(Jタウンネットより)
隠れ家のようにたたずみ、おいしいコーヒーを淹れてくれる個人経営の喫茶店――コーヒー好きなら一度は訪れてみたいものだ。
埼玉県日高市田和目にある「ジュリアン」は、熟年の女性とその息子が営む喫茶店だ。筆者が訪れたのは8月下旬のこと。

ジュリアンのテラス席(写真は全て編集部撮影)
きっかけは駅に置いてあったフリーペーパー
この店を知ったキッカケは東武鉄道発行の東武東上線フリーペーパー「ajouter」(偶数月発行)。43号の8ページにこの店が掲載されていた。

近くに行く用事がたまたまあり、筆者は立ち寄ってみることにした。
最寄駅は東武越生線西大家駅で、西南に約1.6キロ離れている。
店の外観は普通の1軒家を改造したような雰囲気。店の前に3、4台駐車できそうなスペースがある。

ドアは中央と左の2カ所。どちらに進めばよいのか一瞬迷ったが、左の方に案内板があるのを見つけた。
テラス席なら犬同伴でもOK。

窓の大きい店内に夏の光が降り注ぐ。それでいてシックな雰囲気だ。エアコンの設定温度はちょうどよかったが、店員が「寒くないですか?」と気遣ってくれるのがよい。
土曜日の午前中と言うこともあり、1組の家族がいるだけだった。
極上の自家焙煎のコーヒと手作りケーキ

対応してくれた女性店主は、隣町で25年にわたり喫茶店を営んできたコーヒーのプロフェッショナル。世界基準を満たしたコーヒー豆を自家焙煎しているそうだ。
筆者は手作りケーキセット900円を注文。マンデリン・ブルー・リントンというインドネシア産のコーヒーで、つるっとした喉ごしが印象的。質がいいのか苦さを感じない。

筆者はいつもの習慣でミルクを頼んだが、オーナーのアドバイスでブラックで飲むことにした。すると……ケーキの甘さとほどコーヒーの味がほどよくミックスし、実においしく感じられる。
店主は決して知識をひけらかすタイプではない。大切な友人に接するような態度で、優しく秘密を教えてくれる――そんな人柄だった。

ヤギも飼っているよ!
テラス席から外に出て小屋に向かう。この店はヤギを飼っていると知ったからだ。
ヤギはあいにく柵の中だったが、頭やヒゲを撫でてやり、心ゆくまで触れ合うことができた。

店と小屋は50メートルも離れていないが、ちょっとした田園の小道を歩いた気分になる。

ジュリアンは公式サイトとフェイスブックを開設している。アップされた写真を見ると、夏は青々としていた木々が秋になり色づいている。
営業時間は10時から19時までで、ラストオーダーが18時30分。毎週水曜と第1・3火曜が定休日となっている。
隠れ家にふさわしいロケーション
筆者が店を出てまもなく、ajouterを手にした初老の女性2人に声をかけられた。ジュリアンに向かう途中で迷ってしまったという。
「畑ばかりのこの場所に、しゃれた喫茶店があるように見えないのよね」
言われてみれば、木々に囲まれたジュリアンは少々分かりにくい場所にある。隠れ家にするのにピッタリかもしれない。
厚生労働省の2009年調査によると、全国に28万店以上の喫茶店があるがその数は年々減少している。大手コーヒーチェーンの出店攻勢は全国に拡大し、最近はコンビニコーヒーという新たな強敵が出現している。
個人経営には厳しい時代だが、なじみ客のハートを掴んだ喫茶店はまだまだ頑張っている。