(OVO オーヴォより)

相手の名前で呼びかけるって、単純だけどすごく効果的らしい。たとえ印刷年賀状でも、手書きの一文が嬉しいのは、いわゆる“一斉メール”じゃないから。「今年もよろしく」は誰にでも書けるけど、「また一緒にスキー行こうね」は、相手との個人的な関係の上にしか成り立たない中身だからだ。そんな風に、“パーソナライズされた情報”に人は自然に関心を持つ、ってことは何となく分かるけど、それが相手の名前だけでも効果がある、ということが、トッパン・フォームズが実施した脳科学実験で確認された。
どんな実験だったかというと、山田さん(仮)という人に、「こんにちは」と書いたものと、「山田さん こんにちは」と書いたものを別々に見せて、脳の反応を測定したのだ。すると、名前入りの方により高い「注意」を向けることが分かった。一般的に興味や渇望などの注意が向けられている時、左の前頭葉が活性化するのだそうで、名前入りの印刷物は名前なしに比べ、左前頭葉部位での強い活性化が生じた、つまり、とても強い関心が向けられたというわけ。
こういう実験結果は何に生かされるかというと、例えばダイレクトメール(DM)だ。「お客様」みたいな誰宛てでもイケる“最大公約数的”内容のDMだと一瞥(べつ)して捨てちゃう“山田さん”も、文章中に「山田さん」という呼びかけがあると、結構ちゃんと読むかもしれない、という話。これが、人との会話にも言えることなら、脈ありのカレには、恥ずかしがって「あのー」と話しかけるより、名前でしっかり呼びかけた方が関心を引けるってことかも!?