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多くの人が泳げない「バタフライ」、実は一番簡単で楽な泳法?

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young woman swims the butterfly© yanlev – Fotolia.com

夏真っ盛りで暑さの厳しい今の時期は、海やプールに行きたいですよね! クロールで格好良く泳ぐもよし、平泳ぎでスイスイと優雅に泳ぐもよし。みなさんはどの泳ぎが好きですか?

at home VOXでは、クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライの代表的な4泳法のうち、どれが泳げる人が多いのかをアンケートで調べてみました。

Q.あなたは以下の泳法が泳げますか?(全国の20〜50代の男女500人)

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クロール、平泳ぎ、背泳ぎは5割以上の人が「泳げる」と答えている一方で、バタフライはたったの「22.2%」という結果に。

確かにバタフライは学校ではあまり教わらないし、難しいイメージですよね……。

しかし、それとは逆に「バタフライは簡単」と主張するのが、元競泳選手で、現在はトレーナーとして活動している花村育彦さん。『水泳で一番カンタンなのはバタフライ』などの著作を執筆し、「日本人がバタフライを泳げない理由は、ズバリ『一番難しい泳法』だとすり込まれているため」だといいます。

バタフライはほかの泳法よりも簡単だと説明する花村さん。

バタフライは他の泳法よりも簡単だと説明する花村さん。

花村さん「学校教育の場合、まず教えるのは『海でおぼれた場合に陸までたどり着くための泳ぎ』なので、スピードのあるクロールや呼吸の楽な背泳ぎ、水の抵抗が大きく身体が浮かび上がりやすい平泳ぎが優先的になります。スイミングスクールでも、クロールや背泳ぎをマスターした後に教えることがほとんどです。そのため、『バタフライは難しいのだ』とすり込まれ、挑戦する人も少なく泳げる人が少ないのでしょう」

なるほど。長く水泳を続けている人しか、バタフライを学ぶ機会がないのですね。でも実際、他の泳ぎと比べても迫力のあるバタフライは、やっぱり難しそうですが……。

花村さん「確かにスピードを問われる『競泳のバタフライ』は難しいです。一般の方はもちろん、レッスンコーチや個人メドレーの代表選手レベルでも苦手な人はいます。しかし、スピードを問わないバタフライは非常に簡単で、しかも呼吸も楽な泳法なんです」

バタフライが一番簡単? 一体どういうことなのでしょうか。

「バタフライを泳ぎたい」という要望は多く、中には80歳を超えてバタフライをマスターした人もいるとか。

「バタフライを泳ぎたい」という要望は多く、中には80歳を超えてバタフライをマスターした人もいるとか。

花村さん「バタフライは元々平泳ぎから派生しています。20世紀前半に『両手・両足を対称に動かす』新しい泳ぎ方として生まれました。人間は左右の手足をバラバラに動かすよりも、左右対称に動かす方が得意なので、実はクロールや背泳ぎよりもスムーズに動きを身につけることができます。また、平泳ぎよりも足の動かし方は単純です。そのため、競泳のようにスピードを追求するのでなければ、バタフライは誰でも習得できる『簡単な泳法』なのです」

例えば両手で「グー」と「パー」を速く繰り返してみましょう。すると左右対称に動かすことは簡単なのに比べて、左右非対称に動かすとだんだんズレてきます。

両手を使って、グーとパーを同時に繰り返します。これは簡単。

両手を使って、グーとパーを同時に繰り返します。これは簡単。

今度は片手でグー、反対の手でパーを作り、それを左右交互に繰り返してみましょう。切り替えのスピードが速くなると、ズレが出てきます。

今度は片手でグー、反対の手でパーを作り、それを左右交互に繰り返してみましょう。切り替えのスピードが速くなると、ズレが出てきます。

さらに、花村さんは日本人とバタフライとの「縁」についても教えてくれました。

花村さん「バタフライが現在の形になるには、1950~60年代に活躍した長沢二郎さんという水泳選手が大きく関わっています。以前のバタフライは平泳ぎの一種で、下半身は平泳ぎのまま、上半身の動きを平泳ぎ、または現在のバタフライの形から選べるというものでした。1956年のメルボルン五輪で正式種目になって競技として独立し、両足を上下に動かすキックが解禁になると、長沢選手が『ドルフィンキック』で世界記録を更新。パイオニアとして世界から注目され、現在のバタフライの源流となったんです」

4つの泳法のなかでも最も新しいバタフライ。その完成には、日本人の活躍があったんですね!

花村さん「バタフライを泳げるようになりたいのなら、苦手意識を持たずに挑戦してみてください。大きな動きが求められると思われがちですが、実際は『お辞儀』するように身体を曲げれば深く潜れて、『うがい』のように軽くアゴを上げれば顔は浮かび上がります。この動きは他の泳法よりも簡単で、呼吸も楽。しかも、クロールや背泳ぎよりも見栄えもいいです(笑)。バタフライが泳げれば、より水泳が楽しめるようになるはずですよ!」

この夏、あなたもバタフライに挑戦して、プールサイドの注目を集めてみては?

監修:花村育彦
掛川ボディデザインスタジオ・リセット代表。著書に『水泳を習わなくても本当は誰でも泳げる』『水泳で一番カンタンなのはバタフライ』(ともにインプレス)など。
オフィシャルブログ「キレイなカラダへ、リセットする。」

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