街のコト

省エネ建築によるまちづくり/フライブルク(ドイツ)

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(ライター:村上 敦)

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バリアフリー住宅「GENOVA」

ドイツの新築住宅はここ15 年ほどで以前とはまるで別物になりました。外壁の断熱材は20~30㎝の厚みで、窓は高性能なトリプルガラスに、さらに冬場の採光と夏場の日射遮蔽をしっかりと考慮した建物でないと建築許可が得られないようになったからです。
また、建物の燃費を精密に計算することが法律で義務づけられ、物件を販売・賃貸する際、広告や契約書には必ずその燃費が提示されています。まさに車や白物家電と同じですね。

ちなみに建物の燃費とは、冷暖房と給湯、そして換気に必要な年間のエネルギー量を、延床面積で割った数字です。この燃費、今では15 年前の3分の1になりました。こうした省エネ型の新築がドイツ全土で当たり前になったのも、今から15 年以上前に冷暖房不要で室温を20~25度に保つようなパイオニア的な超省エネ建築の取り組みが各地で続けられたからです。

そんなパイオニア建築が集合しているのがフライブルク市にあるヴォーバン住宅地。人口5,500人のこの街では、ゼロエネ住宅やプラスエネルギー住宅(創エネが消費を上まわる住宅)などがひしめき合っています。建築デザインも多様で、南ドイツの省エネ建築家が90年代後半に腕を競い合った場所でした。
築後10 ~15 年が経過していますが、人気は非常に高く、賃貸物件で空室が出ても口コミですぐに埋まります。新築した費用の2倍以上で転売される物件もあるとか。住民参加型の都市計画と省エネ建築が生み出した、環境にも経済的にも持続可能な好事例だと世界から評価を受けています。

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ヴォーバンのソーラー住宅地

 

村上 敦(むらかみ・あつし)
環境、エネルギー、都市計画が専門のドイツ在住ジャーナリスト。持続可能なまちづくりを推進する社団法人「クラブ・ヴォーバン」代表。著書『フライブルクのまちづくり』(学芸出版社)など。

 

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