(Jタウンネットより)
伊勢志摩サミットにあわせて、東京駅のコインロッカーが使用停止になった。観光客やビジネスマンが集まる「日本の玄関口」は、いつもスーツケースを転がす人々であふれている。そんな交通の要衝で、いまどんな警戒が行われているのか。記者は現地に向かった。
改札外なら、どうだろう…
東京駅を訪れたのは、2016年5月25日。新幹線改札内のコインロッカー(23日封鎖)に続いて、この日から27日まで、在来線エリアでも利用できなくなっている。すでに改札内については各社が報じているので、改札の外へ行ってみよう。

誘導されるままに…
まずやってきたのは、駅東側に広がっている「八重洲地下街」。ちょっと歩くだけで、警察官がチラホラ見えた。数十メートルごとに2人組で配置され、ものものしい雰囲気が漂っている。

無情にも張られた「中止」の告知
鉄道駅構内でなければ、ロッカーが使えるかも? と思っていたが、そうは簡単にいかない。「警視庁の依頼により」25日から27日まで使用中止との告知が張られていた。

警視庁が依頼したという
続いてやってきた「東京駅一番街」は、八重洲側改札を出てすぐの駅構内にある。中央口改札のロッカーを見るも「使用中止」。ロッカーごとに、ライオンやヒツジ、ウシといった動物が描かれていて、どれに預けたか覚えやすいのは便利だ。

ライオンさん

ヒツジさん

ウシさん
ここ数年、大都市のコインロッカーは、大きく進化した。「Suica」といった交通系電子マネーの対応にあわせて、ロックも電子式になり、一部ロッカーには利用状況がリアルタイムでわかる案内画面も設置されている。とはいえ今日は、どこも真っ赤(利用不可)だ。

ロッカーの設置数にも驚く
「コインロッカー案内図」を手に入れた
地下にもぐって、改札外コンコースをぐるぐる回る。さっきは動物で分類されていたが、JR管轄のエリアでは「T」や「U」のようにアルファベットで区別されているようだ。

「R」のロッカー

「T」のロッカー

「U」のロッカー
コインロッカーの横には、ご丁寧に「JR東京駅コインロッカー案内図」も置かれていた。改札内外を問わず、識別用のアルファベットとともに、サイズごとの設置台数まで書かれているすぐれもの。JR東日本と系列会社が組織した「東京ステーションシティ運営協議会」が発行している。

「JR東京駅コインロッカー案内図」(2016年3月版)
案内図には、ロッカーの空き状況が分かる「コインロッカーなび」へのQRコードも書かれていた。大阪のシステム開発会社「シフトプラス」が提供するサービスなのだが、接続してみると、
「伊勢志摩サミット開催でコインロッカー情報の提供を停止しております」
と表示されてしまった。ということは、いまは調べても無駄ということだろう。

「コインロッカーなび」を開いたが…
「手荷物預かり所」は?
調査を始めて、まもなく1時間半。そろそろ足が痛くなってきた。コインロッカーはあきらめて、最後の切り札である「手荷物一時預かり所」へ向かおう。一番街には、佐川急便の宅配カウンターを兼ねた「TOKYO SERVICE CENTER」があるはずだ――。

「飛脚」をイメージしたお店

ダメだったか…
なんてこった! 人の手で管理する「預かりサービス」もロッカー同様、27日まで中止しているという。写真を撮っていると、スーツケースを引きながらビジネスマンがやってきた。張り紙を見た彼は、一瞬立ち止まり、きた道を戻っていく。
「ここなら空いてると思ったのに……」
ビジネスマンの背中に、自らの心情を重ねつつ、次の預かり所へと急ぐ。

こちらはどうだ?
丸の内北口、ドームの中にある「JR東日本トラベルサービスセンター」でも、訪日外国人客向けの荷物一時預かりサービスを行っている。しかし、こちらもサミットを理由に、27日まで中止されていた。

オーマイガー!
最後にやってきたのは、駅直結の「大丸東京店」。この3階にはヤマト運輸の宅配カウンターを兼ねた預り所があるのだが、やはり27日まで中止だった。なお、同店では店内ゴミ箱の撤去や、地下1階の「冷蔵ロッカー」の使用中止も行われている。

天下の大丸さんなら…
東京駅を歩きまわって感じたのは、コインロッカーまわりの充実さだ。数十メートル間隔で設置され、それぞれの見分けは容易。リアルタイムで「空き状況」もわかる。一方で便利だとわかるほど、数日も使えないのは「痛手」に感じてしまう。

東京駅にほど近い「東京国際フォーラム」のロッカーも中止
コインロッカーやゴミ箱については、早くも「東京五輪でも厳重な警戒が行われるのでは」と懸念されている。観光立国・日本の玄関口として、4年後までに何らかの対策を期待したい。

「東京国際フォーラム」のゴミ箱