(ライター:秋元 広行)

丘一面にレンガ色が広がるラパスの家並み。標高の高いラパスでは、低い側に金持ち、高い側に一般市民が住む
山肌に広がる赤茶けたレンガ色、空の濃い青とのコントラスト。最近できたロープウェイから眺めると街の特徴がよくわかる。このラパス一帯を埋めつくす、近代的な住居のものとは言い難いレンガ色の壁を見ていると、生活レベルがそれほど高くないと思うかもしれない。だが、中に入ると、どの家にもテレビもDVDもオーディオも冷蔵庫もすべてある。
そして夜になれば雰囲気は一変。街灯の黄色、オレンジ色がこの上ない美しさを発揮する。空を見上げれば、落ちてきそうなほどの星々も負けじと輝き、絶品の夜景が楽しめる。

街灯が美しい夜のラパス
ここ南米ボリビアの首都ラパスは、3,600m以上という富士山並みの標高を持つ世界でも類いまれな街。それらを見守るようにアンデス山脈東山脈の最高峰、イリマニ山がそびえ立つ。高地ということは、当然酸素が薄い。実際、とても薄い。鼻の穴一つで生活してるようなものだ。ビールを注ぐと泡だらけ。タバコもなかなか吸えない。火事も見たことはない。最強のサッカーチーム・ブラジル代表がラパスでは負ける。
高地の良さを挙げれば、乾燥しているので物を腐らせてしまうことがめったにないことか。ゴキブリも見たことはない。また、高地民族には長寿者が多いといわれ、ラパスで暮らしていると実際長生きの人が多いと感じる。高地暮らしは強い身体をつくるのかもしれない。
そして、雨が降った後は必ずといっていいほど虹がかかる。しかも2重に。その虹の出発点が手に取れるほど近いのだ。一度触ってみたいと試みたが、虹を追いかけて走りすぎて心臓が飛び出そうになった。こんなことでも酸素の薄さを実感するのがまさにラパス。
秋元 広行(あきもと・ひろゆき)
18歳のときラテンアメリカ諸国の民族音楽フォルクローレと出会い2000年、単身ボリビア・ラパスへ。05年、フォルクローレグループ「アナタボリビア」を結成。現在、ボーカルとして活躍中。公式サイト www.anatabolivia.com