(株)帝国データバンク(TDB)は5日、2016年9月の「TDB景気動向調査(全国)」の結果を発表した。調査対象は2万3,710社、有効回答は1万292社。
同月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は42.9(前月比0.6ポイント増)と、2ヵ月ぶりに改善した。前月の天候不順による落ち込みから復調したことに加え、公共工事の増加で建設関連が改善。国内景気は、公的需要や住宅投資が下支え要因となり持ち直した。
業界別では、「建設」など8業界が改善、「不動産」など2業界が悪化した。全国的に好況な公共工事や、首都圏を中心とした再開発案件の活発化など、旺盛な建設需要を追い風に「建設」や関連業種が改善。「不動産」は47.0(同0.3ポイント減)だった。
地域別では、「北関東」や「北陸」「九州」など、2ヵ月ぶりに10地域すべてで改善。一方、「熊本」は一部製造業で生産回復の遅れがみられるなど、4ヵ月ぶりに悪化した。
今後について同社は、日本銀行が導入した新しい政策枠組みによる効果が期待される一方、短期的には財政支出による経済対策で国内景気は下支えされると予測。また、震災復興の継続とともに、東京五輪に向けた公共工事が本格化する見込みとしながらも、ガソリンなど企業のコスト負担を増加させる要因になりかねないとみており、「今後の景気は、徐々に上向いていく兆しが表れてきたものの、当面は横ばい圏内で推移していく」としている。