKAWA エンターブレイン刊)

小田さん「モンスターを倒しながら調理していくというまったく新しいファンタジーグルメマンガ。ドラクエ世代は絶対楽しめます。架空の世界の料理なのに作り込みがすごくて、なんといっても“おいしそう”」

■下段左
『蝶のみちゆき』(高浜寛/リイド社)

小田さん「幕末の長崎の遊郭のお話。色っぽくて切なくて。高浜先生は日本よりもフランスで人気の作家さん。日本でももっと読まれて欲しいです!」

■下段中央
『さよならガールフレンド』(高野雀/祥伝社フィールコミックス)

小田さん「田舎から上京するときの話を描いた表題作は、描き方が素晴らしくて、地方出身者はだいぶ感情移入できると思います。ほかにも5作の短編が収録されています」

■下段右
『マリーマリーマリー』(勝田 文/集英社)

小田さん「だめ男との結婚コメディ。お金もあって、素敵な彼氏で、という完璧な幸せを望むよりも、どこかゆがみがあっても楽しければいいよね、という作品が好きなんです」

小田さんのこだわりが詰まった自宅兼仕事場は、少女マンガに出てくる主人公の部屋のような、おしゃれな雰囲気が満載。好きな物に囲まれながらの生活は、とても輝いていました!

  • 小田真琴
    女子マンガ研究家。「SPUR」にて「小田真琴の絶対漫画主義」、「サイゾーウーマン」にて「女子マンガ月報」を連載中。
    Twitter @makoto_oda

※記事中の情報は取材当時のものです。

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