復讐、それは悲劇のはじまり? 異色の傑作短編集が語る復讐の虚しさ

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(OVO オーヴォより)

生きることは試練の連続であり、つらく苦しいもの。人生に安易なハッピーエンドはなく、誰かの悲劇と背中合わせなのである。それだけに小さな幸せが尊い。そんな幸福と悲劇をセットで描いているのが手塚治虫である。
人は、時に許し難い怒りや激しい憎しみから復讐を果たそうと考える。そして、それは悲劇のはじまりでもあるのだ。

そんな復讐をテーマにした手塚治虫の異色短編集、手塚治虫セレクション『復讐』(税別537円)が6月19日(金)より三栄書房より発売となった。全国のコンビニエンスストアで購入可能だ。
収録作は、SF的作品の「ザムザ復活」、妖怪ファンタジー「マンションOBA」、戦国時代を舞台にした「最上殿始末」、古代ヨーロッパを舞台にした「コラープス」、マフィアへの復讐を誓う「鉄の旋律」など、時代もジャンルも違う復讐の物語ばかり。
さらに、手塚治虫の代表作『ブラック・ジャック』から「復しゅうこそわが命」「灰色の館」など5つのエピソードも収録。復讐をテーマに、これだけ多彩な作品を生み出したところは、さすが手塚治虫といったところか。

イギリスの哲学者フランシス・ベーコンは『復讐する時、人間はその仇敵と同列である。しかし、許す時、彼は仇敵よりも上にある』といった。憎しみは連鎖し、また復讐も連鎖する。その連鎖から逃れるためには、相手を許し、高みに立つべきなのだ。さまざまな復讐、さまざまな復讐者たち。これらの物語を通して、手塚は復讐の虚しさを伝えている。

手塚治虫セレクション 復讐
http://www.sun-a.com/magazine/detail.php?pid=8257

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