街のコト

関西人は、リニアは「京都」と「奈良」どっちに通ってほしいのか

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(Jタウンネットより)

リニア中央新幹線の名古屋〜大阪間のルート選定をめぐって、奈良と京都がし烈な誘致合戦を繰り広げている。

最高速度時速505キロ、東京と大阪を約1時間で結ぶ「リニア中央新幹線」は、品川〜名古屋間の開通が先行して進められ、13年後の2027年開業を目指す。

リニアモーターカーの車両(nuboboさん撮影、Flickrより)

[リニア・鉄道館] MLX01-1

「日本の未来のために、京都へ」

名古屋〜大阪間はその18年後の2045年をメドに完成させる予定だが、ルートはまだ決まっていない。

9兆円以上の事業費を全額負担するJR東海は公言していないが、「三重・奈良ルート」が本命と見られる。東海道新幹線よりも距離は短く、人口の少ない地帯を通るので土地代も安くすむ。

同じ古都でありながら、東海道新幹線が通らないために観光客数で京都に大きく水をあけられている奈良県は、これで一発逆転とばかりに熱心なリニア誘致活動を展開している。

これに対して「いやいや、やっぱりウチでしょ!」と手を挙げているのが京都。2014年8月8日にウェブサイト「リニアを、京都へ。」を開設した。門川大作京都市長は京都ルートの意義を次のように強調する。

将来新たな国土軸となるリニア中央新幹線は,京都を通らないルートで計画されています。これは,京都だけの問題ではないと私は思います。日本文化の中心である京都が国土軸から外れることは,50年後,100年後の我が国の未来にとって,果たして本当に好ましいことなのでしょうか。

京都駅周辺にはもう場所ないんじゃない?という意見が噴出しそうだが、「京都駅南口地下に作ればいいんです!」と主張。
そして京都は滋賀や北陸、山陰、奈良の各方面に出られる交通の要衝であり、経済効果は奈良ルートの420億円の約2倍、810億円にのぼると試算している。

「かつての京都はリニア誘致に熱心じゃなかった」「自治体の事業費負担ゼロと分かったから、こんなに強く出ているのでは…」という声も聞こえるが、そんなことは意に介さない。市と府は一丸となってアピールに努めている。

奈良県内も内部では誘致合戦が…

現状は優勢の奈良だが、県内も一枚岩ではない。中間駅をどこに設置するかで奈良・生駒・大和郡山の3市がそれぞれアピール合戦を演じている。

奈良と京都以外の自治体はというと、大阪府の松井一郎知事は、できるだけ早く大阪までの延伸を実現したいという立場もあって、計画の立て直しが必要になる京都ルートには否定的だ。
滋賀県の三日月大造知事も、「なんでもかんでも京都でなくてもいい」として、奈良ルートを支持している。
関西経済界も、時間短縮という点で奈良ルート派が強い。京都は孤軍奮闘、というところだ。

関西の意見がまとまらないところは、伊丹・関空・神戸が並立する「関西3空港問題」に似ている。関空オープン当初は「関西経済浮揚の起爆剤に」と期待もあったが、今では地元自治体の重荷になってしまった。

JR東海が奈良と京都の2ルートを同時に作ることは考えられない。早く意見を一本化しないことには、いつまで経っても工事着工のメドは立たない。

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