
「シェアハウス」「ルームシェア」など、家族以外の他人と共同で生活するシェア生活。趣味やライフスタイルの合う仲間同士が集まることで生活が充実したり、家賃や光熱費などを折半できて経済負担が減るなどのメリットがあることから、近年注目されています。
ただし、家族ではない他人同士がひとつ屋根の下で暮らすのですから、いろいろと注意点があることも事実です。注意を怠れば、トラブルに発展することも……。
今回at home VOXでは、そんなシェアハウス・ルームシェアの実情と、シェア生活をトラブルなく送るためのアドバイスについて、不動産のプロ・アットホーム加盟店のスタッフにアンケートをとってみました!
Q.貴社では「シェアハウス」の物件を取り扱っていますか?

Q.ルームシェアやシェアハウスのニーズは増えてきていると感じますか?

シェアハウスを取り扱う不動産店は、全体のわずか8.2%と少ない結果に。ただし、不動産店によってはこんな回答も。
シェアハウスの取り扱いはありませんが、友人同士のルームシェアは多くあります。就職・入学の時期が多いので、その時期に貸主にあらかじめ承諾を頂き、ルームシェア可能の物件を増やしておきます。
また、「ニーズが増えてきている」と感じている不動産店は36.5%でした。特に都市部では家賃が高い分、シェアによる経済的メリットも大きく、需要が多いようです。一方、地方ではそこまで浸透していないという意見もありました。まだまだ新しいムーブメントなんですね。
それでは、アンケート「Q.ルームシェアやシェアハウスに関して印象に残っているエピソードや、ルームシェアをする際の注意点・アドバイスがあれば教えてください」に対する加盟店スタッフの回答から、シェア生活のポイントを紐解いていきましょう!
まずは、シェア生活を目的とした物件は、何に注意して探せばいいのでしょうか?
■シェア目的の物件探し
シェアハウスされている建物は建築当初からシェアハウス目的で無い場合が多く、リフォームにより一部屋を小さくし部屋数を増やしている場合もあり、採光、風通等に問題がある場合もあるため、しっかりと物件を見ることが必要です。
男女で各居室が独立している物件を希望されたので、ぴったりだと思い出し、ご案内したところ即成約になりました。ルームシェアをするなら、お互いのため各居室が独立していて鍵が掛けられる物件がいいと思います。共同生活の中にもプライベートの部分が守られることが大事だと思います。
知らない人同士が住むシェアハウスは運営する側にもある程度のセキュリティ意識や設備が必要だと思われます。借りる側もそういった設備や窓口があるかどうか確認が必要です。ホテル(ユースホステル)みたいな感覚では危険だと思います。
ルームシェアの場合、2DKを女2人で借り、片方が退学して解約、2DKを男2人で借り、1人がいなくなって全部を1人で借りることになり、家賃が大変、という例がある。結局、4LDK以上で、LDK共用、1人が退去すれば、新しいメンバー募集というカタチがいい。
やはり、普通の物件とシェア用物件では、注目ポイントも違ってきますね。プライベートな空間の確保やセキュリティ設備はしっかりチェックしておきましょう。
■シェア生活を始めるにあたって必要なこと
いよいよシェア生活をスタート! ……その前に、同居人同士のルールを決めた方がいいというのが、プロのアドバイス。
●生活ルールを取り決めよう
光熱費関係の精算方法を入居者同士でしっかり認識する必要があると思われます。過去の案件で一番円満にできるのは全て折半でした。
元ヤンで幼馴染みの3人組が3LDKを借りて仲良く暮らしている様と、女性2人でルームシェアをしてケンカ別れして2年ほどで解約してきたのが、契約した時期も近く、対照的で印象に残りました。家事や、家賃や水道光熱費や食材など、細かく話し合いで取り決めるといいですね。
共用部や共用の家電製品の使い方・時間帯、電気ガス水道の使用量、清掃の頻度や度合などが人それぞれなので、ルームシェアをする際に不満が出やすい。また、友人を招いたりなどの際は、話し声や共用部の独占なども関係性に影響を与えやすくトラブルになりやすい。
いちばんトラブルになるのは、食べ物と聞きます。冷蔵庫に保管していたら食べられていたなどでトラブルになるようです。また、総じてコストはかかるようなので低コストで運営できる方法を模索することが重要だと思います。
遠慮なくしっかり箇条書きでルールを決めておかないと、小さい我慢の積み重ねで大きな揉め事になります。
同じ物件で暮らすのですから、生活する上でのルールの取り決めは必須ですよね。細かいストレスでも積み重なれば大きなトラブルにつながりかねません。コミュニケーションを密にとって、ルールをすり合わせましょう!
●同居人との関係性を良好に保つ
ルームシェアについては、相手の事を本当に許せるのかを見極めて頂きたいと思います。例えば、自身が本当に嫌だと思う事をされた場合その時に相手へ伝える事ができるのか、相手が夜中に騒音でご近所様にご迷惑をかけたときに一緒に謝罪できるのか、など。どこまで相手に対して許せるかを見極めてからでないと、良好な友人関係が崩れてしまう場合もございますのでご注意いただきたく思います。
ルームシェアで男性同士よりも女性同士の方が退去するまでの期間が短い。僕も友達と大昔にルームシェアをしていましたが、お互いの仕事の時間帯がずれていたので、プライベートの時間がしっかり取れていて最後まで揉める事も無く成功しました。いくら仲良しでも常に一緒に居れば、何らかのストレスは溜まります。それをいかに少なく、どう発散するかがポイントです。
シェアする相手方との人間関係、コミュニケーションをいかにうまく出来るかどうか。物件がどれだけ素敵でも、人間関係次第で住みにくいものにもなる。逆に、人間関係が上手く構築できれば、かけがえのないものとなる。
「同居人と仲良く」。当たり前のことですが、それにはコミュニケーションとプライバシーの尊重が大切、というわけです。
■シェア生活の明るい未来
シェア生活はいろいろと大変なこともあるが、上手くいけば新たな生活モデルを提示できそう。いくつか提言となりそうな回答を、最後にご紹介します。
老人専用のシェアハウスを目にしました。今後需要が増えるのではないでしょうか。介助が必要ではないお元気な方同士で社会福祉費用をかけずに自助努力するのはいいことだと思います。
子供が欧州に留学しているのですが、ルームシェアの環境が充実している。日本にも、そのような環境があったら、外国人のかたや、学生で1人暮らしのかたも便利なのだろうなと思う。
若い人だけでなく、高齢者まで幅広く浸透していけば、よりニーズが増えるかもしれませんね。また、外国ではシェア生活はポピュラーなライフスタイルと聞きます。日本では今後どうなっていくのか、これからに注目ですね。
イラスト:タテノカズヒロ
<アンケート調査概要>
対象/全国のアットホーム加盟・利用不動産店約51,000店のうち 477店
調査方法/インターネットリサーチ
調査時期/2015年8月
※アンケート内容の転載にあたりましては、「at home VOX 調べ」もしくは「アットホームボックス調べ」という表記をお使いください。